『バクマン。』 124 ページ 「考察と挑発」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 15 号)
七峰透の髪型は、昔のシュージンとよく似ています。このあたりも、「亜城木夢叶と七峰はよく似ている」を象徴しているのかも。
作風も容姿も似ているのに、両者はかなりの差がついてしまった。それは、なぜだろう……?
連載当初のシュージンは、なんだか太めのパスタが絡み合っているようなヘア・スタイルをしていました。いまの彼は直毛だから、中学生のころは毎朝巻いていたのでしょう。さすが、オサレさん!
嫁つれて くるから
平丸一也と蒼樹紅は、ラブがコメっていますね! 本人たちは、「あ…… これって マンガの主人公みたい?」と思っていたりして。──きっと、幸せに包まれている人は、そのことに気がつかないでしょうね。
おままごとみたいな 付き合い方の 2 人です。
そのピュアさは、中井巧朗の目と心に突き刺さる。平丸に嫉妬する余裕もなく、ひたすらショックを受けていますね。似たような経験がある自分には、彼の気持ちがよく分かる……。
中井の回想も涙を誘います。母親は、どこまでも優しい。──だからこそ、いまの中井になったとも言える。でも、母親に甘えすぎた中井がやっぱり悪い。この点も自分には痛いんだよなぁ……。
一から 考え直して
追い詰められた七峰は、顔つきがだんだんと悪くなっています。「不良」と書いて「ワル」という読む──というよりかは、「三下」と書いて「チンピラ」な感じ。心の中の言葉づかいまで荒れている。「1 週で破れて消えていくザコキャラ」みたい。
なぜ、こんなことになってしまったのか──。
いや、七峰と「判定人」のやり方は、最初からこうなる運命だった。なぜなら、作者である七峰の心が入っていないからです。あれだけ七峰の「判定人法」を大プッシュした自分は、やっぱり考え方が間違っていたのか……。
同じ話で 勝負?
亜城木のネームを先に知るのではなく、同じ号で同じ話で勝負
するなんて、常人の発想ではありません。やはり七峰の発想は天才的です。
ただし、七峰は「ユニークなアイデアマン」止まりであって、「天才マンガ家」ではなかった……。
本当に信頼できるパートナが、七峰にはいない。それが、彼と亜城木夢叶との違いです。
シュージンと出会ったおかげで、サイコーはマンガ家になりました。この出会いがなければ、夢への道は途切れていたはず。人見知りで内向的な彼は、亜豆とも口をきかず、「普通のサラリーマン」になっていたでしょう。
人生を変える人物に、七峰透は巡りあえるのか?
──すでに会っている可能性はありますね。経験がないわりに自分で考えて動く、物静かな熱血編集者に──。
相当 切羽詰まってるね
やはり、七峰の挑発は断わられました。いつも冷静なシュージンが、そんなムチャな勝負に のせられるわけがない。
常に俺達の 「PCP」を しっかりと やっていくだけだ
というシュージンの叫びは、七峰に対する先輩からのアドバイスでもある。
自分の作品に真正面から七峰が向き合っていれば、こんな屈辱的な電話をかけることもなかった。そもそも「判定人」に頼ることもなく、そのような発想も出てこなかったでしょう。
まだ七峰のマンガ家人生は始まったばかりです。なにより、彼には絵を描く力がある。おそらく、サイコー以上の画力に伸びる余地があるはずです。マジメにマンガ(と自分自身)に向き合いさえすれば……。
しかし、「同じ話で勝負」は現実世界で実現していた!
今週号の『いぬまるだしっ』は、すこし前の『銀魂』でやっていた「ツッコミ役がボケてしまう話」とカブっているけれど、これは大石先生が空知先生にケンカを売っている──じゃなくて、勝負を挑んでいるんですよね! きっと、そうだ。
そして冨樫先生も、よく勝負を挑まれています──。