バクマン。 #134-2 「独走と鈍足」 以心伝心と最終決戦

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『バクマン。』 134 ページ 「独走と鈍足」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 26 号)

Walpurgisnacht (13)
(最後の戦いにふさわしい──夜が来た)

もともとマンガをバカにしていた岩瀬が、次から次へと前よりも強敵が出てくる「インフレ・バトル」の話を書いている。人は変われば変わるものですね。

おそらく岩瀬は、連載を始める前に大量のバトル・マンガを読んで研究したのでしょう。そこまでした原因が、けっして手の届かない「初恋の人」というのも切ないけれども……。

あとは服部の助言だけが頼りだったため、岩瀬が書く話は、七峰透のマンガ以上に寄せ集めの内容になっていたはずです。そのわりには、アニメ化の決定までが早かった。

岩瀬と服部が作った原作から、マンガの天才・新妻エイジがアレンジを加えることによって、『+NATURAL』は人気マンガとなったのです。エイジの力がなければ、もっと早く人気が失速したに違いない。

「自分に誇りを持っている努力家」という共通点を持っている岩瀬とエイジは、もっと上手に連携して欲しいところです。中継している担当者に問題があるのかも。

ワンパターン です

『+NATURAL』の人気はエイジがアレンジしたおかげ──と上で書きました。そう考えると、今回のエイジが言っていることには、多少の違和感を覚えます。

もしかして、原作に手を加える割合を、いままでよりも減らしているのでは? それが本当であれば、手抜きとは言えないけれど、人気の低下には つながっている。

プライドの高い岩瀬のことだから、もっと原作より面白くして欲しい──なんて言うわけがありません。もしもエイジが『+NATURAL』を終わらせたいのであれば、「権限」など使わうまでもない。

『+NATURAL』を自然に(ナチュラルに)終わらせて、『CROW』に専念するために、最近のエイジは頑張っていたのかな──とこのページを読んだ時点では思いました。でも、そんなに単純な話でもないような気がします。


『+NATURAL』が終わりに向かっても 仕方ない──という港浦の考えは正論ではあるけれど、彼のテキトーな性格のせいで、自分の担当している作品に愛がないと感じました。

ただ、ピークが過ぎてる作品を、最後はキレイに終わらせる工夫は、たしかに必要だと思う。せっかくの傑作が、引き延ばしたことで面白くなくなったマンガは山ほどあります。

港浦のことだから、「どうやって終わらせるか」なんて、ミジンコほども考えていないと思うけれど。

2 人でいると 息苦しい……

絵に描いたようにアベコベなコンビのようでいて、「マンガを恋愛のダシに使っている」という点では、似た者同士の 2 人です。

ところが、中井琢郎が何としても欲しがっている「ルックス」と「才能」を、平丸一也は何の苦労もなく手に入れている。さらには、蒼樹紅と つき合っているという──。そりゃ、中井が ひがむのも当然ですね。

そんなにイヤなら 2 人とも机を離せばいいのに、なぜか隣り合って執筆している姿が笑えます。遠くから見ると、サイコーたちがいた中学校の男女みたいだけれど、彼らは内心では喜んでいたはず。──ということは、平丸と中井も!?(ないない)


何だかんだと文句を言いながらも、嫌いな人間の下で ちゃんと仕事をしている中井は、偉いと思う。自分の作風を主張しすぎることもなく、平丸の絵柄に合わせています。

──まぁ、それは社会人なら当たり前のことだけれど、当たり前のことをできる社会人は、やっぱり偉い。

不幸の連鎖を巻き起こす魔性の女──加藤と出会ったあとの展開(蒼樹に暴言・高浜の連載すっぽかし)がなければ、中井の仕事は誰もが高く評価するところなんですけどね……。

そんな中井を見習って、彼から絵の技術を学ぶ平丸──という展開も見てみたい。ただ、絵が上手になったら、平丸のマンガは面白くなくなる気もします。ネガティブな気持ちになっただけで、面白いアイデアが次々に出る──という特殊能力の持ち主だし。

その才能は、休載中の天才作家に分けて欲しい……。

中井くんに 女性を?

中井に対して、まるで遠慮がない態度の吉田編集です。『バクマン。』では中井と初対面だけれど、当然のように「スーパーアシスタント」のことを吉田は知っていたのでしょうね。ほかのマンガ家のところで、中井と会っているのかもしれない。

服部よりも策略家の吉田だけれど、「作家のプライベートのことまで口を出す編集者」という描写は、問題にならないのでしょうかね。もちろん、マンガでの できごとを問題にする人がいたとしたら、その人のほうが おかしいと思うけれど。

キミを スーパーマンガ家に

イケメン・マッチョな中井(のイメージ)には大笑いしました。どちらかと言うと、振り返るのは女性よりも──という感じですケド。

グータラな平丸を人気作家に育て上げた吉田氏の調教能力があれば、中井も一流のマンガ家になれるかもしれませんね。

『hideout door』は失敗作と言える終わり方だったけれど──、どちらかと言うと、蒼樹紅の書く話に問題がありました。中井の作画は高く評価されていたから、女性の顔だけ上達すれば、すくなくとも「スーパー作画担当」には短期間でなれるはず。

つまり、吉田の提案はムダなのでは?

ところが面白いことに、吉田の考えた長期に渡る プロジェクト(の結果)こそが、中井の求める道なのです! (いまの)中井にとっては、マンガ家としての成功よりも、女性にモテることのほうが大事だと思っている。

あくまでも平丸のために吉田は愛のムチを振るっていて、中井は その道具でしかありません(どんだけ平丸が好きなんだよ!)。でも、これをきっかけにして、亜城木夢叶や福田真太たちと一緒に連載を目指していたころの、マンガに人生を賭けていた中井に戻ったら良いなぁ……。

4 週連続 1 位 !!

現在の『CROW』は、全キャラ 出して 最終決戦のような展開らしいです。この話は、かなり気になりました。そこまでして『CROW』を盛り上げる理由は、何だろう──。『PCP』が不調だった亜城木を応援するためなら、もう目的は達している。

また、『PCP』の順位が変わっていないのは、ちょっと違和感があります。模倣犯を批判する内容でウケただけではなく、真の実力が付いてきた──ということでしょうか。亜城木の場合は、調子が良い時ほど悲劇が起こりますからね。

高浜昇陽を応援している自分としては、港浦の独白が不安になりました。港浦はドラマに期待しているけれど──、逆に「ドラマ大失敗フラグ」なのでは……。