『バクマン。』 74 ページ 「同級生と闘争心」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 12 号)
今週こそは──と思い続けて、はや何週間でしょうか……。
何のことかというと、「亜城木夢叶の復活」ですよ。2 人でマンガに情熱を燃やしていた、あの熱い日よ、もう一度!
人物の精神状態や状況を、激しく緩急を付けて描くのが『バクマン。』の特徴です。そして、展開の速いこと速いこと……! それなのに、サイコーとシュージンがノンビリしている期間が、あまりにも長いのです。
ひょっとして、このままずっと、亜城木の 2 人は沈んだままなのでしょうか……?
にしても 几帳面だよね
今回、かなり山久の良いところが見られましたね。近いうちに、港浦をぶっちぎりに突き放すほどの、優秀な編集者になるのではないでしょうか(もうなっているかも)。
まず、岩瀬・エイジの新連載『+NATURAL』が掲載されたジャンプの見本誌は置いていき、亜城木夢叶の『走れ! 大発タント』の掲載分は渡さない──という「作戦」が素晴らしい。
そう、これは山久の戦略と見て間違いないでしょう。すべては、静河流が自分から連載に向けて意欲を燃やすように、と山久が考えてやっているのです。
ただ、静河がジャンプを自分で買いに行ったとしか
──というのは違うでしょう。お母さんに買ってきてもらったのでは? どうでもいいことですケド……。
焦るな………
ついに、初めて静河が山久に話しかける!
『タント』の感想を山久は聞いたのに、静河の応えが僕でも できるでしょうか…
でした。自分のことしか考えていない・話そうとしない、というところがイイですね。どこまでも、自分のことばかりです。ぜひ、ずっとその姿勢を静河は貫いて欲しい。
「引きこもり」と言われることを、静河は極端に嫌う。それが分かっているはずなのに、なぜ山久はイヤミったらしく言うのか? 初めて読んだときには、ビックリしました。せっかく、静河との距離が縮まってきたのに……。
怖えーーー
服部以上に無表情だった静河が、こんな悪鬼のような顔になりました。よっぽど、ヒキコモリとは言われたくないのですね。
過去に何があったのかは知りませんが、静河は自分自身の意思で自宅にこもっている。本来であれば、親でもない山久に、キビシいことを言われる筋合いではないのです。
しかし、静河はジャンプにマンガを投稿してきた。そしていまでも、連載を目指す気持ちがある。だったら静河の意をくんで、担当の編集者である山久は彼に協力する必要があるわけです。
それにしたって、山久の接し方は親身すぎる。まるで、同級生のようです。なにしろ、どんな仕事でも 楽な仕事なんて ない
(キリッ──といいながら、ゲームのコントローラを握っていますからね。大学生あたりが友人とアーデモナイコーデモナイと論争を戦わせているみたいです。
ところがこれこそ、静河に火を付けるには有効な手段なんですね。憤怒の表情をしていた静河が、ビミョウに変化しました。この、山久への・世間への・自分への怒りを、創作意欲にぶつけてくれるといいですね。
先週が異常 なんですから
今週号では、エイジの仕事場と静河流の自宅で、緊張感のあるやり取りが見られました(平丸は知らん)。それに比べて、亜城木夢叶の仕事場の、なんと和やかなことか……。連載が始まったというのに、サイコーにもシュージンにも熱意が感じられません。
さらに、港浦のやる気のなさは異常です。ほかの福田組メンバが順調であることも、「服部先輩に言われたから」気がついた、という……。そんなの、サイコーとシュージンを見てきた人間であれば、真っ先に福田組の動向を確認するはず。もう本当に、サラリィマン的な仕事ぶりですね。
親の心子知らず──服部の心亜城木夢叶知らず(語呂が悪い)。ここまで服部が根回ししたことを、まだ亜城木の 2 人は気付いていません。シュージンなんて、新年会で服部に冷たくされたことを、いまだに根に持っている。
あれ……、亜城木夢叶って、もう、ダメなのかな……。
サイコーをマンガの世界へ引き入れたシュージンの情熱は──入院してまで原稿を描き続けたサイコーの根性は──どこへ行ったのか……。