『バクマン。』 147 ページ 「使い捨てと闘争心」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 41 号)
編集長が七峰に突きつけた条件は、とても厳しい。
──でもじつは、以前に編集長が言った「マンガは面白ければ 連載される
」という言葉どおりでもあります。それに、ライバル同士で戦わせるのが好きなのでしょう。
前のページで編集長は、もう七峰と関わらないような発言をしていましたが、これで一貫した態度を保つことができましたね。
どんな 作り方をした ものだろうと
作家が持ってきた ネームは絶対 見ます!
(キリッ ──と格好いいことを言っている小杉ですが、七峰透がネームを持ってくるまで、何もせずに待っていただけという……。
ただたんに描写がなかっただけで、何度も七峰と連絡を取って、小杉は今後の方針を決めようとしていた──というなら分かります。しかし、次のページの会話を聞く限りでは、どうもそんな雰囲気でもない。
編集者・小杉の仕事って、何だろう……。
こっちから連絡 入れようと思ってた
父親の力とはいえ、大きな会社の社長になった──いわば一国一城の殿様なのに、七峰は佐々木編集長に対して腰が低い。ここがコミカルで、そして彼らしくて面白かった。よく聞くと、小杉に対しても丁寧語なんですよね。
さすが七峰、一流の「猫かぶり士」やでェ!
編集長が言うとおり、シンジツコーポレーションで一番の問題点は、ベテラン作家を試験的に使い、そして切り捨てたことです。それがなければ、支持する編集者も多かったと思う。
なぜ、七峰透は作家を使い捨てにしたのか?
だが まだ チャンスは やろう
上の問いの答えは──、面倒くさかったのでしょう。
最初から七峰は、原作者たちを利用して連載を勝ち取り、亜城木夢叶を倒す計画だったはずです。その前に、原作者の実力を調べるため、ベテランの作家を起用した。──自分が作画するのは面倒という理由で……。
ここで書かれている七峰の内心で、そう確信しました。
それだけではなく、今後も熟練マンガ家を使い続けるのは、経営の面から負担が大きい──と判断したのではないでしょうか。七峰のためだけに用意した原作者やモニタの時間を、ベテランたちに割り当てるのも、効率が悪い。
だから、東や新井たちを捨て去った──。
新妻エイジの予言は、ここまで想定して ようやく出てくる一言です。とてもじゃないけれど、雄二郎を経由した情報からは、「計算して」はじき出せる結論ではありません。完全に超能力者──だよなぁ……。
他誌で だと?
全身に死亡フラグが立っている七峰です。
過去に発表した SHINJITSU.CO 作品の順位を見れば分かるように、だんだんと下位に落ちている……。このままでは、七峰自身が描く次回作は、10 位にも入らないのでは?
順位の落ち方からすると、作画を担当した作家の力量 以外にも、問題があるのでしょうか。シンジツコーポレーションの原作には、どれも似たような部分があるのかもしれない。
原作者たちや響からすれば、「ジャンプ」というか集英社に こだわらず、他誌へも市場を広げたいでしょうね。やる気がある原作者なら、2 社・3 社と かけ持ちしたいはず。
まさか、亜城木夢叶という一組の作家のためだけに、こんな大きな空間を用意するなんて──、そんなばかげた計画は、七峰のほかには誰も想像していないでしょう。
そう言えば、七峰から計画を聞かされたサイコーとシュージンは、あっさりと受け入れて対抗心を燃やしていましたが、それも何だか おかしな話です。
亜城木の 2 人は、本当にライバルと戦うことしか考えていない「バトルマニア」ですね。だがそれがいい! できればこの 2 人には、50 代になっても同じように好戦的でいて欲しいです。
そのころもまだ、アニメ化を目指していたりして……。