『バクマン。』 30 ページ 「団結と決裂」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 17 号)
今週号の中盤には、ジャンプ編集部への「殴り込み」が描かれる。またひとつ、マンガ業界への波紋が広がった。ほかのマンガ家は、どのような気持ちで『バクマン。』を読んだだろうか。
まったくどうでもいいことが気になった。「福田組」の四人も編集部員も、ほとんどが「白いシャツ」だ。瓶子副編集長だけが、ひとり、黒い。何かの隠喩だろうか……?
ただたんに、小畑さんは白シャツが好き、ということだとは思う。『DEATH NOTE』の L も、ずっと白シャツで通したし。たぶん、L のシャツは一着が 2 万円くらいする高級品だろうけど。
白い T シャツ(カットソー)は、気軽に着られる。しかし、年を取ってくると、着こなすのは難しい。よっぽど体形が良くないと、安物の T シャツは見苦しい。清潔にしていても「清潔感」が出ないのだ。
シンプルな服ほど、高級な素材が望ましい。
とくに、20 代の後半をすぎると、もう「ユーズドのカットソー」が「ボロ」に見える。──それでサマになる人はいいけど、そんな人は、なかなかいないのだ。ガタイかツラが良くないと、ね。
そんなわけで、中井や相田の着る白い T シャツは、限りなくダサい。ダサいのだが──編集者とマンガ家(志望)「らしく見える」。
そう、洋服がマンガを描くワケではないのだ。マンガ家の服装など、誰も気にしない。──べつに、あるマンガ家への批評ではないが(余計なことを書くな)。
殴り込みに 来るぞ
受付からの(内線)電話を聞いて、すぐに 4 人組を編集部へ誘導した、相田の対応が面白い。
このあとの展開が読めるのだから、編集部ではなくロビーで対応するべきだろう。相田が言う殴り込み
は比喩だろうが、本当に暴力沙汰になるかもしれないのだ。
この場面は、マンガ的な御都合主義が入っている、とも見える。ひょっとしたら、相田と受付嬢との間で「何とかロビーで話せないか」「──いえ、どうしても編集部で話がしたい、とのことです」みたいなやり取りがあったのだろうか。
いや、むしろ、ロビーで騒がれたほうが、やっかいだ。持ち込みに来たほかの人に、印象が悪くなる。
そこまで一瞬で考えて、すぐに編集部へ上げさせた、と見るべきか。──やるじゃん、相田!(上から目線)
若いってのは いいよな
佐々木編集長と瓶子副編集長との会話を見ると、ゲンドウと冬月を思い出した。顔の長さと立場との関係が、逆になっているけれど(失礼)。
それにしても──瓶子の「一人 若くも ないのも いますが
」は、的確すぎてヒドい。「もうやめて、中井のライフはゼロよ!」と言いたくなる。まぁ、蒼樹紅がいれば、どんなことを言われても中井は平気だろうが……(いまのうちは)。
福田は、雄二郎を下に見ている。面会の優先順位も「相田>服部(哲)>>>>>雄二郎」という感じだ(一部、自分の誇張あり)。普通なら、せめて相田の次は雄二郎の名が挙がりそうである。服部は雄二郎に敬語を使っていたので、立場は雄二郎のほうが上のはず。それに、天才・新妻エイジの担当しゃなのだ。
──まぁ、雄二郎なら、仕方がないか……(え?)。
これ 卑怯ですよね
ついに、福田と雄二郎が激突する。
相変わらず自分の意見ではなく正論ばかりをはく雄二郎に対して、あくまでも敬語で抗議する福田が格好いい。以前はタメグチだったから、ほかの編集者がいることを意識しているのだろう。
雄二郎は、ずっと「ずるがしこいオトナ」の象徴として描かれている。今回の「人気を取った者の勝ちだな
」という発言からは、マンガへの愛が感じられない。いい加減でも無能でも良いから、マンガだけは愛してくれよ!
ここまで徹底してダメな編集者として描いてあると、ちょっと雄二郎がカワイそうになってきた。少しくらいは、良い面が見られるといいのだが。
──「かわいい」も「かわいそう」も、自分より下にいる存在に対する言葉である。
代わりは いくらでも いる
雄二郎に続いて、相田の発言にも失望した。相田、お前もか……。
「嫌なら エントリーから降りろ!
」は問題ない。代わりがいると言われて降りるような根性なしは、この業界では生き残れないだろう。
しかし、続く言葉が納得できない。
KOOGY のエントリーを外したら 逆に問題に なる
、というのは おかしい。外野の芸能ニュースごときで、エントリー作品を確定させるのか、週刊少年ジャンプは。そんな外部の力に屈するような軟弱なモンだったっけ? ──あ、それはそうかも(ヒント: PTA)。
辛口だけどマンガを見る目は確かだと思っていた相田だが、ちょっと、株が下がった。──あくまでも個人的な意見だし、現実世界の相田氏とは無関係だが(当たり前)。
内容で 勝てばいい
この編集部への抗議は、どんな結末になるか、楽しみながらも不安だった。結果は、非常に少年マンガらしくて良い。珍しくサイコーが格好良かった。
自分でイイことを言いながら照れているサイコーと、福田の「カッコイイこと 言ってるけど
」「その通り だな
」が最高に面白い!
振り返ってみると、福田と一緒にノコノコと編集部までやってきたあとで、サイコーのこの宣言は、まるでコントだ。そりゃ、福田もオチ(ノリツッコミ)を言いたくなる。それを、本人たちは大マジメにやっているから面白いのだ。
福田は短気というか、頭の回転が速くて、頭の心は冷えているのだが、体が先に動くタイプだ。『ToLoveる』──もとい、トラブルメーカだが、カリスマ性がある。周りは大変だが……。
けっきょく、間界野昂次のやり方が気に入らなくても、そこに文句を言う意味はない。もし仮に、当初の福田の要求が通って KOOGY が降ろされていたら、金未来杯を取った者は後味の悪い思いをしただろう。
正々堂々と戦って、勝つ。それこそが、ジャンプマンガの主人公だ。
