バクマン。 #158-3 「間延びと一気」 寿命とラジオ

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『バクマン。』 158 ページ 「間延びと一気」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 01 号)

Radio Daze
(たとえ寿命で壊れかけても──思い出は消えない)

シュージンが挙げている「看板作品」のなかで、きちんとした戦いを描けているマンガは、『ドラゴンボール』と『スラムダンク』だけです。

そのほかの作品(の序盤以降)は、ほぼ「第 1 回チキチキ 格好いい必殺技の名前を考えて叫びまショー」になっている。「技名さけぶ」→「ドン!!!!」ばかりです。

いったい、いつから「バトルを描かないバトル・マンガ」が定番になったのだろう──。

今週号の『HUNTER×HUNTER』では、迫力のあるバトルが描かれました。しかし、じつは基本技の応用を駆使しているだけで、派手な「必殺技合戦」ではない。それでいて極端な描写の省略もしていません。素晴らしい!

HUNTER×HUNTER #327 「謎々」 こびりつく愛がネック | 亜細亜ノ蛾

亜城木夢叶の『REVERSI』は、王道のバトルを描いている。肝心の戦う場面は、どのような描き方なのでしょうかね。新妻エイジの『ZOMBIE☆GUN』のように、ネームを読んで身震いが出るような戦闘シーンなら良いけれど──。

何か薄いな

「せんせー、高木くんが買い食いしてるの見ましたー いけないと思いまーす」みたいな告げ口顔のサイコーが最高ですね! いやだから、もっと早く言ってあげればいいのに!

必死に弁解しているシュージンと、ポカン顔で「引いて」いるサイコーが、見事なコンビ芸で「シリアスな笑い」を見せてくれます。おもしろいなー。

ここに出てきた看板のなかは、冨樫先生の作品が入っていません。政治的な「何か」を感じるけれど、気のせいだといいな。たとえば、『てんで性悪キューピッド』とか、ね。

看板になって アニメにして
サイコー:
「誰が 『ずっと』なんて言った?(ドドドドド……」
シュージン:
「なん……だと……!?」

たしかに、長く続いて勢いがなくなった時期に、ようやくアニメ化することが多い気がします。せっかくアニメが始まったのに、「ジャンプ」を読んでみたら最後のほうに載っていたりして。

──べっ、べつに、つい最近アニメになったスポーツマンガや子育て(?)マンガの話じゃないんだからねっ!(新ジャンル: ツンイヤミ)

バクマン。』のなかでも以前に言われていたように、新人作家と新連載を多く世に出すことで、「ジャンプ」は発行部数を伸ばしました。これからは、一気に 駆け抜ける マンガも大事にするべきですね。

──『タカヤ 夜明けの炎刃王』や『ロケットでつきぬけろ!』・『チャゲチャ』のことかーーーっ!!!

黒悪魔と白悪魔の 対決を

作品の質が高いまま長く連載する。──それは理想的な形だけれど、最初から考えるべきではないでしょう。

HUNTER×HUNTER』のコミックス第 1 巻で、これから 10 巻 20 巻とだしていけるようにがんばるつもりです──と冨樫義博先生は書いていました。そして、実際に面白い作品を描き続けている(途中で いろいろあったけれど)。

そう、あの冨樫先生ですら、こんなにも控えめなコメントを残しています。まだまだ「駆け出しの作家」である亜城木夢叶は、がむしゃらに走り続けるしかありません。

常に トップ狙って

「短期でも良いから看板にして欲しい」と服部は言う。彼のことだから、サイコーに対して「お世辞」を言うわけがない。これは本心なのでしょう。

しかし、普通の編集者が思うことだろうか?

『CROW』は、ある程度の長期連載をして、しかも人気絶頂のまま終了しました。こういう「前例」が出た以上、編集部は同じような看板タイトルが欲しいのでは?

ただ、作中の編集部は「いいひと」ばかりなんですよね。むりやりに延命させて『REVERSI』を台なしにしようとする「悪の編集者」と、「正義の編集者」である服部とのバトルが見たかった! ──港浦では力不足だし。

すぐに終わっても

「良いことのあとは必ず悪いことが起こる」──という定石のような展開が『バクマン。』では多い。最近では ひねりを加えて、「悪いことは続けて起こる」ことが増えています。

そのため、このページの見た目から、『PCP』の「模倣犯」が出てきた時を思い出しました。アレはイヤだったなぁ……。あの事件とは対照的な『アズキュ~ンナイト』という語感に、脱力感を味わいました。

ところが、今のシュージンにとっては、亜豆美保の活躍も喜ばしいことではなく、早くアニメにしなければ──という重荷にしかならない。


そんなシュージンの心情を知らないのか、親友である美保の成功を一緒に喜ぶカヤが良かった!

だんな様は浮気をするヒマもなく働いているし、いつも一緒にいられるし、まわりからは「先生の奥さん」に見られて鼻高々になる。──けっこう理想的な環境にいますね、カヤさんは!

「勘違いの告白」から始まった恋をつかみ取ったカヤと、たまたま取った電話から成功を拾った雄二郎は、この作品で一・二を争う幸せ者です。この 2 人で、「しあわせバトル」をしてみては?