『バクマン。』 86 ページ 「勝ちと負け」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 25 号)
編集者たちが『完全犯罪クラブ』を読んで、うれしそうに話している場面が出てきました。
子どもたちが『完全』を読むと、自分たちのことが描いてあるように思えて、のめり込める。オトナたちは、自分自身の体験を思い出して、話に引き込まれる──そんなマンガのようです。
これも、『完全』がリアルな絵柄と話だからですね。いくら面白くても、現実味がなければ、
「マンガの世界だけのこと」
と割り切って読んでしまう──ってばよ! ……だと…… !? ドン!!!!
──えっと、いちおう書いておくと、リアルだから良い、マンガ的だから悪い、ということは断じてありません。いろいろなマンガがある、ということですね。
それに、マンガを通して自分のことを語ることは、たとえば、
「『ドラゴンボール』を読んでいた、あの当時のオレ」
でもできるわけです。
このブログを書いた人(オレオレ)が語尾で遊んでいるだけのことを、真に受けないように!(なら書くな)
この上ない 出来だと 思います
いよいよ連載会議の場で、『完全犯罪クラブ』が評価を受けることになりました。
意外なことに、吉田ひとりだけが、『完全』の内容に修正を求めています。吉田は、亜城木を支持しているのではなかったのか? それに、こんなに細かいところまで文句を言う人ではなかったと思う。
──そう思って読んでいると、最終的には編集長の口から、そこは 評価すべき点と取るべきだ
、という評価が出てきました。
もしかして、こうなることを予想して、吉田は批評をしていたのではないでしょうか。
つまりは、今後も、こういうツマラナイ部分での描き直しが起こらないように、どこまでが表現として許されるのかを確かめた──、ということです。
サイコーは会議の結果を心配していましたが、会議出席者 全員の評価も 良い
、という高い評価を『完全』は受けました。
このまま、何事もなく会議が終われば良かったのですが……。
進むべき道
副編集長の瓶子も、亜城木夢叶の才能を評価している一人です。ずっと見守っていた作家が大きな羽を広げたのを見て、ホッと一安心──というところでしょうか。いい表情ですね。
私も良い評価をしたが
さて、『完全』がアッサリと会議を通ったところで、次の場面へ──とはなりませんでしたね……。
サイコーが入院した時には、彼が退院するまでの間、編集長は亜城木夢叶の原稿を掲載させませんでした。それに今回は、「エイジに勝つ作品」だけを載せるという条件を、シュージンのほうから出しています。
──編集長がここで「待った」をかけることは、当たり前ですね。
つまりは、『完全』が新妻エイジの作品 「CROW」 「+NATURAL」に 勝てるかどうか
をこの会議で話し合うことは、初めから決まっていた。
それでも──、切羽詰まった作家の口からとっさに出た言葉を、編集長がそのまま受け取るのは、どうかと思います。ここまで連載会議での評価が高い作品を、すでに人気が出ているマンガと比べるのは、ムチャな話でしょう。
こんな 話し合い おかしいんじゃ ?
エイジがジャンプ誌上で 2 つの作品を描くと決めた時にも、連載会議は異常なフンイキになりました。今回は、その時よりも重苦しい空気が流れている。
今回の瓶子は、じつに副編集長らしい態度をとっています。亜城木を応援しつつも、連載を許可するかどうかを冷静に公平に話している。
やってみなければ わからない
だとか、勝てる可能性があるか
なんて、普段は瓶子が言いそうなセリフです。──瓶子副編集長が頼りなくみえるのは、編集部にいる時だけ──なのでしょうか。
この出来なら…
まだ救いがあることに、編集者の誰もがこの時点では「亜城木はまだ、エイジには勝てない」と断言していません。吉田の言うように、いい線まで いく
、と思っている編集者が多いのでしょう。
ところで、編集者たちと読者に水を差すようですが──。
シュージンは、新妻エイジに勝ってみせます!
と編集長へ宣言したあとで、新妻エイジと 競える作品を 真城と 作ってみせます
と言い直しています(「79 ページ」)。
つまりは、「エイジに勝つ」のではなく、「並ぶ」だけでも掲載させてくれ、と頼んだんですね。秀才のシュージンらしい交渉術──だったのかもしれません。
でも、いまさらそんな揚げ足を取るような話には、ならないだろうな……。
