バクマン。 #98-4 「握手と手直し」 PARTY!! と平均順位

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『バクマン。』 98 ページ 「握手と手直し」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 39 号)

Disney - Holiday Wishes (2) (Explored)
(パーティには──花火が似合う)

今回は、作中作の『PCP』が描かれました。

第 24 話 のラスト 4 ページだけですが、『バクマン。』本編と同じようなクオリティで展開しています。サイコーはもはや、小畑健さんと同じくらいの画力を身につけた──ことになる。

「おじさん」も、あの世から応援しているでしょう。

港浦の感想を見ても分かるとおり、『PCP』はグイグイと画面に引き込まれる──「読まされる」マンガですね。後味の良い『DEATH NOTE』という感じ。

必ず この手で ……

明知のうしろには、シルエットになった「PCP」の 3 人がいる──。メチャメチャ格好いいコマですね!(「ジャンプ」本誌だと、印刷がツブれがちなのが残念) バトルマンガでよく見る演出みたい……だと…… !?

「たまたま明知は窓の外を見たままだったけど、振り返っていたらどうするんだ?」とか「マコトは砂場から職員室まで、何秒で走ってきたんだろう?」とかは、考えてはいけない!

猫のような目をしている明知は、すこしだけ岩瀬にも見えます。「亜城木夢叶のライバル」をイメージしたキャラなので、エイジや岩瀬・ほかのライバルたちの要素も入っているのかも。

と言うことは明知は──、ツンデレか!(蒼樹・岩瀬)

ひとつだけ 教えて くれないか?

この場面を初めて読んだ時には、「──マコトの声で『PCP』の正体が分かるのでは?」と思いました。そして再読の際に、ボイスチェンジャ(ヘリウムガス?)を使っていることに気がつく。

──ん? ということは、このキマッている場面のマコトは、メッチャ高音でしゃべっているということですよね。ちょっと、笑える。アニメになった時に、どうなんだろうなぁ……。

うしろのほうでツンとすまし顔の、安之城舞がミリョク的です。亜豆がモデルのキャラクタだけあって、サイコーも気合いを入れて描いているのでしょうね。もうすこし、舞の出てくるシーンを見てみたい。

さて、『PCP』のページはここまでですが、今回の『バクマン。』はまだ続きます。初回にはそれに気づかずに、「今週も面白かったな……!」とページを閉じそうになりました。それくらい、イイ読後感なんですよね。

その良い印象がどこから来ているのかというと、明知が最後にありがとうと言うところです。

「PCP」は明知をライバルと認めていますが、明知のほうは「PCP」を敵と思っていたのかもしれない。それがここに来て、明知が「PCP」に礼を言うことで、「お互いに握手を交わした」のと同じ印象を読者に持たせた──のだと思う。

「ジャンプ」マンガでライバルと言えば、最終的には仲間になることがほとんどです。

今回の明知は、「PCP」のライバルであり続けることを選んだ。すこし振り向くだけで、ほかに得がたい「友だち」を手に入れられたのに……。基本的には一人で戦い続けることを、明知は選択したのです。その切なさが良い。

ラストシーン カッコイイですね…

港浦と山久との言い争い(なかよく けんかしなっ♪)は、いつの間にか見られなくなりました。その代わりに、港浦は雄二郎と口げんかをしている。そのうち、瓶子副編集長クラスとバトりそうな勢いです。

「控えめな厚かましさ」が持ち味の港浦ですが、初期のころは、もうちょっと押しつけがましい人物でした。──たぶん、かなり不評だったんだろうなぁ……。それとも、作者自身が「ウザッ!」と思ったのかも。

自分が担当している作家を持ち上げる意見を、先輩・後輩も関係なく、エンリョなく言い合えるなんて、いい職場ですね。

──あ、それにしては、(運の良さによって)ヒット作を何本も世に出し続けている雄二郎が、まったく出世していないのは、どうしてなんでしょうか。やっぱり──、「ジャンプ」編集部も年功序列なのかもしれませんね。

雄二郎が言うとおり、『PCP』という高順位が 打切りになったりしたら 前代未聞です。

ということは──、佐々木編集長は「前例がない」ことを極端なまでに嫌う人物なので、『PCP』の打切りもない──と思いたい。

運命の日だな…

もはや結果を待つのみ、のサイコーとシュージンです。入試試験の合格を祈る学生や、告白の返事を期待する若者などの心境に似ているのでしょうね。待ち遠しいような、苦しいような……。

それでも、2 人の待つ姿には、余裕が出てきましたね。これまでにも何度も、編集者に・読者に・恋人に、試され続けてきたコンビです。

ダメで打ち切られたら 次を描くだけ、というシュージンの言葉は、頼もしくもあり、心細くもあり……。考えてみると、『PCP』への愛を感じない発言でもあります。

はたして判決の結果は──。