ブラックなショート・ショート集
筒井康隆氏のショート・ショート集を読みました。
表題作の『笑うな』のような馬鹿馬鹿しい作品や SF、ホラーのような短篇など、は実に多彩な全 34 編の作品集になっています。
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まず、導入部で書かれている、20 年まえに起こった悲劇が印象的です。子供ふたりがふざけて遊んでいたところ、一人が重傷を負い、一生、下半身が成長しなくなってしまいます。そこで、けがを負わせた子が、一生面倒を見ると誓うのです。
その後、20 年経った夏の終わり、「ロートレック荘」と呼ばれる別荘に訪れます。
ありがちな古い洋館(隠し扉もあるよ)に、ありがちな人々(お金持ちとか)が集い、ありがちに殺人事件(しかも連続)が起こる!(どぎゃーん!) ──などという陳腐な小説を、筒井康隆氏が書くわけもなく。淡々と、しかしじわじわと迫ってくるような文体で読ませます。
そして、やはり予想外の結末が書かれていました。──ミステリィで、「予想外の結末」ほど「想定内」なことはないのですが。
もしもこの小説が「はてなダイアリー」に書かれていたなら、「おとなり日記(小説)」には、あの作品とかあの作品とか……作者名を書いただけでもネタバレになりそうな小説が並ぶことでしょう。それくらい、トリックや小説の構造は、ミステリィファンにとってなじみのあるモノです(いやでも、あの作品を知らない人は度肝を抜かれるよなぁ……ぶつぶつ)。
しかし、圧巻なのがラスト。ここでも、ありがちに謎解きが行われるのですが──ちょっと、他では見たことがないくらい「丁寧な答え合わせ」になっています。ここまで徹底されると笑えてくるというか、パロディ小説と見ることすらできそう。
つまり、予想外なのはトリックよりも謎解き部分という、ひねった構造になっています。
そして、最後のほうで息を呑みました。──うーん、やっぱり凄い。何とも悲しい物語ですね。
全く前知識なしに『エディプスの恋人』を読みました。
なんの前置きもなく、主人公の(ちょう美人)女性・火田七瀬が「他人の意識」を読み取っている、という描写に驚きました。まぁ、普通に日本語が読めて、ある程度の創作物に触れてきた人なら「ああ超能力か」と解りますし、わざわざ説明していないことが、逆に「すこし・ふしぎ」な世界観にのめり込むことができました。
──と思って読了後に調べたら、本作品は「七瀬シリーズ」と呼ばれる三部作の、三作目だったというオチ。前作を読んでいれば、「いきなり読心術?」と唸ることもなかったわけです。でも、前知識なしで十分楽しめたし、色んな書評を読んだところ、それぞれの作品が全く別の作品のように独立しているとのこと。良かった好かった。
主人公の七瀬は、名門高校の教務課事務員。彼女は、他人の意識を読み取ることができる超能力者。ある事件をきっかけに、特殊な精神構造を持つ高校生である「彼」の謎に近づいていく。やがて七瀬は、彼を守る「意識」の存在に気がつき……。