『ブラック・ダリア(The Black Dahlia)』
作家 ジェイムズ・エルロイの名を、一躍 有名にした小説『ブラック・ダリア』は、実際に起こった未解決事件を モチーフにしています。
ref.: ブラック・ダリア事件 – Wikipedia
15-16 歳くらいの少女が、無残な死体となって発見された──という ところまでは同じですが、そこから先は創作のようですね。
さて、監督は、この作品をどう料理したのか──。
──えっと、ブライアン・デ・パルマといえば、『アンタッチャブル』が良かったですよね(望遠)。あの頃は良かった……。
不振続きのデ・パルマですが、本作品も まだまだのようですね。
ストーリィ
元プロボクサーの警官、バッキー・ブライカート(ジョシュ・ハートネット)とリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)は、ロス市警で「ファイアー・アンド・アイス」と呼ばれる名コンビ。
彼らは、女優志望で「ブラック・ダリア」と称される女性、エリザベス・ショート(ミア・カーシュナー)が、無残な死体となって発見された事件に挑む。バッキーは正義感から、リーは自分の名を売るため。
リーの恋人、ケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)は二人の関係を見守っていたが、やがて微妙な三角関係が壊れていく──。
バッキーが出会った謎めいた令嬢、マデリン・リンスコット(ヒラリー・スワンク)によって、意外なところから事件の真相が暴かれていく。
- ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組
- ジョシュ・ハートネット スカーレット・ヨハンソン ヒラリー・スワンク
- 東宝 2007-05-18
- 楽天ブックス: ブラック・ダリア コレクターズ・エディション
by G-Tools , 2007/12/03
古き良きアメリカ
1940 年代後半のロサンゼルスが、見事に再現されています(見たことは無いけど)。町並みや人々のファッション(男はみんな同じ)、自動車など、「古き良きアメリカ」を感じさせます。
しかし──、振り返ってみると、1920 年代から 1940 年代くらいのアメリカを舞台にした映画って、「雰囲気は良いんだけどね……」という出来の作品が多いような。単に自分の好みと合わないだけかもしれませんが、『ディック・トレイシー』とか『シカゴ』とか、本作とか……。
複雑な人間関係
小説版は、人物同士の関係が複雑で、図に描いてみないと把握が難しい、と言われています。映画では、そこまで複雑に見えませんでしたね。小説とは違い、かなり内容を省いたのでしょうか?
『ツイン・ピークス』のファンだったら、これくらいで人間関係が複雑、とは思わないですよね。
それに、見方を変えると、バッキーを中心にすると複雑に見えるだけで、ダリアを中心にしたりすれば、そんなに込み入った関係でもないです。
ミステリィとしての難点
本作品でもっとも不満なのが、「ブラック・ダリアと容姿が そっくりの令嬢」である、マデリンの存在。
ダリアは、殺害後に「顔を傷つけられ、内臓をごっそり抜かれている」、ということで、身元隠しに見えるわけです。そして、マデリンはダリアとよく似ている──。
ここまで言えば、ミステリィ・ファンにはおなじみの「アレ」を思い浮かべますよね。ひとりは貧乏の出、もう ひとりは大金持ち──。もう、「みなまで言うな」状態じゃないですか。
しかし──、「ダリアとマデリンが似ている」ことと、ダリア殺害とは、直接は関係なかったりします(全く関係が無いわけではない、のが ややこしい)。
それに、最後まで見ても、なぜダリアが ここまで無残な姿にされたのか、その必然性が伝わってきませんでした。『魍魎の匣』や『数奇にして模型』のように、「なぜバラバラなのか問題」の答えを、ちゃんと示して欲しかった。
もうひとつ不満なのが、バッキーがマデリンを見つけたのは「たまたま」で、その後の二人の関係も「たまたま」マデリンが気に入っただけ。バッキーが事件解決の手がかりを つかんだのも「たまたま」──。
いや、ミステリィをナメてるんじゃないか? と言いたくなります。
豪華な「昼ドラ」?
後半で、一気に事件の謎が解かれていくのですが、急に早足になったようにテンポが悪く、これまた「たまたま」事件の鍵をみつけたり。
ここで気が付いたのですが、この映画の後半部分って、「日本の昼ドラ」みたいなんですよ。ドロドロとした男女関係、お金持ちは悪人というイメージ、令嬢は単なるアバ●レ──。
そして、バッキーが事件の鍵を手に入れるのが、主にベッドの中という……。主婦向けのドラマを、豪華なセットで見ているような、不思議な感覚。
そのあたり、Wikipedia のストーリィ紹介で、端的にまとめていますね。
title="ブラック・ダリア (映画) - Wikipedia">刑事ブライカート(ジョシュ・ハートネット)は猟奇殺人事件の捜査で、大富豪の娘マデリン(ヒラリー・スワンク)と出会い、他に思う女性がいながらも、彼女に溺れていく・・・
そう、本当に「それだけ」の映画だったような……。
良かったところ
──と、悪評ばかり書いても面白くないので、見どころも。
冒頭の暴動鎮圧(できてないけど)のシーンや、ボクシングのシーン、ここは素晴らしいですね。バッキーもケイも、一目見ただけで強さが わかるような、切れのある動きを見せてくれます。
本当に、この、ボクシングのシーンまでは、「いまから、どんな話が始まるんだ?」とワクワクさせてくれました。このままの状態で、最後まで続いてくれたら、間違いなく名作になったのにな、というのが残念です。