『ダイ・ハード 4.0』 非道な主人公が武士の情けを

シェアする

『ダイ・ハード 4.0』

大ヒット上映中(希望的観測)の映画、『ダイ・ハード 4.0』を見てきました。

「ダイ・ハード4.0」公式サイト

ダイ・ハード4.0 – Wikipedia

劇場で見ると迫力があり、けっこう楽しめました。ネット上で酷評を聞きますが、目をつむり、耳をふさいで、劇場に向かいましょう(事故に気をつけて!)。

迫力の視覚効果

トンネル内で車の暴走、ヘリを車で撃ち落とす、戦闘機とトラックの対決、といった TVCM でおなじみのシーンが見物です。

たまたま前日に深夜番組で、これらのシーンのメイキングを見ました(映画館に足を運んだ理由もこれ)。アクションの担当者が、ネットで「全部 CG に違いない」と言われたが、とんでもない、実際に車やヘリを用意して撮影した、と実際の撮影風景を映していました。もちろん、その上で CG の視覚効果を重ねるわけですね。トンネルのシーンはあまりにも危険なため、車は実際にジャンプしたりぶつかったりしていますが、さすがに人間は後から合成していました。

この手の視覚効果、最近の言い方だと VFX は、もう行き着くところまで行った感がありますね。『マトリックス』シリーズくらいから、あるいはもっと前から、どんなものが出てきても驚かなくなりました。

VFX – Wikipedia

まぁ、本作で「──じつは登場人物は全部ブルース・ウィリスが演じている」「ええー !?」くらいじゃないと(だったらフル CG でいいじゃん)。

生身のアクション

敵でかなり身軽な男がいて、彼のアクションは見応えありました。地形を利用したアクションで、主人公を追い詰めるのです。自分は、こういった人間の身体を使ったアクションが好きですね。『マトリックス・リローデッド』の「100 人スミス対ネオ」とか。

気になる部分

爆弾を仕掛けた部屋へわざわざ暗殺に向かう殺し屋(オチも予想通り)とか、車で轢かれたまま何十メートルも引きずられたのにキックを繰り出すカンフー女(サイボーグかも)とか、ちょっとアレな敵チームが気になりました。

一番気になったのは、誰もまだ敵の正体を掴んでいない状態で、敵のボスが Web カメラで自分を映しながら通信しているところ。そのせいで正体がばれました。オイオイ! と突っ込みたくなるシーンで、ちょっと笑いました。

まぁ、ツッコミ始めるとキリが無さそうですが……。

要求せず

本作でちょっと面白かったのが、犯人側が政府などに要求をしないこと。普通、テロを起こすなら何らかの要求をします。

なんの要求もしないまま、次々に国中を混乱させる犯人グループ。観客を含め、いったい犯人は何が目的なのか──? 最後の方でそれが明かされるのですが、犯人達が働いた「報酬」の取り方に、ちょっと感心しました。

武士の情け?

じつは、『ダイ・ハード』シリーズを見るのは本作が初めて。主人公のジョン・マクレーンが、いわゆる「いいひと」のイメージじゃないのが、ちょっとビックリ。

犯人は全員殺す、がモットーのようで、けっこうむごい殺し方をするのです。しかも男女を問わず。

そんななか、自分が見た限りでは一人だけ、敵の命を助けていました。その敵が特にいい人というわけでもなく、仲間に向かって発砲し、主人公の居場所を敵のボスに教えたのに、簡単に拘束した上で「病院へ行け」と言い残して主人公は去ります。

武士の情け、というより悪魔の気まぐれという感じ。

──あ、違う。いま思い出すと、敵を拘束した場所は(不可抗力とはいえ)爆発炎上するのでした。よけい非道い!

そんな彼は、「自分では望んでいないのに英雄にされる」、ということに悩むのでした……。