『鈴木先生』
スンマセン(いきなり謝る)。いままで「マンガ」カテゴリィを設けて、のうのうとブログ更新してきましたが──
──『鈴木先生』を読んでいなかったのは、マンガ読みとして失格でした。
と言いたいくらい、このマンガはスゴい!
これまた百万回も言われていることかと思いますが、この作品の主人公である鈴木先生が、じつに「人間らしい」のが最大の見どころ ですね。
教師が主人公で、教育現場が舞台の作品となると、「聖人君子」みたいなウソくさい先生が出てくるか、「先生自身がオチコボレだから、同じ立場の生徒も気持ちも分かる」みたいな路線ばかりでした。
または、「日本の教育、イコール、受験戦争に勝つ」という、ある意味ではリアルな描写が話題の『ドラゴン桜』とか。
本作は、悩める教師・鈴木先生の視点で、今の中学教育、そして中学生たちを描きます。──と書くと、アリガチなマンガに思えますが……。
生徒への性教育や、教師の性生活など、本当に描きにくいテーマも積極的に取り上げ、多感な時期の少年少女たちを繊細に描く。その一方で、すべてを ぶち壊しにしてしまいそうな、鈴木先生の「危うさ」が たまらない魅力の作品です。
文芸漫画家武富健治公式ホームページ胡蝶社OXNA.NET (作者のサイト)
描きにくいテーマ
前述したとおり、鈴木先生は聖人君子ではない。
生徒からの人気は高いが、じつは「外面がいい」タイプで、しかも同僚の先生や生徒の何人かには見抜かれている。
合コンが きっかけで付き合い始めた彼女を、いつのまにか「自分が落ち込んだときに相談する便利な女」にしてしまう。
自ら「小川病」と名付けるくらい、女生徒の小川 蘇美(おがわ そみ)に好意を持ち、性的な夢まで見る──。
──教師モノで、エロマンガでもないのに「それ」を描くか、という感じです。
非常に際どい描写が多い本作ですが、それにしても鈴木先生、「一歩間違えば」なタイプですね。
悩む鈴木先生
しかし、彼を あくまでも「教育者」として見ることができるのは、彼が、上記のことに対して、真剣に悩み、苦しんでいるからです。──悩みすぎ、と言いたくなるくらい。
ハッキリ言って、教師だって人間だもの。異性に、ましてや「一番 美味しそうな時期の果実」に欲情しないなんて、聖人どころかイ■ポですか、と言いたくなる。
──しかし、教育者という立場は、おおっぴらに そういうことが言えないわけです。
マンガは あくまでも想像の産物ですが、「教師も人間だ、恋だってするさ。相手が生徒だって──」という空気を「良し」に してしまうと、ウソに なります(またはエロマンガに)。
それに──、鈴木先生は「小川病」について、「恋」と思ってないのでは、という描き方が面白い。
別に「教師が教え子に欲情するなんて異常だ」とは考えていないようですが、なんというか、たんなる異性に惹(ひ)かれる気持ち、とは違う物と感じているのが興味深い。
元同僚の女性に話したとおり、小川のことを「カミサマ」と考えている、というのも本当かもしれませんね。つまり、女神、か……。
「いかし過ぎだぜ」
──と、長々と書いてきましたが、鈴木先生の魅力は、
「いかし過ぎだぜ」「た……たまらな過ぎるぜ──」
に絞ることができるのでは(おい)。それくらい、この独白の鈴木先生、いかし過ぎだぜ……! てか、自重しる!
──まぁ、すぐそばに こんな先生がいたら、さすがのオレも それは引くわ(笑)。
まとめ
この記事、読む人が読めば分かると思いますが、じつは、2 巻までしか読んでません。4 巻まで出ているので、速攻で読みますね。
羽生生 純(はにゅにゅう じゅん)先生みたいな濃い絵柄で、初めは食わず嫌いだったのですが、読んで正解でした。
そういえば、『シグルイ』も絵が苦手で、「5 限目まで残った給食」状態でした。読み終わったあと、「早く読めば良かった!」と後悔しましたね。
読んで後悔するより、読まずに後悔するほうがツラい! ということで、これからも積極的に、いろんなジャンルの作品を楽しみたいです。