『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 4 巻「ガチンコ・ビバゲー・バトル」
ビバゲーバトルも、いよいよ最終の五回戦!
ボッスンこと藤崎佑助(ふじさきゆうすけ)と安形惣司郎(あがたそうじろう)が、『スケット・ダンス』オリジナルゲームのカードゲーム、「ピクシーガーデン」で戦います。
安形って、なんともつかみ所のない男として描かれてきたのですが、ボッスンとの対決で性格が分かってきます。かなり意外でした。なんとなく、腹が黒いとは思っていたのですが……。
今回の感想では、対戦内容よりも安形の性格について書きました。そうしたら、いつの間にか長々と……。本当にこの作品は、いくらでも書けるなー。
第 33 話「五回戦 ピクシーガーデン」
ボッスンと安形の大将戦。勝ったチームが優勝するという、いわゆる「勝ったモン勝ちや !!」状態ですね(?)。
戦う種目はカードゲームの「ピクシーガーデン」。この作品のオリジナルですが、基本にあるのは「ダウト」と「UNO(ウノ)」だと思います。それとも、ほかに元ネタがあるのかな? この対戦だけで終わらせるのは少しもったいないくらい、よくできているゲームです。
ルール説明で見開きを使ったり、図柄が凝っていたりして、この作品がもう少しだけメジャだったら、「なんとか王」みたいに商品化されそう。──とはいえ、作者自らが、トランプを使ってもできる、と書いてあるのが欲のないところ。
よく考える──までもなく、いよいよ決着が付く最終戦にしては、地味なカードバトル。──そう感じさせないのが、ムダにお金が掛かった舞台と、ボッスンと安形という珍しい組み合わせだからです。
生徒会の中でも、一番よく分からないキャラが安形。これまで、秘めた実力を感じる描写はありましたが、学園を良くしていこうとか、何かを目指しているとか、そういった部分は伝わってこない。
なにより、安形がほかの生徒会メンバから信頼されている、というのが不思議に見えます。
ボッスンは、ほかのメンバやクラスメイトから信頼されるだけの、性格と行動をしています。なにより、リーダというのが分かりやすい。
いままでのところ、安形にはそういった「分かりやすい場面」がないので、不気味な存在に思えます。「能ある鷹は爪を隠す」なキャラなのか、それともハッタリなのか──。
戦いの前の会話で、徐々に会長の性格が見えてくるのが面白い。とくに、いつものようにユルい安形が、急にあり得ない要求をしてくるところ。いままでとのギャップで、かなり驚きました。
交渉──本当の駆け引きは、
「いかに冷静でイカレてるか相手に理解させるのがコツだ」
と語ったのはゲンスルー(ハンター×ハンター (No.15))ですが、安形はそれを地で行っています。涼しい顔をしながら、「負けたら辞任ルール」を押し通してくるとは──。
安形自身が語るように「性格が悪い」ようにも、動揺を誘う作戦のようにも見えますが、ボッスンは「ゲームを愉(たの)しもうとしてやがるんだ」と見抜きます。
──こういうヤツが一番、たちが悪い!
たとえば椿(つばき)なら、「負けたほうが辞任だ!」とマツゲをぱたぱたさせながら、ムキになって殴りかかってきそうですが(そうか?)……。
ムチャな要求を冷静に、しかも愉しみながら突きつけてくる相手には、まずスキがない。こういうタイプは、遊びに真剣──というか遊びこそ全力で挑んでくるし、その一方で決して熱くならない。──じつに、ボスキャラにふさわしいですね。
自分は、こういう性格が悪いタイプが好き(ただし二次元に限る)なので、安形も好きになりました。
榛葉(しんば)によると、安形は「人の心理を読む術(すべ)を持って」いて、「人をコントロールするのも上手(うま)い」そうです。自分では動かず、それでいてまわりの支持を集められる、リーダの資質に恵まれたキャラですね。
もともと、椿はボッスンと対象のキャラとして作られたそうですが、安形の指摘通り、じつは二人は似ている。ボッスンと対照的なのは、むしろ安形ですね。
さて、あんまりネタバレを書きたくないので、肝心の対戦内容が書きづらいですが──。いきなりボッスンがピンチになっています。真っ正直でウソがつけない性格なので、「ピクシーガーデン」は苦手そう。さらに安形に心理を読まれては、勝ち目はないように思えます。
しかし、最後でボッスンは必勝法を見いだし、集中モードに入ります。その戦法とは?