バクマン。 #60-1 「男性と女性」 偏った恋愛観とミス東応大

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『バクマン。』 60 ページ 「男性と女性」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 49 号)

変漢ミスコンテスト (by yamakazz) (by yamakazz)

今回も面白いぞー(毎週、同じ事を書いている)。

『バクマン。』の連載は毎回 19 ページで、このブログでは 5 ページずつ感想を書いています(4 回目だけ 4 ページ)。その、たった 5 ページの中でも、目まぐるしく登場人物の感情が変化する。静的な場面が多いのに、人物の内面は動的なのです。この作品の大きな特徴ですね。

たとえば──某・忍者マンガの場合は、1 人の人物は、ずっと「同じキャラクタ」なんですよ。最大でも「喜怒哀楽」の 4 パターンしか描かれていない。分かりやすいけど、ちょっと、薄い。それでも、「ギャグとシリアス」の 2 パターンしかない、某マンガよりはマシか──(「なん……だと…… !?」)。

それなのに、場面はドンドン変化させている。某・忍者マンガは、積極的に映画の手法を取り入れているのは明確なのですが、今週はとくに読みにくくなかったですか? 映画と違って音楽も流れないし、絵柄のトーンも変わらないマンガでは、急すぎる場面転換は注意が必要です。

待てって…

ここまでキレているシュージンは珍しいですね。ほんの少し前まで港浦の意見に同調していたのに、たった数分で、この状態です。

そう、現実世界でも、たった一言だけで、すべてをぶち壊してしまう──ということがあります。言ったあとで、すぐに「なんで、そんなことを言ってしまったんだろう」と反省したりして……。まぁ、厳密に言えば「考えてもいないこと」は言えないはずなので、すべてが本心のはず、なんですけどね。

そんな怒りのシュージンに対して、サイコーは『TEN』で連載してもいいと言う。──なんでやねん! え、いままでの完全否定な態度は、なんだったんだ……。そりゃ、シュージンも超光速でツッコミを入れますよ。

反対してたのに

サイコーは、亜城木夢叶は 俺一人じゃない、と言う。もちろん、2 人の中で当たり前として認識して、一時でも忘れたことはないでしょう。それでも、これだけハッキリとシュージンに向かって言ったのは、初めてのはず。

これは、自分自身に対する反省と確認として、サイコーは話しているのだと思います。「亜城木夢叶にはシリアスが向いている」という主張を押し通しすぎた、と感じているのでしょう。せっかく、シュージンが新しいことに挑戦しようとしているのに……。

「亜城木夢叶は 2 人だ」という事実は、今後も繰り返し出てくるテーマでしょうね。「友情・努力・勝利」とも深く関連しています。

食い違っても

シュージンの怒りを抑えるためか、サイコーは過去を語り出しました。そういえば、サイコーは「1 人でやる」と言っていましたね。いまから思えば、あれは、子どもがダダをこねるようなものでした。いまのサイコーは、友だちを思いやる気持ちが強い。成長しましたね。

遠回しに港浦のフォローとも取れそうなサイコーの話でしたが、シュージンはアッサリと冷静に判断する。もうすでに、シュージンの頭が冷えている証拠ですね。いや、彼ならば、カンペキに怒り狂っていようとも、どこかは冷静さを忘れていないでしょう。

人間、怒っているときには、何かを決断してはいけません。必ず、あとで後悔する。

この時の 2 人は、明日考えようぜとすぐに結論を出したのがエラい。2 人とも、この頭の切り替えが素晴らしいですね。粘り強くて心が折れないし、判断を保留する時期もキチンと取る。同じ事ばかりを考え続けてしまう自分は、2 人を見習いたい。

恋する男の子の 気持ち…

蒼樹紅(のような美人)が、男性の恋心を探ろうとする。──なんとも、ドキドキする状況です。

しかし、彼女は、「創作のため」以外では、男性のことを知る気がないのでしょうか。いままでに恋愛経験がない・片思いだけ、というところからすると、「男性のことは、よく知らないからコワい」と感じている気がします。

そのワリには、中井に対してあの人の恋愛観は偏ってる、と評価したりする。うーん、どちらかというと、「(この)男は、こう思っているに違いない」と決めつけてしまう、という感じなのかもしれませんね。それで自分の中で、勝手に恋愛が「終了」してしまう。そんな感じがします(←それも勝手な決めつけ)。

蒼樹は、山久は生理的に嫌だとまで言い切る。このあたりは、まぁ、当然の反応ですね。蒼樹紅にしては、世間一般の女性と同じ感覚すぎて、ちょっとツマラナイかも。

ちょっとまだ分からないのは、山久自身は、蒼樹と「どうかなる」ことを望んでいるのか。それとも、純粋に「マンガ作家・蒼樹紅」に面白い作品を描いて欲しい、という一心なのでしょうかね。後者だとすると、蒼樹は失礼なことを思っているわけです。──が、そこは、個人の感性なので、仕方がないか……。

前から書いているけど、蒼樹さん、福田を意識しすぎです! ハタから見たら、どう見ても「いつか好きに変わるフラグ」っぽい。

この時に見せた蒼樹の表情と屈辱という言葉から、「服のサイズでエル以外」の単語を連想してしまいました──よね?(聞くな聞くな) なんか、そういう属性が、ありそうなんだよなぁ……(少年誌なので、そこまでは描かれません)。

声かけてみるか

中学生のシュージンがイメージしていた「東大生」まんま、といったヒョロヒョロの 2 人が笑えます。東応大学は架空とはいえ、作者は東大生に何か偏見があるのでしょうか。

当然のように、蒼樹はミスコンなどに興味がないようです。しかし、彼女の「押しに弱い」性格を、だれも見抜けなかっただけかも。もし、ミスコンの実行委員に山久がいれば、ウマいこと丸め込んだのでは?

そして、なんと! 岩瀬愛子が再登場しました。まぁ、8 割方は、いつか出てくると思っていましたが。

それにしても──「ミス東応大」といい、黒のショートヘアといい、狙ってますよね。高田清美さんを思い出します。絶対に、一部の人から「清楚岩瀬」と言われているに違いない!