HUNTER×HUNTER #302 『標的』 進化への試練を受け入れる王

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HUNTER×HUNTER No.302 『標的』 (週刊少年ジャンプ 2010 年 17 号)

おんぶ (by ymktmk918) (by ymktmk918)

パームの「千里眼(仮)」能力は、右目をふさぐことで発動するようです。なるほど、読者から見て能力の発動が分かりやすいですよね。

さすがは冨樫先生! こんな表現がよく思いつくよなぁ。──ん? どこかでこのポーズを見た覚えがあるような……?

総帥様は どこ… !?

パームのセリフに疑問を持ちました。

前回でナックルが殴った大きなプフは「分身」で、王の側にいる小さいほうが「本体」だと、パームはどうやって知ったのか。

今回の後半で「分身を視られなくなる条件」が示されたので、そこから逆算したのでしょうかね。「視る」だけではなく、オーラを「感じる」こともできるのかも。

さらに言うと、パームはメルエムを見たことがないハズなのに、「自分のツバサで空を飛ぶ亜人間」を「キメラアントの王」だと断言しているところも気になる。

──ただまぁこれは、コルトから王の容姿を聞いているだろうし、「羽のことをナックルたちに話す場面」がカットされているだけでしょうね。

目障り だな

王は、モントゥトゥユピーが使っていた技を放つ!

ユピーの時と同じ──いや、それ以上の威力に見えます。今回の描写だけでは比較は難しいですが、ネテロ会長の「百式観音・零の掌(ひゃくしきかんのん・ゼロのて)」よりも強力なのでは。──こんなの、勝てるわけがない……。

さて、ここでまた疑問が出てきます。

ナックルたちを見逃したことによって、ユピーは怒りを溜めたままだった。その怒りをどこで放出するのか、ずっと待ってたんですよ。今回、メルエムが放ったことで、「怒りのストック」はなくなったのか? それとも、これはたんなる「王のオーラ」?

理屈に 合わぬな…

直撃すれば無傷では済まなさそうな一撃でも、ポットクリンは無事です。その姿を見たあとに王が言ったひと言を、自分は勘違いしました。

ポットクリンは煙の中から──離れた場所から飛んできた、ということは、ダメージはなくても「吹き飛ばされた」ワケです。つまりは、「霊的な存在」ではない。それは、ユピー戦でも描かれていました。物理的に触れられるし、動かせるのに、壊すことはできない。

これまでは、「ポットクリンをオーラで攻撃」する場面はなかったハズです。今回、オーラでもポットクリンにダメージを与えられないことが分かりました。

王たちと同じ次元に存在する物質からできているのに、オーラでの攻撃でも無傷。──これは、「何でも斬れる刀」と同じくらいに、人間の能力の限界を超えているのでは?

貸し付けたオーラを返済されるとダメージを受ける、というリスクがナックルにはある。しかし、それだけで「絶対に壊せない物体」を作り出せるのは、妙な気がします。それだったら、「絶対に壊れないヨロイとタテ」を具現化できるのでは……。

答えよ

ユピーが語った短い言葉から、ユピーの敵への対処について、メルエムは質問する。この場面は、ちょっと『刑事コロンボ』っぽいです。追い詰められていく犯人──もとい、ユピーがちょっとカワイそうでした。

あらためて引いた視点から見ると、ちょっとコミカルな場面ですよね。三頭身キャラ同士が問い詰められたり注意したり。知らない人が見たら、ギャグマンガと思うのでは。

──それなのに、コマから緊張感が伝わってくる。あとで王がユピーを許したときには、ホッとしました。この緊張と緩和のバランスが絶妙です。

最後の忠告

プフとユピーに、我らは肉体も 精神(こころ)もつながって しまった、と王は言った。王直属護衛軍として生まれて、こんなにうれしい言葉はないでしょう。メルエムの表情も、どことなく微笑んでいるようにも見えます。

ただただ感激して泣くしかない、という感じのユピーがカワイらしい。──あれー? ユピーって、こんなキャラでしたっけ?(いまさらだけど) 腕をペ■スにして(煙の)モラウを八つ裂きにしていた彼は、もう二度と帰ってこないのでしょうか。

ユピーと違い、プフは心の底から喜べない。このプフの、後ろめたそうな表情が面白いです。

よく考えると、プフの悪だくみに王が気がついていなくても、知っていて忠告で済ませたとしても、どちらでもプフにとっては喜ぶべきことなんですよね。表情が晴れないのは、プフは自分で自分を責めているから。いつものように、一人で思考が暴走しているプフです。

死罪と なろうとも !!!

もはや、王が生物統一を成し遂げるための最大の障害はコムギだ、とプフは結論づけている。

なんの疑問も持たずに受け入れそうになりましたが、どう考えてもオカシイですよね。コムギに対する、プフのゆがんだ嫉妬心から出た行動でしょうか。

でも──どうだろう? いまのメルエムがコムギに会って記憶を取り戻したとして、「人間の管理」をやめるのでしょうか? すくなくともネテロの前では、ごく一部の人間だけを特別扱いする、と言っていました。──あ、プフはそれを知らないから、王の考えを疑っているのか……。

ただ、(少年マンガとしてあり得ないだろうけど)討伐隊が全滅したとする。王と護衛軍による生物統一が本格的に始まったときに、(おそらく王妃となっているであろう)コムギが「やめて」と言ったとしたら──王はどうするのか。それを考えると、プフの行動は護衛軍として正しいですね。

つまり 裏切り者だ !!

「刑事メルエム」の優秀な助手であるプフの誘導によって、犯人・ユピーが裏切り者を見逃したこともバレました。ユピー、素直だなぁ……。アセった表情のユピーがまたカワイイですが、本人は生きた心地がしなかったでしょうね。

メルエムは、かなり寛大になっています。ちょっとしたことでネフェルピトーを(殺すくらい勢いで)攻撃していた時(生まれたばかりころ)からは、とても考えられません。

ユピーの心境の変化も裏切り者の背信も、すべて受け入れた上で 次へ進む、とメルエムは言う。これは、もはや王と言うよりも神の境地を目指している。

そして、やはり、更なる次元へ 昇るための贄(いけにえ)として、メルエムは人間を利用するつもりのようです。ここは変わらないんですね。王は、あくまでも人間の上に立つ。問題は、コムギと再会したあとでも、この部分が同じかどうかです。

触れれば わかる !!

ユピーとプフの認識では、メレオロンの能力は「たんに透明になるだけ」と思っている。

これは、討伐隊からするとチャンスです。なんとか、「神の不在証明(パーフェクトプラン)」と「神の共犯者(かみのきょうはんしゃ)」の本質が王たちにバレなければ、勝機が増えるでしょう。

ナックルは、メレオロンの能力を利用して王を倒す方法を見いだしたようです。「神の共犯者」は、ほかの念能力との連携が強力。はたして、「神の共犯者」と組み合わせる念能力はなんなのか。

いまのところ、「窓を開く者(スクリーム)」が最強な気がしますが、ノヴが王に近づくのはムリだろうなぁ……。「天上不知唯我独損(ハコワレ)」で王の念能力を封じたところで、勝ち目はなさそう。最後は主人公らしく、ゴンの「ジャジャン拳」でトドメを刺す、とか?(意外と、一番なさそうなパターン)

より好都合 !!

討伐隊たちの行動から「カメレオン」と「娘(コムギ)」の居場所を割り出そうとする、プフの推理がスゴい。

もちろん、作者が「プフにそういう推理をさせる」ことが、スゴいわけです。どれだけキャラクタの内面を掘り下げれば、こんな描写ができるのだろう。とくに、メレオロンではなくコムギを人間たちは差し出すはずだ、というプフの思考パターンを描いたところが驚きました。

キルアたちの性格を知っている読者からすると、護衛軍の中でももっともキケンなプフに、盲目の少女を渡すハズがないのです。かりにメレオロンかコムギかという場面が来れば、メレオロンが自分から姿を現わすでしょう。メレオロンは覚悟して戦っているし、それが人間としての尊厳です。

そんなことは、作者のほうがよく分かっている。だからこそ、この時のプフはなかなか描けない、と思うのです。

二択は二択

『H×H』では二者択一がよく出てくる。今回、パームとキルアが仕掛けた二択は、その真意が分かりにくいところがニクい。

パームが扉を開けた理由は、本当にメレオロンの逃げた場所をカクランするためなのか? まったく別の狙いが、パームにはあるのかもしれない。

地下といえば、ヒリン(ヒナ)とビゼフはまだいるのでしょうか。ヒリンたちのことを、イカルゴからパームは聞いたとして──いや、あまり関係はないのかな。ヒリンの除念能力は、いまは役立たないだろうし。それ以前に、討伐隊の中にヒリンの能力を知る者はいないのかも(イカルゴは「レオル」すら知らない)。

プフが戻ってきた目的はコムギである、とキルアたちは知った。次回は、プフとキルアとの駆け引きが始まるでしょうね。ダマし合いの名手同士が対決するだろうから、いまからワクワクします。

ところで──、家族以外の女性とこんなに密着したのは、キルアにとって初めてでは(戦闘時とババ──ビスケ除く)。案外、キルアは心臓バクバク状態だったりして。

コメント

  1. 永空 より:

    ハコワレの能力は、
    ・ナックルが殴った相手に発動。
    ・殴られた相手には、ダメージに応じた利息が加算され、
    利息を返せないまま時間がたつと念能力が使えなくなる。
    ・利息を含めたダメージをナックルに返済できると能力解除。
    といった感じですが、
    ポットリンクは、利息を告げる役割と、発動相手に付きまとうという役割しか与えられてないので、壊せたとしても、壊すことに意味はないと思います。
    ハコワレが、毒針を刺す技だと置き換えて考えると、
    ポットリンクは、死にいたるまでの時間を示す時計ってところでしょうか。
    死なないためには時計を壊すのではなく、ナックルの持つ解毒剤を強奪するしかないっていう感じで。

  2. ゴンザレス より:

    ヂートゥの「鬼ごっこの能力」の砂時計と似たようなモンなんじゃないですか?あれも壊せませんよね?

  3. asiamoth より:

    >> 永空さん江
    「壊すことに意味はない」というのは、言うとおりですよね。
    でも、自分が疑問に思っているのは、「その念能力の本質とは違う部分」といえど、「人間の能力を超えた存在を生み出せる」のはオカシイのでは、ということです。
    ここでふざけた例を挙げましょう。
    ・ゴンの「ジャジャン拳」は、「最初はグー」を発動している間に、地球上の温度が 0.0000000001 ℃/秒ずつ上昇する……!
    ・ギドの「舞闘独楽(ぶとうごま)」が回っている間は、彼のおばあちゃんが生き返る(誰?)
    ・コルトピは「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」の発動中だけ、王族のお嬢様とイチャイチャできる(それなんて藤田?)
    もうちょっとマジメな例で言うと、
    ・フェイタンの「太陽に灼かれて(ライジングサン)」発動時に身にまとう衣装は、絶対に破壊できない
    というのはどうでしょう?
    あれは「熱から身を守る」という役割がある──とは明確に描写されていません。たんなるフェイタンの気分で着ているのかも。だったら、無敵でも良いじゃん、となってしまう。
    「いや、あれは防御のために着るのだから、制限はあるはずだ」という考えは、「だから」の前後がつながっていない、と思うのです。
    もう一度まとめると、「制約や制限・念能力の性質によらず、人間の能力の限界を超えた存在を具現化できるのは、やはりオカシイ気がする」というのが「asiamoth の意見」です。
    (そんなことを言い出すと、梟の「不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)」なんかは、能力の本質がすでに規格外な感じだなぁ……)
    >>ゴンザレス さん江
    上と同じ、です。
    付け加えると、「モラウには壊せなかった(本気で壊そうとはしなかった)」だけかもしれません。

  4. 永空 より:

    ポットリンクの場合は、具現化というよりかは、利息を告げるという役割をキャラクター化したものって考えるといいかもしれません。
    ぶっちゃけていえば、本来はポットリンクに必要なのは利息を告げることなので、姿かたちはいらないんですよね。
    虚空から利息はいくらですとか音声が聞こえるだけでもいいわけで。
    でも何もないところから音声が聞こえてくるというのは、念能力者が「納得」できないんだと思います。
    念能力者自身が納得できないものは生み出すことができない。
    ので、利息を告げる何かに姿かたちをあたえてキャラクター化してやる必要があるんですが、
    あくまで念能力者が納得し、そういう役割を持った何かを生み出すためだけにあたえられた姿なので、
    なんかそいうものがいるっていう認識さえできればいいわけで、実体を伴う必要はない(幽体みたいなもの)ってことだと思います。

  5. asiamoth より:

    もっとシンプル考えて、「絶対に壊せない物体を作り出せる念能力」が不思議だ、と思っています。その「役割」は関係なく。
    ナックル自身がどう思っているのかとも関係なく、ポットクリンは「触れられる」し、まるで自らの意志を持っているかのように「動く」。しかも、「壊れない」。
    それは、いままでの念能力と比べるとスゴすぎるね! ということです。

  6. 匿名 より:

    そもそもポットクリンが「絶対に壊せない物体」であるという説明は作中には出てきていないような気がしますが。
    ナックルが無害ゆえに無敵と表現しただけです。
    そして人間の能力の限界を超えた能力は他にもたくさん(というかほとんど?)出てきているので特別凄いこともないのでは。

  7. ゴンザレス より:

    「壊す」の概念にもよるのかもしれませんね。
    例えば、ゲンスルーの「命の音(カウントダウン)」で、条件をクリアした時から見えるようになる爆弾も、壊せないっぽいですよね。
    でも、彼に触れて例のセリフを言えば解除される。
    ヂートゥの能力の砂時計と壁も、本人曰く壊せない。
    でも、彼に触れれば消える。
    術者本人の意思で解除してもらうか、一定の条件をクリアすることであっさり消える、ただしその条件を満たさないで消す(壊す)ことはできない(もしくは極端に難しい)。そして、その解除の条件をわざわざ相手に伝えることが発動条件のひとつである。
    というのが多いのかもしれませんね(この場合ナックルは解除条件まで言ってはいないのでちょっと違う)。
    ナックルの場合、全額返済以上のオーラを返されるとダメージを受けるようですが、そのときポットクリンも消えてしまう、とか。
    要は、「絶対に壊せない(攻略できない)もの」は不可能でも「壊し方次第であっさりなもの」ならOKということじゃないでしょうか。

  8. asiamoth より:

    >> 名無しさん江
    いや、単純な話で、「あまりにも何回も『ポットクリン』は破壊できない」という描写が出てくるのが気になるだけです。普通の人間よりも強いキメラアント 2 人に攻撃させてまで「無敵さ」を強調するところが。
    >> ゴンザレスさん江
    そうそう、「命の音」といえば、あの時限爆弾って、だれも「つかんで引き離そう」としていませんよね(よく考えるとかなり不自然)。だから自分は「目視できるけど触れられないモノ」と考えていました。
    そんなワケで自分は、「ハコワレ」があまりにも高性能(いままでに出てきたどの念能力よりも強力だと思う)な上に、人間以上の強さを誇るアリでも破壊不可能なポットクリンを出すくらいなら、初めから「ポットクリンには触れられない」ようにしてほしかったな、と思いました。
    だって、ゴレイヌ師匠の能力と比べると、あまりにも差があるんだもん……。

  9. ゴンザレス より:

    ゴレイヌ師匠の能力、「黒い賢人(ブラックゴレイヌ)」「白い賢人(ホワイトゴレイヌ)」….。「賢人」と書いて「ゴレイヌ」と読ませるのはさりげない自慢か、自分がゴリラっぽいことを自覚しているのか。
    「ゴレイヌ師匠」と打とうとしたら、「ゴレ犬支障」と出ました。かわいそうに。

  10. ゴンザレス より:

    今気付いたんですけど、ポットクリンには触れますよね。
    今回も、メルエムの攻撃で吹き飛んだ後、しばらくして戻ってきましたよね。
    しかもポットクリンは抵抗しない。
    ということで、どっかに縛りつけて逃げる、というのはどうでしょう。
    ナックルから離れるとカウントは止まりますが、ポットクリンから離れることに意味はあるのかわかりません。が、離れたいだけならこの方法でなんとかなりませんかね。
    あ、あと、「ポットクリンに触れる」っていうのは、結構大きくないですか?
    今回特にそうですが、相手がポットクリンに攻撃して、時間とオーラを無駄にすることが多いと思うんですよ。

  11. asiamoth より:

    >> ゴンザレスさん江
    ゴレイヌ大先生の能力は、「神の共犯者」並に応用力があってパねェです! ウマく使えば、ゴンの「ジャジャン拳」をほぼ確実に命中させられます。
    グリードアイランドの世界をたった一人で生き抜いてきた彼は、まさに「賢人」の名にふさわしいです。
    >> 名無しさん江
    そう、まさにその「触れられる、のに壊せない」ことがスゴすぎる、と言い続けてきたワケです。
    ポットクリンをどこかに固定するのは、面白いアイデアですね。ピトーの「玩具修理者(ドクターブライス)」みたいなこと(対象者が固定される)が起きるのかも。
    というか、もっと直接的に「ナックルの心臓や頭にポットクリンを縛り付ける」と、文字通りの「絶対壊せない盾」になるんですよ。だから強力すぎる。
    彼の信条は「正々堂々と逃げ回る」ことだから、絶対にしないでしょうケド。

  12. ゴンザレス より:

    ナックルの引き締まったボディにポットクリンの顔がついたら、それはもう別の意味で無敵ですね。
    ただ、Mr.ポットのボディは風船のようにやわらかなイメージなので、打撃なんかは衝撃が貫通して結局ダメージを受けてしまいそうなんですが。