『バクマン。』 94 ページ 「お茶と明暗」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 33 号)
このマンガには、ムダなページやコマは、ほとんどありません。
たとえば──、何回も何回も何回も、急所を刺されたように見えて「無傷……だと…… !?」──といった、
エコな時代に反する誌面の無駄遣いは、
まったくないのです。
そのため、『バクマン。』に出てくる編集者たちのプライベートは、いっさい描かれていません。たまに出てくる彼らの自室を見て、アレコレ想像するしかないのです。ううむ、気になる!
服部や吉田は、普段──何をしているのだろう?
女たらしに見える山久は、浮いた話はないのか?
そして佐々木編集長は──、家でもあのポーズ?
僕は休む !!
『バクマン。』に出てくる登場人物の中で、服部と吉田は、策士の両巨頭です。さらに、慎重派の服部に比べて、吉田の行動は早い。冗談かと思った〈お茶会〉のセッティングも、あっという間に完了しました。
もちろん、
お茶会がワナであることは、見え見えだけど……。
ワナにハメるのは平丸だけで、吉田は合コンとして楽しむのではないか。このページを読んでいる時点では、そう思っていました。静河と山久は、どちらかというと──オプションみたいなイメージです。
いくら吉田が妻帯者とはいえ、〈男の血〉が流れていますからね。タンパクそうな顔をしていますが、けっこう──(省略)、と思ったり。
吉田のプライベートが、かなり謎です。
人気マンガじゃん
もしも〈半年ルール〉がなければ、こんなにもシュージンは仕事熱心ではなかったでしょう。そう考えると、切羽詰まった今のほうが、良かったのかもしれませんね。
本当に打切られたら、そうも言っていられないケド。
折原が、サイコーにツッコミを入れている! しかも、ちょっとキビシイ言い方です。「もー、センセー、しっかりしてくださいよぅ(ビキビキ#)」みたいな。
森屋の指摘も重なって、すこしだけ重いフンイキになりましたね。
ただ、折原も森屋も、より良い作品を描くための環境作りに協力してくれた──と受け取れば、ありがたい言葉になります。
黙って自分の仕事をし続ける、白鳥のようなアシスタントばかりだと、作品の向上につながらない──と思いました。
ただ、静かなアシスタントのほうが良い、というマンガ家もいるでしょうね。新妻エイジは、どうだろう? 同じマンガ家の意見は素直に聞くけれど、アシスタントには事務的に接しそうな気がする。
エイジに冷たく接して欲しい──、
そういうファンも、いそうだな……。
一番違うところって
シュージンとサイコーは、考えすぎることが多いです。カヤは、いつもシンプルに考える。この 3 人は、本当に良いバランスですね。
でも今回は、ちょっとカヤの答えはシンプルすぎました。たとえばここで、「『PCP』の絵って ちょっと 暗すぎない?」とカヤに言わせることもできたはず。
その答えをカヤに言わせず、サイコー自身に『PCP』を改善する道を見つけさせる。ニクい演出です。
キケン アブナイ ですよ
エイジのセリフが面白すぎる! 自分のことを男の子
と言っているところが、ツボです! 岩瀬よりも、エイジのほうが年上なんですけどね。
このページの岩瀬は、バツグンにかわいらしい。二段ぶち抜きで首をかしげている岩瀬は、『さよなら絶望先生』の登場人物みたいです。肩パッド入りのジャケットではなく、和服を着て欲しいです(そして、エイジにつきまとう)。
本気なのか 冗談で 言ってるのか
、とエイジの言葉を聞いて、岩瀬は迷う。エイジの仕事場に来た時に、サイコーも似たようなことを考えていました。エイジの本性を見抜いていれば、彼の言葉を冗談ばかりとは思わないのです。
ストーリーじゃ ない
『PCP』の弱い点を、サイコーも気付きました。エイジの解説と同じタンミングで気がつく──という状況は、ワクワクします。よくできたミステリィの解決編みたい。
自分たちが描いてきた作品を見て、そこから悪い部分を見つけ出すのは、カンタンではないでしょう。真剣に考えても、答えが出ないこともある。いや、真剣に考えれば考えるほど、自分の欠点は見えにくいものです。
サイコーが言うには、リアル系の作品でも 必ず読み味は明るくて スカッとするところがある
、とのこと。なるほど、納得できますね。
この解説に当てはまらないのは、最近の『HUNTER×HUNTER』くらいでしょうか。明るくもなく、ドロッとしている。ただ──なんというか、爽快感とはまた別の〈頭が満たされる感じ〉があります。
そんなマンガは、たとえ天才でも──、
毎週は描けない。