バクマン。 #140-3 「限界と火の鳥」 セルフとインターホン

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『バクマン。』 140 ページ 「限界と火の鳥」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 32 号)

wazzaa ??
(アナタとワタシを──笑顔でつなぐ)

平丸一也と蒼樹紅は、本当に仲良くなってきましたね。いまの時期に「仲良し」という言葉は、勘違いされそうで言いにくいけれど(──そうか?)。

ただ、イマドキの恋愛にしては、進行が遅いように感じます。高校生のシュージンとカヤのほうが──早かった。オトナのほうが、恋に対して慎重になるからでしょうか。

『ふたりはマンガ家』(そのまま)というタイトルで、このほのぼのカップルを描いたら面白いと思う。──変身もしないし、年齢的にアレだけれど。

はい 青木です

岩瀬は、どうしてすぐに 電話を切ったのだろう? 「楽しそうな 2 人のデートを邪魔してはいけない」──という感情では ありませんよね。

自分は独りで悩んでいるのに、蒼樹には「カレシ」がいるから──と岩瀬が考えたのであれば、それは問題です。相手にまで孤独を求めるのは、何かが間違っている。

相談する相手は、幸せそうな人が良い。

ヘンなところで意固地なところが、岩瀬の欠点です。もしもこの時点で岩瀬に相談していれば、平丸も力になってくれたでしょう。──平丸の考えが岩瀬に受け入れられるとは思えないけれど、彼への反発心が岩瀬の力になったかも。

秋名さんの事?

蒼樹からシュージンへ かかってきた電話に、カヤが即座に反応していて かわいらしい。彼女のヤキモチは、何というか、健康的な気がします。嫉妬の炎は自分も相手も焼き尽くす──のが普通だけれど、カヤの場合はマイナスになっていません。

蒼樹とシュージンが話そうとすると、いまだにカヤは怒るんですね。夫婦で共通の友だちになっていたはずなのに……。まぁ、ダンナに電話してくるオンナには、奥さまは警戒しますよね。今回の蒼樹は、カヤに電話をするべきでした。


連絡が取れなくなった岩瀬の事情を、担当者の港浦に聞いた蒼樹は偉い! ここで岩瀬の「書かない宣言」を知らなければ、すべてが手遅れになっていました。このような すれ違いが、知らぬ間に人生では何度も起きている──。

蒼樹が岩瀬の一番の親友に なれていたら、それが もっとも良かった。この 2 人は、他人をあまり必要としていない点では よく似ています。しかし、蒼樹には自然と人が寄ってくるのに対して、岩瀬は拒絶してしまう。そこが決定的な差です。

岩瀬の所に 行っても

カヤの言動に注目してみましょう。岩瀬の所へ行こうとするシュージンに対して、カヤはまず理由を聞いている。なんと言うことのない場面ですが、カヤの「よくできた女度」の高さが分かります。

このような状況になると、「まったく話を聞かずに反対する」という人は いませんか? それは相手を尊敬していない・信用していないから出る行動です。つき合っている相手や結婚相手を信頼しているなら、話し合うことから始めましょう。

ところで、今回のカヤもオシャレな服を着ていて、ホッと一安心です。冬場がジャージばかりだったことを考えると、「ランニング + 短パン + ヘアバンド」で夏場をとおす可能性もありましたから……。それはそれで、セクシィかな?


高木夫婦の代わりに、サイコーが動きました。しかし──、岩瀬の家の住所を、港浦は教えて良いものでしょうか?

雄二郎と山久は、福田に聞かれても蒼樹の住居を教えませんでした。社会人の対応としては、雄二郎たちが正しいと思う。

まぁ、いざとなれば「蒼樹が知っていた」という設定にすればいいし、余計な描写なので省略したのでしょうね。港浦に連絡せずサイコーが家を出たのも、なんとなくヘンだけれど、岩瀬宅の住所をシュージンが知らないように──という配慮なのかも。

僕が 悪かった

港浦は岩瀬を説得しています。──が、どう見てもストーカだよなぁ……。あるいは借金取り?

岩瀬が落ち込んでいる姿は、スランプのシュージンを思い起こさせます。見ていて痛々しい……。

そう言えば、中井巧朗や七峰透も含めて、何日も気分が沈んでいる人物が多く出てきます。彼らのメンタルが弱いわけではなく、マンガ家の過酷さを表している。

サイコーは、くじけたことが一度も ありません。その精神力の強さは驚異的です。──逆に言えば、それくらいじゃないと、マンガ家なんて やっていけないのかも……。

岩瀬 返事 しろ!

深刻な場面のはずが、 います──という掛けあいでギャグかと思いました。「シリアスな笑い」の実践編でしょうか(違うと思われる)。

サイコーと岩瀬とは、ほとんど接点が ありません。それだけに、彼の真剣な呼びかけも、効果が薄いように思いました。カヤ同伴でシュージンが来たほうが、良かったでしょうね。

この場面のサイコーの話し方を聞いて、「冷たい」と感じた人も多いのでは? 自分は普段、彼のことを「絶対零度男」だと思っているけれど、ここのセリフは良かったと思います。

なぜなら、岩瀬のことを一人の人間としてサイコーは扱っている。港浦のように、「(まだすこしは)金の成る木」としては見ていません。