バクマン。 #145-3 「提供と停止」 『ヒーロー残酷物語』と下手な絵

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『バクマン。』 145 ページ 「提供と停止」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 38 号)

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(残酷さを──かわいさで包み込んで)

本編とは まったく関係ありませんが──、ガモウひろし先生が「ジャンプ」で最後に連載していた『バカバカしいの!』は、2001 年までの連載でした。惜しい!(何が?)

とっても! ラッキーマン』から数えて 3 作目──というところも、非常に似ています(だから何と?)。

バカバカしいの! – Wikipedia

このあたりは、ガモ──大場つぐみ先生が勘違いしたのか、それともわざと ずらしているのか、じつに悩ましい!

知ってるも何も

東は昔、川口たろうのアシスタントをしていたそうです! 意外な つながりですね。

そう言えば、「東美紀彦」という本名で作品を描くことを、東は服部に強調していました。なるほど、サイコーに自分の存在を伝えるためか──と思ったら、直接は会ったこともないそうです。

──ん? では、どうして東はペンネームに しなかったんだろう……? 彼なりの こだわり? たとえば、『ぱんちらファイト』の作風にピッタリのペンネームを付けるとしたら──、

「東にゃん」とか。


『ヒーロー残酷物語』というタイトルと、「平和な地球に来たヒーロー」という題材で、十分に作品が描けそうですね!

怪獣・怪人という「悪」がいるからこそ、ヒーローはヒーローになれる。

──なんだ、われわれがいる国と同じか……。

川口たろうの 夢のひとつ

夢とは、「希望」とも「欲望」とも言いかえられることが多い。自分だけのために夢見ることが普通です。

サイコーの場合は、自分でも知らないうちに、「おじさん」の夢を叶えていました。自分の夢を追い続けることで、他人の夢まで叶えるなんて、とても感動的な話です。

川口は、好きな人(亜豆の母・美雪)が別の人と結婚していたし、打切りを食らったまま復帰ができなかったし、サイコーに比べると夢から遠いままでした。

それでも彼は、この世を恨んだりせず、全力を尽くして あの世へ旅だったと思う。きっと、向こうの世界でも、マンガを描きながら暮らしているんだろうなぁ……。


おそらく東は、川口のところでアシスタントをしている時から、絵が上手だったのでしょうね。うっかりすると、「先生」よりも上手になってしまい、描き直すこともあったりして。

平丸一也と中井巧朗の関係に、すこしだけ似ています。

うまい絵を描く人でも、ヘタな絵に合わせて描き続けるうちに、自分の絵もマズくなる──なんてことはないのでしょうかね?

3 本打切りって

川口たろうは、悲観的すぎます!

人気が 無くなって 終わったから「打切り」──なんて言っていたら、かつての人気作品でも、すべて「打切り作品」になってしまう。

良い方向へ考えると、川口は自分の作品に厳しい──とも言えます。きちんと人気を獲って、自分でも納得のいくラストを迎えることが、彼の目標なのでしょう。

できれば、甥の「タカ」と競いながら──。


川口たろうも心の底から納得できる終わらせ方をしたのは、新妻エイジの『CROW』でしょう。

しかし、自分が『CROW』の読者だったら、絶対に続きが読みたくなる。「あー、ここで終わって良かった!」とは なりません。

たとえば──、『ドラゴンボール』って最高ですよね! 最初から「息を呑む展開」(ごくり……)だったし、自分からすると最後まで面白かった。

『ドラゴンボール』 – 其之一 「ブルマと孫悟空」からエロさ爆発! | 亜細亜ノ蛾

この神が描いたとしか思えない作品を、何回目かの「天下一武道会」や、フリーザ・セル戦などで終わらせた──という「もしもの世界」があったとします。

その世界の住人に『ドラゴンボール 完全版』の全巻を持っていたら、最後まで夢中になって読むと思う。その上で、「やっぱり あそこで終わっておけば──」という批評は出てくるとしても、それは読んだから言えることです。

──以前に書いた「延命したことで駄作になった作品もある」という指摘と矛盾していますね! あらためて考えてみると、「長く続けたから面白くなくなった作品」とは、「そんなに好きではない作品」なのかも。

人に勧めるものでも ない

シュージンが声をかけなければ、いまごろサイコーは「普通のサラリーマン」になっていたと思います。亜豆と近づく機会もなかったでしょう。川口たろうの夢も知らずに終わった。

だから、シュージンがサイコーに悪く思う必要はありません。むしろ、サイコーはシュージンに感謝しても良いくらいです。

サイコーは、いろんな人の思いに支えられている。

──本人は、まるで気にしてませんケド。

川口さんのかわりに

すでに東は、川口たろうの意志を十分に継いだ──と言えるのではないでしょうか。誰も東を責められません。遠回りもしたし、不本意な結果ではあるけれど……。

七峰透から今回の話を持ちかけられた時に、「マンガ家としてのプライド」などを東が持ち出して断わっていたら、すべてが台なしでした。

それは、プライドではない。

なんとかして「週刊少年ジャンプ」に復帰して、連載を勝ち取ることこそが、東のやるべきことでした。だから、いまの彼がやっていることに間違いはない。

何度も書いているように、東は「原作つき作品の作画担当」というだけだから、情けなく思ったり恥じたりする必要は、どこにもありません。胸を張って「人気作を描いた」と思えばいいのです。

川口たろうは自分で話を考えて絵を描いていたから、彼に近づくことも東の目標なのかもしれませんね。

東は あまり自分を責めすぎず、「若造が作った会社」を踏み台にするくらいの気持ちで、伸び伸びと描いたほうが良いと思います。

──で、調子に乗って「七峰化」したりして。