バクマン。 #145-2 「提供と停止」 イレギュラーとネームの元

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『バクマン。』 145 ページ 「提供と停止」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 38 号)

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(眠さの元は──どこから来るの?)

七峰透の宣戦布告を、一方的に・しつこく・たっぷりと聞かされたあとで、サイコーとシュージンは──おそらく七峰の会社の車で送ってもらいました。個人的に、ここが一番のツボです!

HUNTER×HUNTER』に出て来た「ウヴォーギン対クラピカ戦」の直前を思い出すんですよね、こういう場面を見ると。

これから因縁の対決をする! という時に、2 人きりで車に乗って移動するのは、どんな気分なんだろう? 「ガム食うか?」「──必要ない」みたいな会話があったのかも。前にも同じことを書きましたが──。

バクマン。 #112-1 「パンチと一人立ち」 「走れメロス」と温室 | 亜細亜ノ蛾

今回の『バクマン。』で、亜城木夢叶が乗って帰ってきたのは、タクシーかもしれません。でも、もしかしたら、「またオレ?」とか思いながら響が車を運転したのでは──と想像するのが楽しい。

かつてはライバル同士だった 3 人の、その居心地の悪さを考えると──、脳のスミっこや背筋がムズムズしてきます。とても悪趣味だけれど、だから面白い。

みんなも、「コマとコマの間」を読もうぜ!

売り言葉に 買い言葉で

ライバルや敵と見ている相手に すこしでも共感する人がいると、サイコーは すぐに怒りますよね。

この場面のシュージンも、七峰自身ではなく、彼の会社の システムを認めただけでした。それなのに、サイコーは「信じられない!」という表情をしている。

そんなサイコーの性格をよく知っているシュージンは、すぐさま言い直しています。さすが、自分の奥さまよりも付き合いの長い相手だから、慣れたものですね。

仲良きことはつくしきかな──。


東や新井の復活を、サイコーは素直に喜べない。その気持ちも分かります。もしも川口たろうが生きていて、七峰の おかげで「ジャンプ」に復帰できたとしても、同じように寂しい気がすると思う。

ただ──、それはすでに古い感覚なのかもしれません。今回のシリーズは、次の問題を読者と編集者に突きつけています──。

原作者は 1 人しか認められないのか

──これは「判定人」が出てきたシリーズと同じ問題だけれど、あの時とは原作者たちの質が違う。ちゃんと組織化していれば、複数人の原作者がいても良いのではないか──。

今後も ずっと残るテーマですね。

サイコーやシュージンが 50 代になったころ、マンガ業界は どうなっているのだろう──。もしかして、もう「週刊少年ジャンプ」は出版されていない──とか? そんな未来は考えたくないですね。

遠い未来でも『H×H』は不定期掲載していたりして。

「侍バッターキル」 は?

「わざとブチャイクに作ったアメーバピグ」みたいな亜城木コンビの顔が笑えます。

暇人\(^o^)/速報 : アメーバピグ怖いお・・・ – ライブドアブログ

顔芸はサイコーの専売特許だったのに、シュージンにも感染している。やっぱり この 2 人は、仲が良すぎるなぁ……(疑いの眼)。


服部からすれば、『ぱんちらファイト』という注目作と『PCP』という人気作の担当をしているわけで、本来ならホクホク顔でしょうね。彼は いつも無表情だし、ヒット作を何本かかえても昇進していないけれど。

ものすごく長い付き合いになってきた『バクマン。』ですが、連載が終わるまでに、編集者が 1 人でも昇進する場面は出てくるのかな……。

あの新妻エイジを世に送り出しても、担当の雄二郎はヒラのままです。彼が出世できないのなら、何をやってもムリだよなぁ。

七峰くんの会社が作った作品 !?

人生の先輩として亜城木夢叶には負けない! ──とばかりに、服部も顔芸に参加しています。

しかし、事情を知っている読者からすると、「何をいまさら驚いて──」と思ってしまいました。今後、このことを知った編集部でも、同じ場面が見られるのだろうなぁ……。

そして小杉が熱くなって──暴走すると見た!

編集者として 認めたくない やり方

服部の立場からすると、七峰の作った会社を否定するしかありません。しかしその一方で、誰も損をしてないという点は、認めています。

倫理的にも法的にも(おそらく)問題がなく、「これまでのマンガの作り方と違う」というだけなら、受け入れても良い気がする。マンガ家の リサイクルを、大いにやるべきです。

──しかし、七峰透の会社で問題になりそうな点に いまごろ気がつきました! それは何かと言うと──、

原作者たちは、集英社と契約していない


集英社と契約しているのは、「マンガ家」の東や新井たちだけです。彼らの受け取った原稿料や印税の 6 割は、七峰の会社に収められる。

──考えようによっては、これは大問題なのでは? それとも、ギリギリでセーフなのかな……。

たとえば、マンガ家が雇っているアシスタントは、雑誌社とは契約していないはずですよね。しかし、アシスタントなしでは週刊連載なんてムリです。

同じように、SHINJITSU.CO にいる「16 人の原作者」も、「原作のアシスタント」と考えれば──、とくに集英社との契約は不要でしょう。たぶん、そうやって七峰は逃げると思います。

この手を使えば、出版社と契約するのはダミーの人間にして、いくつかの雑誌に連載を持つことも可能ですね!

一休:
「それでは将軍様 びょうぶの中から そんな才能を出してください!」
確かめておきたい ことがあって

集英社を訪れた時の東は、まだ「きちんとした社会人」という感じでした。ところが──、自宅にいる時の彼は、一気に老け込んで見えますね。

着古した T シャツ 1 枚でも若い時はサマになるけれど、年を取るほど下着 1 枚にも手を抜けません。

──ということを、バブルの時代に勘違いして、「来年は着られないような服」を買っていた自分に、強く言い聞かせたい! まぁ、ワカモノにそんなことを言っても、聞く耳もウサ耳も持たないけれど(?)。


東は、後ろめたい気持ちを必要以上に持たなくても良いと思う。服部が言うように、作画に徹して活躍してる マンガ家は多数います。

「通常の原作者ではない」という 1 点が、いつまでも東を苦しめているのでしょうね。そんな状態でも「ジャンプ」で 1 位に なれたのだから、プロの作画担当者として胸を張るべきです。

逆に考えれば、「ちゃんとした原作者」をつければ、東は一流のマンガ家になれました。彼と同じようなマンガは、新井や南国のほかに何人でもいるでしょう。

今回の話は、二重に編集部の無能さを物語っています。