HUNTER×HUNTER No.316 「本名」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 41 号)
今回は、内容が盛りだくさんすぎでした! もしも某・作家が描いたら、この 1 話だけで 5 年くらいは引っ張れそう……だと……!?
そろそろ「キメラアント偏」も風呂敷をたたむ時期だと思われるのに、押し入れの奥から また大風呂敷を引っ張り出してきた感じです。ちゃんと最後には たためるのかなぁ……。
ほかにも「ジャイロは出てくるのか」とか「クラピカはネオンは どうする」とか「クロロは力を取り戻したのか」とか「リオ……レオリオ?」とかとか、広げっぱなしの風呂敷が散らばっているけれど。
戦い終わって……?
病院というと、イカルゴがキルアを連れて行った場所を思い出しましたが、さすがに設備が違いますね! 血だらけのナースが歩き回っていたり──はしない。
モラウの言葉を聞いて、「薔薇と一緒に散ること」こそがネテロ会長の責務
だったのか──と思ってしまった。実際には、この会話の前に、会長の安否は知られているのでしょう。
「副会長派」とは
この「人間だか何だか分からない人物」も謎ですね! イカルゴのほうがヒトっぽい。
この人物は、パームのことを まるで敵側
のように呼んだりして、モラウに反発するような発言が目立ちます。そのことから、彼(?)が副会長派なのでは──と思いました。隠し扉を開ける場面がアヤシイ!
しかし、ネテロ(元)会長に敬意を払う仕草からして、この人物は会長が好きだったんでしょうね。
そうなると、いまだに副会長の姿が見えてこない。
じつはゴレイヌ先輩が!? ──といったドッキリを狙っているのでしょうか。その線で行くと、誰が一番 意外だろう……。ビスケかな。
ゴンの容体
生命維持装置
が必要なほど危険な状態
にゴンがいるとは、思いませんでした。以前の感想で おもしろおかしく書いたような、「髪が ちょっと伸びた」程度じゃなかったのか……。
HUNTER×HUNTER #314 「説得」 最初で最期の願い | 亜細亜ノ蛾
全身から最大限にオーラと筋力を引き出したから、現在の彼は「しぼりカス」のような状況と思われます。普通の医療では「治療」できないでしょう。
キルアの向かった先が気になりますが、やっぱり──以前に書いたように、グリードアイランドじゃないかなぁ……。もしくは、都合の良い念能力者がゾルディック家にいるとか。
HUNTER×HUNTER 29 巻 「記憶」 「視」るだけでは分からない痛み | 亜細亜ノ蛾
「それはどっちの?」
(『HUNTER×HUNTER (26)』 p.13)──というキルアの謎のセリフに、まさかの真意が書かれました!
ゴンが行こう
と言ったのは、任務(チーム)として だったのか? それとも 友達として だったのか?
──キルアが疑問と不安を胸に抱いたことは、彼の気持ちがトレースできたら分かったはずです。自分で そこに たどり着けなかったことが くやしい!
冨樫義博先生は、こういった「答えが分かれば誰もが『なーんだ』と思える謎」を生み出す天才です。こういう謎を考えるには、もっとも高度な知能が要求される。答えを知ってから批評する「おりこうさん」の 10 億倍くらいは。
自分が ここのサイトのことを、「感想を書く場」と紹介している意味が、すこしは伝わったでしょうか。作品を「解釈」したり「解説」するなんて、恐れ多くて とてもできません!(本当に?)
「カイト」の正体は?
コルトが「レイナ」と呼んでいたキメラアントのセリフに、最近で一番ビックリしました!
あたちの 名前は カイト です !!
このたった一言に、いろんな可能性が頭に浮かんでくる。まるで、ウェルフィンが王の前で言った「コムギ…?
」のように。
次回から『カイトと!』が始まるな──とかではなく。
同じ親から生まれた きょうだいなのに、メルエムは自分の名前を まったく思い出せなかった。未熟児として取り上げられた「カイト」は、あっさりと自分の名を思い出している。この対比も興味深い。
前回、「シドレ」がレイナだと判明した時に、「コルトが育てているキメラアントは何者だ?」という点までは感想に書きました。でも、そのコが自分のことを「カイト」と名乗るところまでは読めない!
HUNTER×HUNTER #315 「帰郷」 命など 火と血と死とで 奪われる | 亜細亜ノ蛾
──予想できないのも当然です。「カイトの肉体」は、何度も目にしている。それなのに、「カイトの生まれ変わり」が登場するなんて、誰にも(たぶん昔の作者にも)予測できないでしょう。
しかし──、本当にこのコはカイトなのか?
ネフェルピトーへの疑問
ピトーがカイトを独り占めしていたことは、ずっと不思議に感じていました。
キメラアントの女王に捧げられる「レアモノ」の中で、もっとも生きが良くて「栄養価が高い」のは、カイトだったはずです。(当時の)女王直属護衛軍であるネフェルピトーなら、まっ先に女王へ捧げなくては ならない。
今回の話で自分が考えたのは、2 つの可能性でした。
- カイトの脳だけを女王に献上した
- 再生したカイトは別の肉体で造っている
どちらも、「カイトの外見だけは再現できて、魂は宿らない状態」を作り出せます。ただ、1 番目の説は弱いと思う。極上のレアモノの一部分だけを女王に差し出すなんて、許されるはずがない。
ピトーがゴンに語った言葉を引用します。
「死人を 生き返らせる 事は…… 出来なかった」
「ボクの能力で 出来たのは 腐敗しないように 作り直す事と」「操る事 だけだった」
「彼の魂は もうここには ない」「もう…… 元には 戻せないんだ」
『HUNTER×HUNTER (29)』 p.83
作り直す
という意味と、カイトの魂の居場所(女王の腹の中)について、拡大解釈してみたのが、2 番目の説です。
つまり、別の人間の肉体を使って、「カイトのコピー」を創り出そうとしたのではないか。生まれたばかりのピトーは、魂の存在なんて知らなかった──。
ところで、よく考えてみると、ピトーの能力では死者は蘇らないけれど、女王は何人も「生き返らせて」いるんですよね。
封印されしネタ
良い機会なので、寝かせておいたネタを披露します。
- ゴン:
- 「キルア…」
- キルア:
- 「うん」「あのカマ… かなり ヤバイぜ」
『HUNTER×HUNTER (19)』 p.142
「カマ」って、カイトのことかよッ!!
──えっと、本来であれば「口紅を塗りたくったカイト」のコラを貼り付けて、「カイトは どこか女性っぽい」(髪の長さ・手足の細さ)というネタを昇華させるつもりでした。そのまま 7-8 年も過ぎている。
性別なんて問題じゃない?
そもそも──、カイトが男性とも女性とも、作中ではハッキリとは描かれていません! だから、「レイナ・カイト」は、「彼女」の本来の立ち振る舞いをしているだけ──だったりして。
また、それとはまったく別に、幼いクルト少年は、「妹」の定義を知らない可能性もあります。自分より年下であれば、すべて「妹」と思っているのかもしれない(『めだかボックス』にも いたよね)。
それを言い出すなら、ゴンもキルアもクラピカも──ゴレイヌさんだって、作品の中で性別を明かしていないはずです。
『ドラゴンボール』の孫悟空のように、「パンパン」して男か女かを確認する場面は、ハンター試験中のレオリオとレルート(『HUNTER×HUNTER (3)』 p.62-63)くらいでしょう。ヒソカのアレやソレだって、いくらでも疑える。
(ふと思ったけれど、『バクマン。』のヒロイン・亜豆美保が「男の娘」だった──という驚きのエンディングは あり得るだろうか)
混ざり合う魂
「カニの化け物」に おびえていたクルト少年は、師団長・コルトとして立派に勤めを果たしていました。その点にも疑問があります。
以前のコルトやイカルゴのように、「前世」の記憶が薄い者でも、自在に言葉を操っている。おそらく、個人的な記憶よりも、生きるために必要な知識のほうが優先して残るのでしょう。
自分が一番の不思議に思っているのは、「複数の人間の記憶・意識を持ったキメラアント」が現れなかったことです。「前世」を覚えている者は、全員が単体の記憶しか持っていない。
1 つの肉体には 1 つの魂が宿るということか。
あるいは──、受精時の生存戦略のように、キメラアントの肉体の中で「記憶の生き残り」を賭けた戦いがあるのかもしれませんね。
「複数人の記憶に苦しむキメラアント」というテーマで話が書けそうなので、あとは だれか たのむ。
おわりに
「キメラアントの部分」を上手に衣服で隠しているパームは、ドレスアップした美女にしか見えません! ゴンの次くらいに変化が大きい人ですよね。
彼女のことを知らない人が、「ベッドで一緒に泳ぐ」時には、驚くだろうなぁ……(オトナの『H×H』)。『レベル E』といい、作者は人魚好きなのかも。
最後にパームが見せていた涙は──、あれはキメラアントとしてだったのか? それとも人間として……?
コメント
初めて読ませていただきました。
とても興味深くて面白いと感じました!
ものすごくH×H読み込んでることがひしひしと伝わってきました。
読んでて思ったのですが。
多重人格の蟻がいないのはきっと摂食交配で「人+人」がいないからでは?
すべて「人+獣」なので一人分の記憶なのではないですかね。
でもハギャの場合は人ではなく「百獣の王」の時の記憶が残ってましたね。
たぶん人の記憶があった描写は無かったと思いますが・・・。
もし、人としての記憶もあるなら・・・。
多重人格で悩む蟻、確かに面白そうですね!
てろぺろさんへ:
そうそう、動物時代の記憶が強いキメラアントって、
ハギャ(ハギャってゆーな!)くらいですよね。
キメラアントの多くが人間の記憶だけを思い出すのは、
動物や昆虫たちの記憶している量が小さすぎるから、
吸収されてなくなった──ということでしょう。
もしもそうなら、ハギャの元になった人間は、
よっぽど薄い人生を送っていたのかも……。
あるいは、幼児だったとか。