HUNTER×HUNTER 25 巻 「突入」 1 – 光り輝く龍と暗く沈む瞳

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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.25 「突入」

1000 Arms
感謝する心が──世界を変える

「鼻水を垂らした少女」が題材という、ハナバナしくもミズミズしい第 25 巻の表紙です。たとえ この先どれほど CG の技術が進んでも、『HUNTER×HUNTER』の実写化はコムギのおかげで激ムズですね!!

さて、この作品が「10 週連続で掲載される」というだけで、当時は大ニュースだった。冗談と誇張抜きで。そして しばらくは、「コミックスの分だけ連載する」スタイルが定着する。でも、それだけでも十分に ありがたい。

ここで皆さまには強く言いたいことがある。

──あんな、冨樫せんせー待つなんて楽勝やで?

貞本義行版は ようやく『新世紀エヴァンゲリオン (13)』(予約受け付けは 2012/07/09 まで!)が出るくらいだし、『クリスタル☆ドラゴン』シリーズは 1982 年発行の第 1 巻から楽しみに読み続けている。

そして、映画版の原作として有名になった『ヘルタースケルター』の作者である岡崎京子先生を待つことに比べたら、冨樫先生の休載なんて のほほんとした小春日和です(?)。

岡崎京子 – Wikipedia

冨樫先生のインタビュー記事も最近はチラホラ見るようになったし、むしろ「もう ちょっと休んだほうが……」などと思ったり、しない(えー)。

【画像あり】H×H 冨樫「僕の場合はバトル漫画を描いているというのもあるんですが、『いつでも主人公を殺してやるぞ』という気構えですね(笑)」

No.261 「突入 1」

繰り返し書いてきたように、ここは「自分の感想を紹介するサイト」です。だから、初めて読んだ時に感じたことを一番伝えたい。

この回からは毎回、連載時に感想を書いていました。当時を振り返りつつ、現在の自分に書ける文章を追記していきますね。

HUNTER×HUNTER ついに再開! 突入直前の異常事態 | 亜細亜ノ蛾


カラー・ページではヒナの背中だけを見せておいて、白黒ページではアッサリと前から描いている──。これは冨樫先生なりの(ひねくれた)サービスですね。ちょうどカラーで隠れている部分に、キメラアントとしての特徴が出ている。

ヒナは異様に人間の部分が多い。ほかのアリたちから、「本当にお前はキメラアントなのか? 確かめてやる!」という光景が何度も繰り返されたのでは(ごくり……)。それは「薄い本」に任せるとして──。

ようやく名前の判明した「ブロウ」ことブロヴーダも、雑務兵の「シドレ」も、たんなるモブ・キャラか脇役くらいにしか見えません。優遇されているヂートゥとは大違い。

──と思わせるトリックが見事です!


「パームが身に着けてた 物」をビゼフ長官は持ってくると言うが、脱出の際にパームは衣服を着ていました。いったい、パームのニオイが付いたモノとは何なのか──!?

これが最大の謎でしたねー(棒)。


モントゥトゥユピーは、「殴られたく ない」とハッキリ不満を口に出しています。ようやく彼も感情を見せ始めました。

護衛軍のなかで一番の働き者であるネフェルピトーも、無理難題をたたきつけられて不満顔をしている。これまでの展開でも王への忠誠心が感じられないから、そろそろ不満が爆発しそうに見えました。

さらに、シャウアプフが気づいた王の苛立ちの根王に芽生えているものは、護衛軍たちにとって不安しか生みません。

以上から、「3 人が集まって反乱軍を結成」という展開まで考えました。もし そうなっても、王なら全員を蹴散らすだろうか。しかも、人間の少女のために──。

No.262 「突入 2」

突入直前! ゴンたちと蟻の思惑、パームの…… | 亜細亜ノ蛾

本編の前にある「おわびと いいわけ」が、冨樫先生らしい「斜め上」でワロ──えなかった……。

たしかに「第三回ハンター試験」の応募者は、結果を楽しみに待っていたと思う。しかし、その何百倍の読者が「そんなことより連載に力を入れて!」と口から血を流して願っている。


メレオロンとナックルがコンビを組むことから、どんなコンボ技になるかは簡単に想像が つきます。ただ、「後悔したくは ない」という感覚が よく分からなかった。まるでスポーツの大会に参加するみたい。

ゴンだけが私的な理由で作戦に加わっているなんて前に書いたけれど、メレオロンも「義父を殺された敵討ち」のためです。完全に自分を捨てて参加している者はいないし、我を捨てては ならない。

HUNTER×HUNTER 24 巻 「1-4」 2 – 生まれ変わる者たち | 亜細亜ノ蛾

突入隊のメンバは、それぞれの考えを持っている。キルアが心配している「想定外の出来事」も、モラウが思い描く王の性格も、どちらも間違っていない。それでいて、さらに先が想像できない話を描く。何回読んでも すごい!


パームが 王と…… !!?」の場面は良かった!

普段のパームだったら想像したくないけれど、今の彼女は超絶イイ女ですからね。みんな(オレ)、今後も思い出しモヤモヤに悩まされると見た!

子作り!」「なるほど」という会話も味わい深い。


ユピーが護衛軍と王以外に初めて話した相手は、ウェルフィンでした。この事実も さりげなく重い。

「裏の王」を目指しているけれど二流にしか見えない狼と、生まれる前から師団長たちの上に立つことを約束された魔物とでは、どちらが格上かは考えるまでも ありません。ただし、それだけでは決まらないこともある──。

何度も「出口」に気がつきそうなウェルフィンにはドキドキしますね! もしも この時に見つけてワナを仕掛けられていたら、突入隊は全滅していた可能性もあります。

No.263 「突入 3」

空から現れた「二人の男」にピトーは…… | 亜細亜ノ蛾

前回のユピーは、ピトーとプフの「円」を同じくらいの範囲だと思っていた。読者からすれば「数キロメートルと数十メートルの差」だとすぐに分かる。

ユピーの単細胞は、そんなにも致命的なのか……。

──じゃなくて、ずっと両者の「円」の内部にいるから、ユピーには距離感が分からなかったわけです。ここも登場人物を生かし切る作者らしい描写で、普通なら「ああ ちょうど階段の上まで だったぜ」なんてユピーに言わせていたはず。


光龍を見るプフとピトーは、それぞれ表情が違って おもしろい。プフは、どうやって この龍から王を守ろうか──しか考えていません。一方のピトーは、龍・または操る者との戦闘に心がワクワクしている。

臨戦態勢に入ったピトーは、女性化が急速に進んでいます。ついでに猫化も促進している。ただ、猫が よくやる「背中の毛を逆立てる」みたいなポーズの時には、シッポも太くして欲しかったな。

No.264 「突入 4」

プフ・ピトー・ユピーに迫る危機、陰と陽のジジイ | 亜細亜ノ蛾

ネテロの言う「悪手」とは、「敵の能力も分からずに突っ込んでくること」と、「翼を持たない者が空中戦を挑むこと」の 2 点でしょう。

黒子無想」(テレプシコーラ)で一瞬のうちに葬り去れると確信していたから、ピトーは飛び出したはずです。それほど自信のある技は、いつになったら見られるのかな──。

ネテロの放つ「百式観音」は、不可避の 速攻でした。ところが「一撃必殺」というほどの威力はない。ピトーは無傷に見えるから、飛べたら無意味な攻撃だったような……。


ゼノが「心滴拳聴」について話している相手は、おそらくキルアでしょう。

龍星群」(ドラゴンダイヴ)のことをキルアは知っていたから、念を覚えたあとの場面に なるはず。グリードアイランドでの特訓を一時的に抜けて、ハンター試験を受けに行った前後の出来事だと見ました。

それでも、キルアがゼノの念能力について細かいところまで知っている点は、かなり不自然ですけどね。

No.265 「突入 5」

HUNTER×HUNTER #265『突入 5』 一日一万回! | 亜細亜ノ蛾

まさかの「ネテロ 46 歳」が登場しました。悩んだ末に感謝へ向かったネテロは正しい。だからこそ強くなれたのです。

たとえば、雪山に こもって「熊を何匹 倒したか」などという、あとで誰かに語るための自己満足へ行かなくて本当に良かったと思う。

音速以上の突きを会得するまでに、ネテロでも 4-5 年以上は必要でした。護衛軍や王は、もしかしたら産まれながらにして それ以上の怪物だったら──勝ち目が なさそう。

武道家としてのネテロは描かれたけれど、それ以外の私生活は不明です。何を思ってハンター協会の会長になったのか、いつか明かして欲しい。


玩具修理者」(ドクターブライス)の毒々しい姿が明かされたのは、「ジャンプ」誌上では この時が初めてです。それまでは斜線で塗りつぶされたシルエットに なっていて、そちらのほうが迫力は ありました。

あらためて「玩具修理者」のデザインを見ると、ピトー本人は持たない翼が生えている。これはピトーの願望が無意識に出たのかも しれません。

今までは王の護衛に熱心さを感じなかったピトーですが、初めての危機に直面して、どういう行動に出るか──。