バクマン。 #155-1 「仕事場とノート」 いい判断と今から

シェアする

『バクマン。』 155 ページ 「仕事場とノート」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 49 号)

Barack Obama: The red, the blue and the United States of America.
(いい判断を──つねに求められる人)

新妻エイジが(いつもどおり)謎の発言をしたり、意外な人物が再登場したり、次の展開へ向けて大きく動いた回でした。

ただし、どちらかと言えば、「準備期間」といった展開です。ファンなら人生で 128 回は口にする「人を選ぶ」話でしたね。地味な回ながら、いろいろと先が想像できて楽しかった。

『PCP』の連載を始めたころは、これこそが亜城木夢叶の代表作! ──と思っていただけに、最近の展開は、すこし悲しい。

しかし、作家にとって最高の傑作とは、最新作であるべきです。今後の亜城木を見守っていきましょう。

会議を 続ける

瓶子編集長が、この時点で大丈夫だと自信を持って発言しているのは、なぜでしょうか。かなり大きな変更を勝手にしていると思うけれど……。

もう長い間コンビを組んできたから、瓶子には佐々木の考えが分かるのでしょうね。だから、きっと佐々木は納得してくれるはずだ──と即断した。

──ん? 以前の佐々木編集長って、「一度 決めたことだ」と言って、頑固なまでに決まりごとを破らない人だった、ような……。

ただ、最近の佐々木は、おだやかな態度が続いています。いつも陽気そうだし。その変化も考えた上で、瓶子は佐々木の気持ちを代弁した──のかもしれませんね。

たった四文字で夜も眠れず──は大げさだけれど、こうやって登場人物の心理を(自分勝手に)読んでいくと、まるで その作品が「自分のモノ」になるようで、おもしろい。


左下のコマは、サイコーの顔がヤバいことになっています。目が不自然に開きすぎていて、「おクスリが大好きな人」みたいになっている。

たとえば──とか言うと、テレビだったら「ピー」ですね。二重の意味で。

「REVERSI」 じゃなく

いい 判断だ! という佐々木のセリフは、いいテーピングの人を思い出してしまう。

自分はアニメ版の『バクマン。』を見ていないため、各キャラクタの声が固定されていません。でも、佐々木編集長は、碇ゲンドウの声(立木文彦 さん)で再生されます。

──ということで、「ゲンドウがゴリの物まねをしている」様子が脳内で聞こえてワロタ。そんな怪奇現象に襲われたのは、この広い宇宙のなかで、ほんの 3 千人くらいでしょうね(意外と多いな)。

今回 早いな

先陣を切って会議室から雄二郎が出てきました。もう立派な班長──どころか、班長のなかでもリーダ格みたいに見える。

隊長を差し置いて卍解を会得してしまった副隊長みたいな感じです(分かりにくッ!)。もっと簡単に言えば「エラッそう」だけれど、ビクビク・オドオドされるよりは、個人的には好印象です。

「始まりは 一本の電話からだった──」という出だしで、雄二郎の視点から描いたサクセス・ストーリィも作れそう。毎週毎週、マンガ家の仕事場で雑談しているだけの話になりますケド。

──でも、それはそれで楽しめるかもしれませんね。おもしろいマンガを描く人は、本人も興味深い人物であることが多いそうです。

『もし女子高校生が大場つぐみ先生のマネージャーになったら』という作品があったら、ぜひとも読んでみたい! 大場先生が原作を書く時のエピソードを描きつつ、ヒロインの かわいらしさでファンの心をワシづかみする──。

これは 200 万部突破! ──か!?

まだ 早いだろ

班長と班員とに別れた「W 服部」ですが、この 2 人に上下の関係は似合いません。「ライバル同士」として いつまでも競い合ってほしいです!

「ジャンプ」の編集者でライバルと言えば、以前は港浦と山久が張り合っていました。一方的に山久のほうから挑発していた感が強かったけれど、良い緊張感が出ていて良かったと思います。

しかし、現在では すっかり山久は おとなしくなってしまい、出番まで なくなっている。港浦は港浦で、「重箱の隅を単一電池で つつく」みたいな、荒いツッコミばかりです。残念だなー。

ゾンビみたいな迫力のある服部コンビを見習って、ほかの班員たちも上を目指してほしい。

今回は その 2 本

十分に読める展開だけれど、エイジの載る 次の号から連載とハッキリ言われると、ぐっと心が引き締まる。絶対に読者は比較しますからね。

『PCP』も、「必勝ジャンプ」で月刊連載は続いていくのですが──、どうも「半分は終わっている」印象が強い。

切りのいいところ までちゃんと やってという服部の言葉からも、悪い意味での「歯切れの良さ」を感じました。

自分と一緒に立ち上げた連載が、自分から離れていく──。たとえるならば、自分の子どもが自立して、家を出て行くようなものでしょう。喜ばしい反面、寂しい思いが強い──といった、「ありがちな人間ドラマ」を見たかった。

「ベタ」な「王道」の展開が、何だかんだ言って好きです! 『バクマン。』も、構造は完全に王道ですよね。だから面白い!