HUNTER×HUNTER 9 巻 「9 月 1 日」 1 – 飛ぶ 3 匹と潜る 1 匹

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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.9 「9 月 1 日」

幽☆遊☆白書』や『レベルE』ではギリギリのところで表現を抑えていた(編集部から止められていた?)けれど、グロテスク全開の描写が出ました!

とくに「頭部(の中身)」とか──良いのか!?

絵そのものもヤバいし、「人を食った」描写なんて「人類の三大タブー」の 1 つですよ! 「冨樫作品では よくあること」だけど。

この三大タブーは『めだかボックス』でも出てきたけれど、3 つ目が伏せ字でした。いったい なんでしょうね?(棒) 調べてみると、「Yahoo! 知恵袋」の やり取りが おもしろかった。

人類三大タブー 今週のジャンプのめだかボックスの9ページ目で… – Yahoo!知恵袋

ただ、人■売■も近■相■も、トップ・スリーに入れるほど忌み嫌われていないとは思う。文化の違いをタブー視することこそ野蛮かもしれない。

マンガの 3 大タブーは、「下描き掲載」・「長期休載」・「夢オチ」ですかね。──冨樫先生、コンプリートおめでとうございます!

No.074 「9 月 1 日 3」

幻影旅団が来る前に、なぜか競売品は移動されていました。「予め こういう事態が 起こることを 知ってた」理由を団員たちは知らないし、読み飛ばしながら週刊連載を追っていた人にも、「ヒソカが裏切ったんじゃないの?」と思わせる演出がニクい。

──もしも競売品が そのまま残っていたら、25 平方メートル位の金庫にギッシリと入れてあった競売品を、どうやって気球で運んだのでしょうかね?

あとでシズクの能力が明かされるけれど、最後に入れた「複数の物」でも取り出せるのかな? たとえば競売品を吸い取った後で、「なんだか部屋の隅にホコリが たまっている……(イライラ」とか思ったりして。


ウボォーギンは「背信者(ユダ)が いる」と言う。なるほど、幻影旅団が「団長 1 人と団員 12 人」なのは、「イエス・キリストと 12 人の高弟」に習ったのでしょうね。ハンターの世界にも かの宗教が存在するのか。

使徒 #十二使徒 – Wikipedia

そして「12 人のメンバ構成」と言えば──。


団員からの断片的な情報だけで ほぼ正解までたどり着いた団長は、さすがに旅団の「頭」だけは あります。ものすごく賢いけれど「戦闘力: 5」みたいな人物でも良かったと思う。

H×H』は、たとえ短い言葉にも多くの意味を含ませています。ハッキリとは書かれていない部分でも読者の想像力を刺激する。

たとえば、ウボォーギンは ひと言で言えば「単純な性格」で済みそうだけれど、多くの情報を整理して正確に団長へ伝えています。けっこう哲学的な言葉も多い。

つまり、肉体派のウボォーギンでさえ頭の回転が速いから、それだけの頭脳を持った人間だけが旅団にいるのだな──と推測できます。

じっさいに、ずっと先まで読んでも「こいつは ちょっとオツムが足りないな」という人物は、「こっちの 12 人のなかには」いない(意味深な書き方)。


十老頭」(じゅうろうとう)や「陰獣」(いんじゅう)という新しい組織の情報が出てきました。

武闘派の集団である陰獣の 1 人・梟(ふくろう)は、戦っても強いと思われるし、金庫の中身を丸ごと かっさらう能力の持ち主です。きっと、ほかの陰獣たちも手ごわい能力者でしょうね。

これから幻影旅団と陰獣との長い長い戦いが始まるのだな──と思っていた、のに……。

No.075 「9 月 1 日 4」

肉体の強さは 旅団イチ」というウボォーギンが暴れてくれるおかげで、団員の強さに目安ができました。人間が群れを組む場合は、だいたいが同じレベルの集まりになるからです。

ただ、さすがのウボォーギンも、ライフルの弾やバズーカ砲は痛がっている。ロールプレイング・ゲームで言えば、「体力: 9999」に対して「ダメージ: 10」という感じ。何千・何万の砲撃や爆撃なら倒せる可能性は高い。

作者もウボォーギンが お気に入りなのか、彼には格好良い表情やセリフが多いです。とくに「悲しいぜ オレは たかが戦車と 同じ評価かよ」の場面はクールでした! スーパーバズーカ砲を構えたオッサンのダサさとは大違いだ。

フランクリンが言う「ゴリラ 対 アリだな」というセリフは、このあたりがゴルドー砂漠の 方向であることと合わせて考えると、たいへんに味わい深い。

ゴリラより象より強い「アリ」も いるかもね……。


ウボォーギンの戦い(という名のゴミ掃除)を見てしまったら、かの「上から目線 王子」なクラピカでさえも気持ちが引いている。ここで怯えたクラピカを描いているところが良かった。あとの場面に生きてきます。

ようやく登場した「陰獣」は、猛獣のようなウボォーギンを見ても迷い無く進んでいく。彼らの強さが うかがえます。

蚯蚓(みみず)先輩は自分から名乗っているし、病犬(やまいぬ)・豪猪(やまあらし)・蛭(ひる)と説明してくれる。全員がキャラ立ちまくりの幻影旅団を先に解説して欲しかった……。

No.076 「9 月 1 日 5」

幻影旅団の団員を紹介する絵は、すでにカード・ゲーム化も視野に入れていたのかな──と思わせます。記念すべき 1 人目のフランクリンからして、説明書きがクレイジィっていて楽しい!

フランクリンが念弾を飛ばす状況なんて そんなに無いのに、残りの生活時間に支障が出まくりです。放出系能力者だけあって、大ざっぱだなー。


ウボォーギンを地中に引きずり込もうとする蚯蚓の後ろで、病犬・豪猪・蛭が元気に飛んでいます。この 3 人がオーラをまとって飛ぶ姿は 128 回くらい出てくる。けれど──、

蛭は何のためにジャンプしているんだーーー!? アンタ、病犬師匠の後にしか仕事あらへんがな! 読み返すと笑えてきます。

気味の悪い戦い方をする陰獣ですが、本当の意味で「戦闘力が強い」人物は病犬だけでしょう。蛭は言うまでもなく、基本的には豪猪も自分から勝ちに行けない。

豪猪の「体毛針でどんな 弾丸でもはじき 返せる」とは、どんな仕組みなのだろう? 単純に硬いだけではなく、弾丸の動きに合わせて体毛を操れるのだろうか。そういう人物が『トリコ』にも居たな──なんて言うと、ファンに■されちゃう!


マダライトヒル」(感じで書くと「斑糸蛭」?)なる生き物が出てくるけれど──、これまた冨樫先生お得意の架空生物でした。

じつは、「さわやかな青年風の男」が語っているヒルの説明だけで、存在しないと見当が付いたらしい。そもそも、卵から かえったばかりの子どもでも痛いのに、それを産んだ親は普通に排出できる──という点も おかしいですよね。

シャルナーク研究所: マダライトヒル


銃弾や砲撃にビクともしなかったウボォーギンでも、神経毒には体の自由を奪われた。「致死性の 猛毒にすれば 勝負は決まって たのに」とマチも言う。

つまりは、現時点では最強キャラ集団の幻影旅団でさえ、おそらく無臭の毒ガスなどで全滅できる。人間──生物だから当たり前のことですが、なんだか痛快な感じです。

「鍛えているから ありとあらゆる毒物・薬物は効かない」というキルアの「体質」が、いかに想像を絶するほど特殊か、よく分かるでしょう。


団長とヒソカとの やり取りはシビレた!

つい先ほど、「裏切り者など居ない」と即答した団長が、ヒソカの「悪企み」を見抜いています。というか、見て見ぬフリをしている感じですね。わざと泳がせているだけの余裕がある。

ヒソカもヒソカで、何かを企んでいる心を隠そうともしない。団長はともかく、ほかの団員に「制裁」を食らう可能性もあるのに……。容姿はビジュアル系でも、パンクやなぁ。


レオリオは、「纏」(テン)しか使えないのに「念を覚えた」と言っていたようです。この一コマは「──というギャグ」で終わっているけれど、じつは笑い事では ありません。

念に関する基本的な知識がないところから、レオリオには師匠が居ない──と推測できます。かりに師匠と出会っていても、医学の勉強やら何やらで忙しい彼のことだから、修行は後回しにするはず。

それなのに──レオリオは喋りながらでも「纏」を完全に操っている! ゴンとキルアが しばらくの間、精神を集中しながらではないと「纏」の状態を保てなかったことを思い出しましょう。

レオリオ──、こいつは大物になるぞ……!

No.077 「9 月 1 日 6」

シズクの念能力は彼女の性格以上に不思議だ。

後半で具現化系能力の習得方法が語られるけれど、どうして苦労してまで掃除機を具現化しようとシズクは思ったのだろう……? シンプルに「掃除好きだから」なのか、幼少時に好きな「掃除機キャラ」でも いたのかな。

シズクが 「生き物」だと認識しているものは吸い込めないという制限も興味深い。実際は生物でも、シズクが知らなければ「デメちゃん」は吸い込んでしまう──ということです。

「一般男性が週に数回以上は体外に排出しているモノ」を吸えるかどうか(シズクが どう認識しているか)、ぜひとも検証して欲しいところですね!

デメちゃんの吸い込み口も──なんだかヤバい形だし。


まったく性格が違う 2 人だけに、クラピカとセンリツは相性が良さそうです。普段から神経をとがらせているクラピカも、センリツだけに聞こえるような声で礼を言っている。不思議で優しい関係ですね。

クラピカの鎖は手首に巻き付けているくらいだから、それほど長さはないと思っていた。しかし、かなり距離が離れた ところ──団員たちがクラピカの姿を見られない場所からウボォーギンを捕縛している。

先ほどの戦闘──もとい一方的な虐殺を目にしているから、一緒の車にウボォーギンを乗せるなんて、センリツもスクワラも生きた心地がしなかったでしょう。その上、クラピカの荒っぽい運転で神経が すり減る。

同胞たちの命を奪った宿敵を目の前にして、クラピカの怒りは最高潮──という場面だけれど、なんだか妙に かわいらしい。ウボォーギンのように、クラピカも劇画調で怒って欲しかった。それだと怖くなりすぎる?

──運転免許を取りに教習所へ行くクラピカを思い浮かべると笑えてきます。「また今日も 講習のキャンセル待ちか……(イラッ」──とか。それよりなにより、スクワラが運転を代われよ!


梟の能力である「不思議で便利な大風呂敷」(ファンファンクロス)は、車 1 台分は軽く包み込んでしまう。競売品は別に持っているので、風呂敷は何枚も出せるはずです。便利さで言えば最高の能力だ。

あまり「フクロウ」らしい特徴のない彼が この呼び名なのは、「袋」の洒落でしょうね。または、作者が国語辞典をパラパラ見ながら「『梟』、かっけェー!」と思ったのかも。

梟は、フェイタンたちの反応の 鋭さを称賛しているけれど、自分自身も猛スピードで突っ走っていた車に飛び乗る身軽さを持っている。

残りの陰獣たちも登場し、いよいよ達人同士の戦いが──見られるのかなぁ……。

No.078 「9 月 1 日 7」

マチの能力は すでに明かされていますが、それでも念糸の強度には驚くばかりです。

──しかし、変化系能力者には嘘つきが多い。「世界一周できるくらいの距離までつむげる」というコメントも、話半分で聞いておいたほうが良いかもしれません。

連れ去られるウボォーギンに対して何らかの手を打てた人物もマチだけという点や、切断されたヒソカの腕を治した「念糸縫合 」(ネンしほうごう)」から見て、「目が良い」こともマチの長所ですね。

HUNTER×HUNTER 7 巻 「これから」 1 – 攫う×習う×繋ぐ | 亜細亜ノ蛾


拷問用の設備が整っているところは、いかにもマフィアらしい。普段はラフな格好をしているダルツォルネも、マフィアの関係者だけあって貫禄がありますね(正確にはネオンの護衛団)。

拘束されている状態でも、ウボォーギンは強気を崩さない。しかし──、毒のせいで首から上しか動かない状態のはずです。

もしも万が一、ダルツォルネが拘束を解いたら──、ウボォーギンは「動けない……」というコントに なっていました。どうするつもりだったんだろう?


怪しい空気の中で、クラピカとヒソカが顔を合わせました。戦る気が ない相手のためにヒソカが時間を空けるなんて珍しい。

ヒソカが語った情報は、クラピカには知っていることばかりです。何か月も前から予定されていた日なのに、ヒソカが団員の能力を知らなければ、この会合は無意味でしたね。

ただ、ヒソカが 2・3 年位前に 4 番の男と交代で入ったことを、クラピカは知っていたのだろうか。旅団がクルタ族を襲った 5 年前のメンバだけに報復するつもりなのかな。

幻影旅団が どんな慈善活動をするのかも気になりました。盗品でチャリティ・オークションでも開いたりして。


馬子にも衣装」な旅団員たちは、ダルツォルネに不審がられないように変装しているのでしょう。ニット帽を被ったマチが かわいらしいけれど──、そんなマフィアいねェー! とか思った。

あまり顔が割れていない「エジプト風の男」は ともかくとして、なぜかシズクは素のままです。ダルツォルネが幻影旅団の情報を手に入れていたら、不意を突けなかったかもしれませんね。

たぶん、結末は変わらなかったけれど……。

また、シズクが吸い取ったのは病犬の仕掛けた毒だけで、筋弛緩ガスは まったく効果がなかったところも悲しい。一時的にでも旅団員を捕まえられたことは、toto で 1 等を当てるくらいの幸運だった。

見せ場らしい見せ場が無く、気苦労ばかりの人生だったダルツォルネに、合掌──。