HUNTER×HUNTER No.281『神速』 (週刊少年ジャンプ 2008 年 45 号)
その昔、週刊少年ジャンプ誌上で同じ週に『DEATH NOTE』と『
HUNTER×HUNTER』が掲載されていた。何というぜいたく! その 2 作品だけ切り取って、定価の 9 割を払ってもいいくらいだ。同じ作者たちの作品を、ジャンプでまた読める日が来るとは……。
『ハンター』の魅力は、「不安定さ」だと思う。絶対にこうなる──と先を読めない。「主人公は絶対的な善である」という少年マンガのお約束もゆらいでいる。今回の内容も、単純に前の続き──と読み流せるような内容ではなかった。
今回は、モントゥトゥユピー戦に乱入してきたキルアと新技(?)を中心に、感想を書いてみる。
神速(カンムル)で八つ当たり
「落雷(ナルカミ)」でユピーの動きを止めたキルアは、なぜか八つ当たり
をする。
なぜキルアが怒っているのか、初めは分からなかった。少し考えてみると──たぶん、ゴンに「関係ないからっ」
と言われたからだろう。これだけ読むと、「カレシにヒドいことを言われて怒るカノジョ」みたいだな……。的外れでもなかったりして(ボソッ)。
新しい技?
新技のように見える「神速(カンムル)」は、オロソ戦でも使っていた技だ。ただし、あのときは「疾風迅雷(しっぷうじんらい)」という技のようである。ネットでよく聞く「脊髄反射」というか、格闘ゲームの当て身投げが近い。
当て身投げ/当て身返しの歴史 – うさだBlog / ls@usada’s Workshop
ユピーに使った技は「雷光石化(らいこうせっか)」という。こちらは、電気を利用してキルアお得意の「肉体を操作する」ものだ。『サイボーグ009』の加速装置や DOOM 3 の Mod に出てくる装備のように、「自身が加速して周りがゆっくりに見える」といった効果はないようだ。あくまでも、肉体を加速させるだけである。それでも、いままで出てきた念能力の中で、トップクラスの強さだ。
「神速」はあまりにも強力な技のため、なんらかの制限がありそうだ。反動で筋肉痛になったり、使いすぎて肉体がボロボロになったりするのだろうか。──「髪が傷む」だったりして(「女性化する」とも考えたが、書くのはやめておこう)。
技名について
ところで、キルアの技名は「雷掌(イズツシ)」「落雷(ナルカミ)」「神速(カンムル)」と、かなり独特な語感だ。てっきり、語源はアイヌ語あたりと思っていたが、いまだにネットで正確な情報を見かけない。完全なる作者の造語だろうか。なんとなく、ナコルルの技を思い出す。「アペフチ カムイ リムセ
」(通称: ぬのぬのぬの~ん)などがいまだに忘れられない、「ゲーメスト」世代だ。
疾走するナックル
今回のナックルは、かなり謎の行動をする。暴走しているとしか思えない。
ユピーに一発──どころか 8 発も攻撃を入れたことに満足して、戦線離脱する。かつてのゴンがネテロ会長に言われたように「趣旨かわっとるがな」
(『ハンター×ハンター (No.2) (ジャンプ・コミックス)』)。
さらに、「シュートを病院へ連れて行かねーと !!」
と心の中で叫んでいる。ついさっきまで、シュートはそれほど長くは持たないと見ていたはずだが……。なにより、「天上不知唯我独損(ハコワレ)」の貸しをせっかく貯めたのに、ポットクリンの利息アップは、対象者がナックルから100メートル以上離れると中断される
ことを忘れているのだろうか。
HUNTER×HUNTERの能力・技 – Wikipedia
失踪するシュート
──ここで、自分の大胆な仮説を書こう。これって、花畑見えた
ナックルは、人生観が変わってしまったのでは? スピリチュアルな方面へ目覚めた、とか……。「世界より大事なものがあるんです !!」
という考えが大きくなり、戦いよりも「シュートやモラウと仲良く暮らす」ことを優先するようになった、とか……。
だが、シュートはいなくなっている。自らの意志で移動したのか、それとも連れ去られたのか。いずれにせよ、やはりユピーから 100m 以上は離れてシュートを探すことになりそうだ。
ユピーやナックルは、宮殿での戦いからキャラが固まってきた感じがする。ユピーは知的になり、ナックルは走ってばかりいる。もちろん、走って逃げなければ瞬殺されてしまうくらい、ユピーが強いからだが。
迷うモラウ
シャウアプフとモラウの戦いは静かに続いている。いや、モラウの気付かぬうちに、すでに終わっているのか……。息詰まるというよりも、行き詰まる戦いだ。
少し疑問なのが、プフがサナギの状態から変形途中である──とモラウが信じ切っていること。自分の「監獄ロック(スモーキージェイル)」に絶対的な自信を持っているため、逃げられる心配はしていない。しかし、たとえばノヴの「4次元マンション(ハイドアンドシーク)」みたいな瞬間移動系の技と考えることもできるはずだ。
もちろん、読者はプフの「状態」を知っている。モラウが推測する生物の体(てい)を成していない
という推測は、じつは当たっているのだ。しかし、全く無防備の状態
かは分からない。殻(から)には、本当にワナがあるのかも。「それは考えすぎだ」とは誰も言えない。そういう作品と作者だからこそ、いつまでも目が離せない。
まとめ
いつもの文章量と比べて、書きすぎた。ゴンとピトーの会話やシュートの行方の予想など、まだまだ書き足りない。まぁ、「腹一分目」でガマンしておこう。
ちなみに、唐突に「ナコルル」が出てきたのは、「ナックル」との語感を絡めたネタを考えたからだが、あんまり面白くなかったので封印した。
コメント
はじめまして永空といいます。
前回のHUNTER×HUNTERの習慣連載の際、ここを見つけて
毎週更新を楽しみにしてました。
それで、今回、連載再開第一話を読んで、
キルアかっこよすぎだとか他いろいろ、言いたいことができたので、
カキコさせていただきますw
いままであまり目立ってなかった変化系能力の独自性を見れたのが面白く、
また、圧倒的な強さを持つ能力かと思いきや念(電気)の消費量がやたら激しいという弱点を持つ、
というのも面白いなと思いましたね。
このまま倒すのかと思ってたら、はじめから弱点を理解してて逃げるつもりだったってのも意外でしたし。
でも、ナックルもキルアもユピーからはなれて放置なの?ってのは私も疑問に思っています。
あと、シュートがいなくなったのは、ノヴが回収したと読んでますが、どうなんでしょうね。
ユピーの信じがたい選択が、護衛よりも戦闘をとり、仲間、あるいは王に喧嘩を吹っ掛ける的な
展開は・・・いくらなんでもないですかね?^^;
ピトーにしてもカイトを直すのか、直せるのか分からないし、
直した後どうするのかも分からないしで、全く先が読めませんね!
>習慣連載
集中連載の間違いです^^;
はじめまして! ようこそ、辺境の地へ──。
そうそう、「変化系能力の独自性」ってキルアで再認識した感じですよね。いままでは、特質系がらみで具現化系が目立っていたような。
「神速」は強化系の性質もあって、攻撃補助の能力の中では最強に見えます。しかし、キルア自身は、まだ試運転と思っていたようですね。じつに彼らしいですが、一撃でも食らったら危ないだろうに……。
シュートの回収説は面白いですね。そうすると、シュートの居場所を見つけたのはパームではないか、といろいろ想像できます。それすら上回る展開があるのではないか、と期待できますね!