HUNTER×HUNTER 15 巻 「躍進」 2 – 解除×少女×魔女

シェアする

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.15 「躍進」

It's all just one big tub
少女のころの思い出は──金色に光輝く

修業ばかりの前半部分とは対照的に、後半は急展開の連続でした! まさに「躍進」な場面が多く、スカッとする展開です。

「ジャンプ」のマンガらしく、「友情・努力・勝利」もキッチリと描かれていました。残酷な場面の目立つ作品ですが、「邪道」と「王道」の両方が描かれています。

盛り上がる展開のため、感想も長くなりました!

No.146 「アベンガネ 1」

念能力は個人の個性と直結しています。ゴンの場合は「強化系」・「変化系」・「放出系」の 3 系統を使い分けるけれど──。

たとえばウボォーギンのように、「100% 純粋な『強化系』能力者」に変化系の修業は必要なのだろうか? おそらくウボォーは「強化系」の修練だけに専念したのだと思いました。

自分は元・陸上部だったので陸上競技で たとえると、ゴンは短距離も走れば幅跳びにも出場する「陸上選手」としてビスケに鍛えられていて、ウボォーは「100m 走 専門の選手」として技術を磨いたのでしょう。

天空闘技場にいた 200 階の闘士たちは、念能力と性格は合っていたが、複数の系統の組み合わせがバランス悪かった。上のたとえで言えば、「陸上部と囲碁部と写真同好会に所属」みたいな感じ。


オーラを電気に変化させることの恐ろしさは、熟練した念能力者であれば誰でも驚くようです。それほど難易度が高い能力なのか──。

産湯の代わりに電気を浴びていたキルアは、暗殺者の技術を身につけるために日常が地獄だったでしょう。

そのわりには、初対面の時からキルアは好印象です。ゆがんだ性格には見えません。環境に押しつぶされなかったわけです。──ある意味では、ミルキもイルミも「いい性格」をしているけれど。

そしてキルアの脚力はビスケをも上回っている。でもビスケは、「いまの格好」では全力で走れないから、ハンデがあります。二重の意味で──。


ビスケの見たところでは、ビノールトの実力は D クラスでした。「群狼の男長」は C クラスなので、彼では勝てなかったかもしれない。

ただし、念能力を駆使しながらの戦闘では、どう転ぶか分かりません。ビノールトが出頭して真面目に修業を続ければ、成長の伸び代もあるでしょう。そんな場面が描かれる日は来るのかな……。


キルアは、『グリードアイランド』の世界から「現実世界」へ帰ってきました。自分の衣服や身体能力がゲーム内と同じであることから、トリックに気がつきそうなんですけどね。

この時に使った「通行チケット」は、カード化限度枚数が 150 枚もあります。「離脱」(リーブ)並に貴重なカードのはずでは? でも、呪文カードはどこでも使えるから便利さが違うか。

街にあった時計のおかげで、1999 年 12 月 29 日だと分かりました。──そうか、ヨークシンのテロも 1999 年の できごとだったのか。連載の開始時期(1998 年)とだけ合わせてあるようですね。

HUNTER×HUNTER 14 巻 「島の秘密」 1 – 「妥協」の難しさ | 亜細亜ノ蛾


「黒人風の男」(「風」なのは「日焼けが趣味」の可能性があるため)ことアベンガネの名前が明かされるのは次回なのに、ちゃっかりサブ・タイトルに使われていました。連載の時には何だか分からなかったなー。

磁力」(マグネティックフォース)の描写を見ると、「離脱」(リーブ)と同じく「相手や自分が密室にいたら どうなる?」が気になります。頭ゴチン! で終わるのかな。

転送が完了した直後の「片膝立てポーズ」は、ゲーム外に出たキルアと同じ姿勢で『ターミネーター』っぽい。意識しているのかも。

アベンガネは、ゴンとキルアのコンビは知っていますが、ビスケが いるとは思わなかったのでは? ゴンとビスケの「関係」を勘違いしていたりして(疑惑の目)。

それともビスケは、「同年代の子たちと お友だちになります」とか何とか言って「ハメ組」への参加を断わったのかな。猫をかぶっているビスケなら、それくらいは言いそうです。

No.147 「アベンガネ 2」

ビスケがサラッと言っている作戦は、アベンガネも指摘しているように、犠牲を覚悟して飛びかかる者は いないでしょう。自分自身が強いビスケならではの発想です。

「ハメ組」のなかでは、まっ先に犠牲者となったジスパが一番強かったらしい。プーハットも「簡単に やられない」なんて言っていたけれど、戦闘向きじゃなかったのかな。

死の危険が迫っているのに、アベンガネは理路整然と冷静に語っている。今回のような危機を何度も味わっているのかも しれませんね。

オレ達の 仇を討って ほしい…!」と目の前にいる生きた人間から言われるなんて、めったにない状況です。できれば、一生ずっと言われたくない……。

ところで、「ブタも おだてりゃ 木に登る」なんてビスケの前で つい口走ったら、アベンガネは爆死よりも悲惨な姿になったと思う。


アベンガネは貴重な「除念師」だった!

ただし、念を除去できる代わりに「念獣」(ネンじゅう)と年中 一緒です(うわぁ……)。「念獣」を消すためには、けっきょく念能力を解除する必要が ある。

それって、あまり便利な念能力ではないような……。

命の音」(カウントダウン)を「念獣」が食っている時のアベンガネは、本当にイヤそうな顔をしています。自分が出したのに、いつも こんな表情になるのかな。

アベンガネは陽気な変装をしているけれど、あとで登場する「交信」(コンタクト)や「磁力」などの呪文カードをゲンスルーが使えば、アベンガネの生存が分かってしまうのでは? それでは いくら変装しても意味がない。

その疑問へのヒントは、あとで書きます。


久しぶりに登場の魔獣・凶狸狐(キリコ)は、あいかわらず誰が誰か分かりません。それぞれの特徴は「凝」で分かるのかな?

キルア以外に今年の受験生は来ていないけれど、毎年この山に来られるのは一組だけなのでしょうか。それに、いつもキリコが会場に連れて行ってくれるとは限らなかったとも思う。ハンター協会と契約しているのかも。

ゴンのことを話すキルアの楽しそうな表情が最高に良いですね! 自分の いないところで、自分が他人から どう話されているか──。これが その人の価値になります。


「ハメ組」のアジトへ行くつもりだったゴンに、いったんはビスケも同意したけれど、結果的にはアジトへ向かわなかった。それが正解でしょうね。たどり着いたところで、2 人が目にするのは大量の──。

呪文カード店の店員は、毒々しい帽子が よく似合っている。いつもながら 1 回限りの登場人物が魅力的です。自分がイラスト描きだったら、『H×H』の一作だけでネタに困らなくて楽しいだろうなぁ。

そして、よりによって超レアなカード・「堅牢」(プリズン)を引き当てた 2 人の近くに、以前にも見たような足元のシルエットが──。

No.148 「試験開始」

「ハメ組」の連中は いなくなったはずなのに、まだ 2 人を監視する気配がある。これは もしかすると──。

「ロー・ティーンのカップル…… 非実在青少年に間違いがないよう 四六時中 見守らねば……」などと、都知事が障子を破りながら見張っているのかな。

それは さておき話題を変えて──、ビスケは洋服も顔もキレイだけれど、お風呂や洗濯は どうしているのだろう……(話題が変わってない)。

ビスケによると、ゴンは「放出系 よりの強化系能力者」とのこと。ヒソカの性格判断で言うと「強化系」は「単純一途」で、「放出系」は「短気で大雑把」でした。たしかにゴンには、そんな一面が あるよなぁ。


キリコたちに「楽しかったよ」と言ってもらえて、キルアも本当に うれしかったでしょうね。他人に感謝されることなんて、ハンター試験の前には なかっただろうから。

ゴン・クラピカ・レオリオの 3 人は、ハンター試験の会場へ たどり着くまでが大変だった。でも それはキリコがいた山までの話で、そこから先は焼き肉を食べただけです。

HUNTER×HUNTER 1 巻 「出発の日」 2 – 同類 相まみえる | 亜細亜ノ蛾

今回は少しだけ面倒な買い物が ありました。「お客様 こちらへ どうぞ」と言われて 1,500 人も奥へ消えていく店なんて怪しすぎるけれど、たぶん別の入り口も あるのでしょうね。


試験会場には去年の参加者も いました。

あいかわらず真っ黒な目をしたポンズも再挑戦しています。去年はゴンに体をまさぐられて終わった(ごくり……)けれど、今度こそは合格──できたら良かったな……。

HUNTER×HUNTER 4 巻 「最終試練開始!」 2 – 決闘も運賃も負けない | 亜細亜ノ蛾

「江守」だったか「お守り」だったか(違う)が言う「高速道路を 100km/h で 走っていたオレ達を 奴は 300km/h で楽々 追い抜いていった」というセリフが印象深かった。

でも、キルアのようなズバ抜けた試験生は来年は いないから、あきらめる必要はないと思う。よっぽど圧倒的な実力差を感じたのだな。

ゼパイルも残念ながら倒されました。彼は内臓を担保にしてお金を借りていたから、試験に落ちたせいで お金が返せなかったら──、『闇金ウシジマくん』みたいな人が取り立てに来るのかも。

ジンが参加した年の試験も、合格者はジンだけだった。もしかしたら彼も、参加者を全員ぶっ飛ばしたのかな。──そう言えば『幽☆遊☆白書』の後半で、ジンに似た人物も同じことをしていたなぁ……。


1 次試験の試験官は、濃い顔のオッチャンでした。

単純明快な試験内容は、文字どおりに暴力的だけれど、ネテロが考えた最終試験のようなタチの悪さは ありません。試験生の実力を計るには最適な方法と言える。

しかし、すべてが戦闘能力を競う試験だったら、ハンターという生き方にも疑問が出てきます。武闘派ばかりが集まったら、軍隊のようになるのでは?

あと、試験官は完全に寝てしまいました。もしもキルアが音もなく扉を開けていたら、気がつかなかったはず。寝てる間も修業を重ねたゴンやキルアとは、あきらかに反応が違う。

やはり、寝ている時も神経を研ぎ澄ませるには、才能というか体質も関係してくるのでは? たんに試験官が油断していただけにも見えるけれど、そもそも試験中に試験官が油断する時点で失格だと思う。

No.149 「遭遇」

キルアは最短時間で試験を終わらせたけれど、そのことをゴンとビスケは知りようがない。どうしてキルアが帰ってくる時期が分かったのだろう?

2 人が修業をしていた場所はマサドラの近くだったはずなのに、スタート地点で出迎えている。ここから考えて、ハンター試験が開始した日に合わせて移動したのでしょうね。

そうそう、昨日の感想で書き忘れたけれど、ビノールトに片方の髪の毛を切られたビスケは、この巻の途中から髪型をポニー・テイルにしています。今回の冒頭ページでは思いっきり真上に髪の毛が押っ立っていて、なんだか おもしろかった。


シャルナークたちも「クロロ・ルシルフル」と すれ違っていた場所は、おそらくゴンたちと同じくマサドラでしょうね。その正体であるヒソカは、シャルたちが答えに近づくまで隠れていたらしく、その意地悪さは健在です。

クロロは予言どおりに「東へ」向かったわけですが──、海岸まで来た時点で、普通であれば「行き止まりだから ここで待とう」と思うはず。海上へ出ても真東へ進もうと よく思いましたね。

「鎖野郎」に団長をさらわれた時は、交渉には応じず団長が死んでも構わない──みたいなことを言っていたフィンクスが、ここでは先頭に立って団長を復活させようとしています。やはり、彼も団長に戻って欲しかったのか(ツンデレ説浮上)。

そして予言に出ていた除念師とは、アベンガネのことで間違いないでしょう。しかし、クラピカの「律する小指の鎖」を彼の能力で解除したとしても、また強力な念獣に つきまとわれる。その問題は、いったん棚上げなのかな。

あと、ゲンスルーに見つからないようにするため、アベンガネも名前を変更すると見ました。その方法は不明だけれど……。


右にクロロ・左にクラピカというページ構成が最高に格好良かった! こういう時は、いつでも悪者は微笑んでいて、正義の味方は苦しそうな顔をしている。──クラピカは「正義」側の人間とも思えないけれど。

除念師の存在について語る言葉は、クラピカもビスケも内容は同じなのに、クラピカのほうはトゲが何百も飛び出しています。クラピカとキルアって、相性が悪そうですよね。ゴンが中心にいなかったら、仲良くなれなかったと思う。

ネオンが「天使の自動筆記」を使えなくなった理由は、クロロが盗んだからです。いまのクロロは念能力を使えないのに、盗まれた能力は元に戻らない──。

つまりクロロが亡くなるまでは、この先ずっとネオンは予言が できない。普通の女の子として暮らせる可能性が出てきたわけで、ある意味では良かった気もするけれど──、その前にライト・ノストラードが壊れそう。

今となっては、クラピカがノストラード組にいる意味も皆無です。そのうち組を離れるでしょうね。そしてクラピカが次に登場するのは、いつになるのだろう──。

No.150 「始動」

ゴンの「必殺技」を見たキルアは、いかにも わざとらしい反応を見せています。たしかに、「必殺」には ほど遠い。本人がノリノリなだけに、対応に困りますね。カラオケでの一場面みたい。

しかし、3 系統の能力を別々に鍛えようとしている念能力者は、意外と珍しいかもしれません。複数の系統を混ぜ合わせた念能力が多かった。

ゴンの心配をしているキルアも、「変化系」の系統しか使っていません。それに、「武器に頼って良かったのかよ!」とも思った。ゴンは釣り竿を使わないのかな。強化した「周」と組み合わせれば強力な武器になりそうなのに。


キングホワイト オオクワガタ」のカードは、たまたま 3 枚も取ってこられました。先に取ったプレイヤが独り占めしている可能性もあったけれど、ポケットに空きが なくなったから売ったのかな。

聖騎士の首飾り」は入手難度が D と低く、限度枚数も 60 枚と多いし、さらには「再生」(リサイクル)できるのに、得られる効果が多い。攻略に重要なカードで、トレードにも活躍するはずです。

魔女の媚薬」の効果は、ヴェーゼの「180 分の恋奴隷」を思い出しました。なんだか遠い昔に聞いた名前に感じる──。

この媚薬は、1 ビンの合計で 10 年分近くも あります。いろんな使い方を思いつきますが(ごくり……)、強敵の食事に混ぜればカードをもらえるはず。──ん? ヘンな使い方を想像しませんでしたか? こらー。

No.151 「躍進」

前回にキルアが言った「少女シリーズ」という呼び名が あぶない! そして この「金粉少女」を最低でも 3 人分も手に入れています。

もしもカード化限度枚数が最大になっていたら──、「使う」しかないのでは? 資金を稼ぐためにも、みんな金粉を出してもらうしかないじゃない!

──ということで、この屋敷へ無限ループで侵入して力尽きたプレイヤもいたと思う。むしろ力尽きたい!

そして よく見ると、ゴンもキルアも いつの間にか全身がキレイになっています。こっ、これは──「金粉少女」と一緒に非実在青少年 同士で洗いっこをしたのでは!?

そのあたりを「薄くて熱い本」や pixiv で誰か頼む! ──とか、思う人はイヤですよねー(いつもの責任転嫁)。


懐かしい人物(そして暑苦しい帽子)から交渉を持ちかけられています。交渉と言えばキルアの出番ですね! うまいこと言って情報を最大限に引き出そうとしている。

ただし相手も慣れたもので、手持ちのカードと居場所しか教えない。ゴンたちにとっては初めての直接交渉による交換だったけれど、帽子の男たちは何度も経験があるのでしょう。まだまだゴンたちの上がいる──。

今回は平和的に交渉が終わったけれど、ビスケだったら相手のカードをすべて巻き上げられたのでは──とも思った。相手が「ブループラネット」を持っていたら、実力行使に出たかも。


ギャンブルの街・ドリアスにいたカジノ王は、『哭きの竜』丸出しで笑えます。どうせなら麻雀で戦って欲しかったけれど、読者の大半がマージャンを知らないかな。

リスキーダイス」で 3 人(おもにキルア)は攻略したけれど、大ケガをする可能性もありました。ただし良心的なことに、スロットも いつかは当たるだろうし、カードを手に入れたプレイヤと交換する手もある。

このゲームでは、「怪物と戦う」といった戦闘の実力を問われることはあっても、「運が悪ければ死ぬ」イベントは ないのでしょうね。

ただし、自分から危険を求める者もいる。

「リスキーダイス」と「宝籤」(ロトリー)のコンボを思いつくのはすごい! さすがキルアはゲーム・マニアですね(ちなみに「宝籤」は「たからくじ」と読む)。そして このコンボ技は、また登場します──。

ところで、この場面で手に入れた「天罰のつえ」などを使えば、ゲンスルーも倒せるのでは?


ゴンとキルアが気づいたように、『グリードアイランド』を攻略できるプレイヤは限られている。この島に来たばかりの 2 人も、ビスケに出会わなければ今の「躍進」は あり得なかった。

ツェズゲラは「あきらめた者」が多いと厳しい口調で嘆いていたけれど、実際には「帰りたくても帰れない者」が多数かもしれませんね。

そのなかで、結婚までしたモタリケ先輩がすごい! 彼との再会が待ち遠しいです!

そして、「離脱」(リーブ)目当てのプレイヤからカードをもらうのは、非常に賢い作戦ですね。3 人が「善良そうな少年少女」に見える点も都合が良い。同じ作戦をプーハットやアベンガネが思いついても、警戒されたでしょう。

最後のコマの全身で喜んでいる 3 人が良かった! とくにビスケは、スイカみたいな大口を開けていて楽しそう。○○歳なのに……(→全力でパンチ)。