『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.4 「最終試練開始!」
第 4 次試験はゼビル島にて行なわれる「島編」で、No.23 から No.32 まで続いてきました。
──惜しい、あと 1 話でピッタリなのに!(『ふしぎの海のナディア』の「南の島編」は 23~33話だった)。
ただ、ゼビル島はくじら島と似た環境なのに、ゴンが地の利を生かすこともなく、ちょっと物足りなく感じました。
あまり少年マンガで森林が舞台のバトル・マンガを描くのも縁起が悪いから、これくらいでちょうど良いでしょうね(時代が逆だけれど)。
タカヤ -閃武学園激闘伝- #森漫画と呼ばれた理由(わけ) – アンサイクロペディア
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Reviewer: あじもす @asiamoth,
No.031 「九死に…」
ようやく「正当派ヒロイン」の登場──かと思いきや、他人の死や策略を冷静に語るポンズは、ちょっと こわかった。彼女自身、いくつもの修羅場をくぐり抜けてきたのでしょうね。
ポンズのことをトンパは、「薬と 名のつくものは なんでも使う
」と言っていました(『HUNTER×HUNTER (3)』)。しかし、シビレヤリバチ
まで含めるのは、薬という範囲には広すぎる。
なんとなく、アナフィラキシー ショック
という言葉を作者が最近になって知ったから、さっそく作品に生かした──という感じがしました。どちらにせよ、ポンズがハチ使いという設定は、話に広がりが出て良かったと思う。
仲間に忠告するため入り口のほうへ向かったレオリオのことを責めたり、委員会のことを批判したり、やはりポンズは冷たい女性に思えます。これは試験中だから冷酷なのか、彼女本来の性格なのか、気になりました。
彼女の素顔が見られる日は来るのかな……。
後半のゴンは『H×H』史上に刻まれるべき活躍です!
まず、解毒剤の存在はクラピカも気づいていましたが、バーボンの屍体を探ること──蛇に襲われることには決心が にぶりました。当然ですよね。
しかしゴンは迷うことなくヘビのワナに飛び込んでいく。しかも、バーボンのプレートまで手に入れています。おそらくレオリオの容体が悪化してきたら、クラピカも解毒剤を探したと思う。でも、プレートまでは頭が回らなかったはずです。
そもそもゴンの驚異的な肺活量と体力が あったからこそ思いついた作戦とはいえ、あまりにも鮮やかな大脱走でした。いっさいウソをついていない点が素晴らしい! ようやく、ゴンという人物像が完成しました。
でも、ポンズのプレートを探る場面は、もっと詳しく描いて欲しかったな……!(切実
No.032 「最終試験は…?」
ネテロ会長を囲んでの なごやかな会食は、いま見ると興味深い光景です。連載当時は、「これがハンター協会のトップたちか……!」と思っていたけれど、実際のところは どうなんだろう? 頂上付近のハンターが試験官なんてしないかな。
「20 年くらい 前から約百歳
」というネテロは、いかにもウソつきだから、そんなに歳を取っていないのでは──と思わせる。昔のネテロが描かれるかどうか、先が楽しみです。
レオリオにだけ一方的に心を開いていたクラピカが、珍しくゴンと一対一で話している。たぶん、本人は心から感謝していると思いますが、どうもクラピカの態度は「口先だけ」に感じてしまう。損する性格ですね。
本当のクラピカは思いやりがある人物で、ここでもゴンの悩みを聞いています。そのおかげでゴンの心も軽くなりました。
ただ、まわりに理解者がいないと、いくらでもクラピカは敵を作ってしまう。今後も仲間に恵まれると良いですね。
泣いているゴンに対して、クラピカは何もしなかったところが印象的です。最初は冷たく見えた。しかし、「男が泣く姿」はゴンも見られたくないでしょう。そこを「子どもだから」と なぐさめたら、よけいに傷ついたかもしれない。
まだまだ親に甘えたい年ごろのゴンだけれど、彼は父親と同じ仕事を選んだ。そのためにハンター試験を受けている。言いかえれば、ここにいるのは「男になるため」です。
たとえ くやしくても、涙は取っておこう。
次に泣いても良いのは、友だちのため──。
ヒソカとネテロとの面談は見ものです。これまでの描写からすると、最強同士の会見になるはず。どちらも「いかにも猛者!」という感じではなく、ひょうひょうとしているところが冨樫先生らしいですね。
試験中でも あれだけ受験生──どころか試練官の命まで奪っておいて、いまさらヒソカは人を殺しても 免責になる
ことに期待している。これは妙ですよね。彼なりの皮肉やジョークの一種なのかも。
それ以前に、本来であれば「殺人鬼・ヒソカ」を、ハンター協会(か存在するかどうか現時点では不明の警察)が捕まえるべきではないか。そんな疑問も出てきます。ハンター試験中は おとがめなし──なのかな。
もしも この時点でネテロがヒソカを捕まえようとしたら、どんな結果になっていただろう? 近くにいた人間は全員が巻き込まれるでしょうね。レオリオあたりが大ケガしそうだな。
ヒソカの面談をたっぷりと描いておいて、ほかの受験者を省略するところも面白い。初見では面食らいつつも、すぐに「注目の受験者」と「戦いたくない人物」を示していることが分かる。「マンガの見せ方」を熟知していますね!
No.033 「最終試練開始!」
「こっこれは──『週刊少年ジャンプ』おとくいのトーナメント形式
のバトルに突入だぁーーー!」──と解説キャラを気取ってみましたが、さすがに作者は普通の「天下一ナントカ会」みたいな展開は描いてきません。
えげつない戦いを よく考えるよなぁ……。
ボドロのことを「キャラかぶってんな コイツ
」呼ばわりするネテロが笑えます。言われてみれば、髪型も口ひげもソックリだけれど、だれも そんなことは思っていないでしょう。
もっと人数が多かった試験の最初のころまで戻ってみても、ほとんどの登場人物が「カブって」いません。人種もさまざまです。ゴンとヒソカなんて、「まったく違うジャンルのマンガ・キャラなのでは?」と思えるくらい絵柄まで違う。
そこまで徹底的にキャラかぶりを嫌う作者だから、ネテロとボドロは「失敗したな……」と後悔したのかもしれませんね。名前も似ているし。ボドロの最期を見て、よけいに そう確信してきました。
最初はハンター試験のことをバカにしていたのに、今では完全にハマっているキルアです。『レベルE』に出てきたゲームにハマる症状そのものじゃないですか!
「キルアがゴンよりも資質に劣っている」と見られていることに、キルアは こだわりました。第 3 次試験まではレオリオもキルアが弱いと思い込んでいて、けっこう真剣にキルアは腹を立てている。
負けず嫌いな性格──と言えば終わりなのですが、それよりもキルアは他人に認められたいという欲求が強いのだと思う。そのために試験を受けに来た。おそらく一番 認められたい対象は、彼の家族でしょうね。
ポンズの言い方だと「委員会は冷酷無情な集団」という印象でした。しかし、第 4 次試験中に試験官が尾行していたとなると、ちょっと話が変わってきそう。
突発的な事故(ヒソカ含む)以外で命の危険がある場合は、委員会が助けることも あったのかも。──ただ、そうなると確実に失格するから、助けられたことを恨む受験生も いるでしょう。
助けるか見捨てるか──どちらが「武士の情け」か。
ゴン対ハンゾー戦では、マンガでよく見る(そして自分の大嫌いな)「気がつくと目の前に敵が!」という描写が出てきます。とうとう『H×H』も超能力バトルに突入か !?
この場面では、ゴンとハンゾーとの実力差が かなり開いていることを示しています。だからゴンには、ハンゾーが瞬間移動したように見える。実力が ほぼ同じ状態では、こんな展開には ならないはずなのです。
しかも この瞬間移動的な描写は、これまで極力ひかえていました。たまに出すからこそ生きてくるのです。
いつもいつもワープばかりしていたら空間に穴が空く。ついでに原稿も白くなるから線で埋めてばかりになる。そういうゴマカシで逃げてばかりいると、いつまで経っても同じ展開です。
冨樫先生も『幽☆遊☆白書』のころはワープ能力者が多かったけれど、中盤から後半にかけては鬼気迫る画面を生み出していた。
マンガ業界──というか「ジャンプ」からは逃げつつも、マンガからは逃げなかったからでしょう。逃げるにしても、上手に逃げようゼ!→各位
No.034 「合格第 1 号 !?」
主人公が「腕を折る
」と言われて次回への引きで終わる。これは確実に「折ったのは棒か何かフラグ」ですね! ──という甘い作品ではなかった……。
腕を折った本人であるハンゾーですら気まずい表情をしているのに、キルアは平常心です。現時点でキルアは、ハンゾーの意図を読み取った可能性が高い。
つまりハンゾーの発言とは逆に、必要以上にゴンを痛めつける気は皆無だったはずです。ゴンには あきらめて二回戦へ進んで欲しかった。その心優しさは、忍びの世界では命取りになりそう。今後も生き残れるのかな……。
普通に読めばハンゾーは「憎むべき敵」であり、ゴンは「絶体絶命のピンチ」なのに、一瞬で笑いの場面に替えてしまう。「素直に負けを認めな(キ !!)
」とかウケるし。
この冨樫マジックは、何度 見ても最高です!
ゴンの年齢(11 歳)は、1 年どころか数か月・数週間の違いで、急成長に驚かされる年代です。それなのに、「オレと 6 つ位しか違わないじゃん
」と 18 歳のハンゾー(意外と若い)に言う。ちょっとムリがありますよね。
そうか──、背伸びしたい年ごろでもあるのか。
ただ、ゴンは「たんなるワガママ」という面が大きい。ハンゾーと一緒に「対戦方法を考えよう」という提案は、彼の性格をこの上なく見事に表現していますね。ムチャクチャそのものだなー。
『幽白』の とある場面であれば、ゴンが「まいった」と口にした時点で負けです。最終試験では「負けたという意思を示す」ことが肝心だとは理解しているけれど、もっと厳密にして欲しかったな。
ゴンが意地でも退かなかったことは、彼の決意の固さを表わしています。相手がハンゾーでなくても、どんな状況であろうとも、ゴンは同じ選択をしたでしょう。
マンガの主人公としては正しい決断だけれど、それでも愚かな判断だと思います。ハンゾーじゃなかったら、命を失っていた可能性が高い。
──まぁ、ここで負け上がりに賭けるなんて、「ジャンプ」マンガ的に あり得ないけれど。
No.035 「光と闇 1」
食事中でも見せなかったサトツの口が、この回では何カ所も描かれています。今までは何だったんだ。それと同時に、謎の多い彼の性格が ようやく見えてきましたね。
ゴンのライセンス証をサトツに託したのは、ネテロの配慮でしょうか。たしかに彼だったらゴンでも言いくるめられる。ほかの試験官──メンチだったらお互いに ぶち切れていたかも。
『H×H』に限らず冨樫作品の登場人物は、誰の人生を切りとっても話が成り立つくらい「キャラが立っている」。
そのなかでも、とくにサトツのエピソードが見てみたい! いかにも紳士な彼が、名誉を 求め発掘のみに 心血をそそいで
いた時代は、今みたいに落ち着いていなかったのでは? サトツの荒れていた時代なんて面白そう!
「あるハンター
」の仕事に あこがれつつも、サトツは本人に会ったことがない。これは非常に注目すべきポイントです。もしかして そのハンターは、放浪癖があるのでは? だから会えない。ということは──。
サトツに最終試験の結果を語らせることで、ダラダラとトーナメント戦を描かない。うまい やり方です。次から次へとテンポ良く話が進んでいく。
クラピカにヒソカが何を告げたのか──。気になるところだけれど、それよりも、ヒカソに傷を負わせたクラピカの戦闘能力にも驚きました。ヒソカのほうが手を抜いたのかな。
「ギタラクル」はキルアの兄だった。このことの意味や重大さは、まだ分かりません。キルアが あせっていることから、家を飛び出す前に「刺した」相手が彼なのかな──と想像するしかない。