『バクマン。』 132 ページ 「逆立ちと立て直し」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 24 号)
あらすじだけを聞くと面白味のない話でも、演出しだいで楽しくなります。たとえば、今週の「ジャンプ」で言うと──:
- 『いぬまるだしっ
』: 『キャッツ・アイ』ネタ
- 『SKET DANCE』: 落とし物を探す話
- 『銀魂』: エリザベスを探す話
──これだけで終わるけれど、どれも面白かった。
つまりは、シュージンが不調でも、サイコーの力でピンチを切り抜けられたはずです。しかし──、「作画が良くなって、順位が上がった」という話は、あまりにも少ない。暗かった『PCP』の絵柄を明るくした時くらいです(『バクマン。 (11)』)。
考えてみると、マンガを読んでいて「おっ、今回の絵は気合いが入っているな―」と気がついたことは、数えるほども ありません。逆に「今回の絵は ひどいな」と思うことは多い。
やはり、マンガには話の力が重要です。
前ほどのキレはない
原作者から手渡された話が面白くない──。これは、作画の担当者であれば、誰もが経験することでしょうね。仕事のために組んでいるコンビであれば、原作に力が足りなくても「仕方ないな」で済ませるしかない。明日のご飯を食べるために、ペンを走らせるのみです。
しかし、亜城木夢叶は違う。
仕事仲間であり、親友同士でもある 2 人だから、相棒の調子が悪いと自分のことのように つらく感じる。今の状況は、2 人とも苦しい──。
「PCP」の人気は…
亜城木夢叶の不調とは対照的に、新妻エイジは票を集めている。双方のジャンルは違うけれど、『PCP』の票が『CROW』へ流れている──という面もあるのでしょうね。
『PCP』を終わらせるためにエイジは頑張っているのか、それとも亜城木への応援なのか、気になるところです。なれなれしく普段は会話をしているのに、肝心のことを雄二郎は聞かない。自分と同じで、「先延ばし精神」の持ち主ですね。
エイジがどこまで 本気か
──と雄二郎は考えている。たしかに、エイジの発言と行動は あまりにも常識外れで、真意がつかみにくい。
しかし──、意外にもエイジは、ウソどころか冗談を言ったことも ないのでは? 彼は、いつでも本気です。ということは──。
浮かない顔 してるじゃないか
自分の担当しているマンガは絶好調なのに、編集者が喜ばないのは、たしかに おかしい。服部が不審がるのも分かります。かつては、ウラでいろいろと手を回していた策略家の服部だから、すぐに何かありそうなニオイを かぎ当てる。
「作家の成功を喜ばない編集者」は、本来であれば かなり特殊な状況だけれど──、七峰透と小杉の例もあります。ここの編集部は、みんな秘密を一つ二つは かかえていそう。
現実世界でも、絶対にバラせない秘密を知っている編集者は多いでしょうね。
- 冨樫先生の担当者:
- 「じつは先生は、世界の危機を救うために旅立っているのです……」
- 純真な読者:
- 「そうなんだ! 先生を信じて待とう!」
- オレ:
- 「(ネトゲのことだよなぁ……)」
そう言えば、嫌いなマンガを 終わらせる 権限
のことを知っているのは、今の今まで雄二郎と編集長の二人だけでした。意外と、雄二郎は ちゃんと秘密を守るのですね。
態度は軽いが、口は堅い。──モテ男の必須条件だ!
亜城木くんのファンでも ある
服部の大好きな言葉は、「やる気」と「ライバル」です。そんな彼からすれば、エイジの行動は亜城木夢叶を 奮起させようと
している──と見るでしょうね。
しかし、亜城木夢叶のことを好きだからこそ、ゆるい話を描いているのが許せない──とも思える。エイジは確実に、その感情を持っているはずですよね。
ただ、だからといって、エイジは嫌いなマンガを本当に終わらせるのか。本当にマンガを愛している人間なら、自分の手でマンガを終わらせるのは、自分で書いたマンガだけにするべきでしょう。
──ん? もしかして、エイジが終わらせるのは、自分の作品なのでは……? つまり、『CROW』──と見せかけて、『+NATURAL』を終わらせる気だったりして。そして、『CROW』に全身全霊をこめて描く姿を、亜城木に見せつける──。
最近、岩瀬が出てこないところも あやしいぞ。
更に落ちていく
サイコーがシュージンの原作をボツにするなんて、信じられないような状態ですね……。これは一見すると悪循環
を起こす要因の一つに思ってしまいますが、危機を抜け出すための行動と思いたい。
シュージンは、白鳥シュンの作品を手伝っていたころのほうが、いまよりも時間に余裕がありました。あのころは、エイジのように亜城木も 2 作品を描ける可能性が見えましたが、こんなにムラがあってはムリですね。
──すくなくとも、現在の彼らであれば。
今回のピンチですら良い経験にして、シュージンもサイコーも、次の段階へと進んで欲しい。こんなところで終わるような 2 人では ないはずです。
