『バクマン。』 47 ページ 「矛盾と理由」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 35 号)
今回の佐々木編集長と福田との やり取りで、ちょっと疑問を持った場面があります。
「仲間」ではぬるいな
といい、「ライバル」では !
と反応する編集長ですが──自分には、よく意味が分かりませんでした。
──いや、バトルものっぽい「ノリ」は分かりますよ。「ライバルか。なら仕方あるまい……」みたいな。そもそも、『バクマン。』はバトルマンガの構造に似ています。
ただ、どうやら亜城木夢叶の進退に かかわる発言をしようとしている──という重要な場面なんですよね。「そんなノリで決めていいのかよ!」と突っ込みたくなりました。
席を外して もらえないか
編集長は、最近ますますゲンドウに似てきた気がします。しかもコミック版のゲンドウっぽい。──まぁ、それを言い出すとマダオとか、似ているキャラは多いですけれど。
福田が「編集長が来た意味」を理解する速さに驚きました。あいかわらず頭の回転が速く、人の気持ちや空気を読むのがウマい。それでも、表面上は「とりあえず上の人間には反発する」ように見えるのがマイナスですね。それが福田の福田らしいところです。
いいだろう いたまえ
騒ぐんじゃない
というゲンドウ──もとい言動から、イヤな予感がしてきました。ニブい自分でも、休載になるのか、と気付きます。
「上げて落としてまた上げる」という芸風がこの作者の持ち味なので、「──と見せかけて連載は続行」という道もあるのか、と期待しながらページをめくると──。
静かにしろ
──佐々木は驚くべき発表をしました。医者の許可を得て、一度は病院内での執筆を認めた──ように見えたのに、まさか こんなことになろうとは……。
サイコーの母親へ告げた悪いようには しません
という言葉は、今回の発表も頭にあったのかもしれません。そして、あの時に港浦へ言った「32 号分の休載について話し合う」とは、32 号だけの話だったのです。
── 2 つとも佐々木は「そのまま」の意味で話していたのですが、読者にとっては逆の意味に読めた。つまり、母親へは「病院で描いても大丈夫だから安心して欲しい」と言い、港浦へは「休載せずに連載を続ける」と言った──ように誤読させたのです。まんまと引っかかりました。
ところで、平丸は相変わらずですね。うらやましがっている場合じゃない! なぜこの緊張感のある場に彼がいるのかと思ったら、こんな美味しい役目があるとは。彼は見吉と同じく、ギャグ要員となってきました。
退院するまでなら まだしも…
さらに意外な言葉が編集長の口から出る。──なぜ、ここで川口たろうの名前が出るのか……。
ここに来て川口たろうを持ち出すのは、ズルい気がします。これでは彼も浮かばれない──と思いながらも、別の可能性に気付きました。
今回の理由を聞くと、「高校生にはムリをさせられない」とだけ言っているように取れます。それにしては、なぜサイコーの「おじさん」の話が出てくるのか──。
もしかすると、川口先生もサイコーも、何らかの病気になりやすい体質なのでは。このマンガのウラのテーマでもある「遺伝」ですね。だから、「高校生」ではなく「サイコー」の体調を、人よりも気遣う必要がある、のではないか。
──ちょっと、いや、かなり苦しい解釈ですね……。まぁ、順当に「高校生だから」でしょう。でも、そうすると川口たろうが出てくる理由が分からない。
いずれにせよ、残念な結果には変わりがないので、納得できる理由が編集長から語られることを望みます。