ティルダ・スウィントン一覧

バーン・アフター・リーディング – 恋人の欠点は美点──と思いたい

『バーン・アフター・リーディング』 (Burn After Reading)

[serie] La musique s'enflamme 2/4
(「焼いた CD」の取り扱いには──ご注意を)

最高に面白いコメディ映画でした!

『バーン──』には、とにかくヘンテコな性格の人たちが出てきます。しかし、ふざけた演技はしていない。奇妙な人たちが、マジメに生きているから面白いのです。

ゆかいな彼らを紹介しましょう:

上の説明で「好き」と書いてあるところは、「マニア」や「バカ」と読み替えて構いません。他人からみればドーデモイーことに、人生のすべてを賭けようとしている。そこに笑いが生まれるのです。


ブラッド・ピットの演技には、とくに注目ですね! こんなにおバカな彼は、見たことがない! 『ファイト・クラブ』や『セブン』のシリアスな彼とは大違いです。

『オーシャンズ』シリーズでブラッド・ピットとコンビを組んでいるジョージ・クルーニーも、まったく違う表情を見せている。『バーン』では、下品なトークで盛り上げてくれます。

残念ながらこの 2 人は、本作品では一瞬しか共演していません。お見逃しなく!(おそらく、見逃しようがないと思うケド)

全体的にノンキなふんいきの作品だけれど、後半の展開は誰にも読めない。「ある事件」をきっかけにして、だんだんと世界が壊れていく感じです。

まさか、この映画がこんな終わり方をするとは……。

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ベンジャミン・バトン – 老いていて求めれば若くして豊かな人生

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 (The Curious Case of Benjamin Button)

The work of my hands
(似ているようで異なる──かけがえのないボタン)

笑って泣いて楽しめる、大傑作です!

あらすじだけを聞くと、いかにも「お涙ちょうだい」の悲劇のように思える。そして、ラストにはシンミリとして終わります。

しかし、これは「世の中には、かわいそうな人がいるね」という映画ではありません。もしも映画の途中でそう思った人がいたら、ちょっと反省したほうが良いかもしれませんね……。

この映画は、人生を楽しんだ男女の話です。

あらすじは──、ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)は老人のような姿で生まれ、成長とともに外見は若返っていく。彼は生まれてすぐに父親に老人施設へ捨てられ、クイニー(タラジ・P・ヘンソン)という黒人の女性に育てられる──。

もう、全力で悲劇的に描いて来そうでしょ?

ところが、ベンジャミンの姿──普通の赤ん坊と同じ大きさなのにシワだらけの全身と顔を見た、老人施設で介護を受けている老女は、驚くでもなくこう言います。

ウソみたい。──死んだ主人にそっくりだわ!

この場面は、声を出して笑いましたね。強えェー! おばあちゃん、強いなー!! そう、舞台は老人たちが静かに最期を求める場所です。酸いも甘いもかみ砕いて飲み込んだ人たちばかりいる。いまさら、恐れるモノなどないッ!

たぶん、世間的な評価は、悲劇的になっていく後半部分に集中していると思います。でも、自分にはすくすくと成長していくベンジャミンを描いた、喜劇的な前半が最高に面白い。167 分間もある映画ですが、もっと長く観たかった。

ベンジャミンが生まれてから十数年が過ぎて、「やや若返った老人」の姿で出会った、ある少女・デイジー(ケイト・ブランシェット)が登場してからは、一段と話が深まっていきます。

恋をしたくなる映画でしたね。

ここからは、より詳しく映画の感想と、最後に自分が立てた「ある仮説」を紹介します。自分はもう、「普通に面白かったかどうかを 5 段階で評価する」みたいな感想ではなく、「オレオレ解釈」を楽しむ領域に来ている……。

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