舞城王太郎一覧

舞城王太郎 『阿修羅ガール』 残酷な主人公の恋心

『阿修羅ガール』

ちくしょー、また騙された! 舞城王太郎め!(満面の笑みを浮かべながら)。という読後感でした。

減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。

返せ。

『阿修羅ガール』 p.9

──などという、主人公の可愛らしい(?)独白から始まるので、てっきり、女子高生のほのぼの学園生活物語が始まるのかと油断していたら──背後からいきなり刺された感じ。主人公の周りで、次々と(文字通り)奇想天外な事件が起こるのでした。「先の読めない展開」という使い古された言葉が似合う一作です。

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ほのぼの青春ミステリィ(嘘)『世界は密室でできている』

#### 舞城王太郎の入門編?
奈津川サーガの三作目、もとい、番外編という趣向。一作目に颯爽と(笑)登場した名探偵、ルンババ(番場)の中高生時代の話です。──などと書くと、一作目から読まないとなんのことやら、という感じですが、一・二作目とは独立した話です。
また、語り部である主人公・西村友紀夫が中高生なので、難解な表現は出てこないし、奈津川家の人間のように暴力的でもないので、かなり読みやすかったです。前作までの過激な表現は人を選びますし、「とりあえず舞城王太郎を一冊読みたい」という人は、『密室』から読むのがお勧めかも(自分はまだ三冊しか読んでいないですが)。
#### あらすじ
主人公・西村の友人、ルンババはお隣さん。ある日、ルンババの姉は飛び降り自殺をしてしまう。中学生でありながら、何度も難事件の解決に手を貸したこともある、名探偵・ルンババは姉の死の謎を解く。しかし、その後も二人の回りでは次々と殺人事件が起こり──
──という具合。

世界は密室でできている。

世界は密室でできている。

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2002-04
  • ¥ 798
  • Book

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『暗闇の中で子供』に手も足も出ない

*感想が書きにくい*シリーズ第二弾! ミステリィ読み泣かせの作品でもあります。
前作の感想は[『煙か土か食い物』か石けん(ブラックジョーク)](https://asiamoth.com/200609072342/ “『煙か土か食い物』か石けん(ブラックジョーク) : 亜細亜ノ蛾”)で書きましたが、前作はまだミステリィの骨格を持っている作品でした。ギリギリ、ミステリィとして読めた。
『暗闇──』は、ミステリィとして読もうとすると、あっさりと*グーで殴られます*ね。『──ネウロ』を*推理物*として読むような、『スティール・ボール・ラン』を*スポ根物*として読むような(あ、それは読めるか)ものです。
しかし、物語に仕組まれた《ある仕掛け》について悩まされ、読了後に残る「してやられた感」、オチの突き抜けている感じは、ミステリィ的でしたね。

暗闇の中で子供―The Childish Darkness

暗闇の中で子供―The Childish Darkness

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2001-09
  • ¥ 1,334
  • Book


#### え!? なんで!?
誰にでも判るような、*話の食い違い*が出てきます。誤植? と思って読み進めると、また話の食い違いが。その《謎》は、最後に「判りやすい答え合わせ」で解かれることを期待していたら、ラストでグシャッと踏みつぶされました。
必死になって「何故?」を考えて考えて──
──なるほど。これが、舞城王太郎作品か──(意味不明)。
読み返すと、作中で主人公が語った「ある種の真実は、嘘でしか語れないのだ」というのが作者からの強いメッセージと感じました。
──うーん、やられた! 次も読みたい!
#### この記事のタグ(偽)
[またやられた!][ラストのイラストはやり過ぎ][ユリオ可愛いよゆr(ry]


『煙か土か食い物』か石けん(ブラックジョーク)

#### ミステリィ、なのか?
これはなかなかレビューが書きづらい作品ですね。
主人公は海外で活躍する外科医で、彼の元に母親が倒れたという凶報が届きます。幸いにして生きてはいるものの意識不明で、どうやら主婦を狙った連続暴行事件に巻き込まれたらしい。しかも犯人は謎めいたメッセージを現場に残しています。切れ者の主人公が犯人に復讐するべく、事件を解明していく──というのが大まかなあらすじです。
あらすじだけだとミステリィそのものなのですが、いざミステリィと思って読もうとすると、
* トリックに「頭の体操」系の解りやすいパズルが使われている
* ミステリィ(作家)を揶揄するような表現が出てくる
* 怪しげな《名探偵》が出てくる
という感じで、ひょっとしたら、これはいわゆる「アンチ・ミステリィ」なのか、と思わせる書き方です。
読点(、)や改行をあまり使わず、福井弁が頻出する文体も独特で、ひょっとして読者を遠ざけたいのかな、と思いました。
暴力的な表現や性的な場面も出てきて、どうしてもそちらに目がいきます。しかし、「事件の謎を暴く」という部分もちゃんと書かれていて、最後にどんでん返しもあって、ミステリィとしても読めます。途中で放り投げるのは、もったいない作品です。

煙か土か食い物

煙か土か食い物

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2001-03
  • ¥ 1,050
  • Book

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