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『ゴーン・ガール』 円満な夫婦生活・オア・ダイ

ゴーン・ガール』 (Gone Girl)

Punch and Judy パンチとジュディ──彼らが幸せになる道は?

「夫婦愛とは何か」を描いたラヴ・ストーリィです!

5 周目の結婚記念日に、妻が失踪してしまう。
残された夫は妹に協力を求め、妻の行方を追った。真実が明かされた あと、「結婚とは何か」を観客にも問いかける──。

もちろん、それだけでは終わりません!
なにしろ、『ドラゴン・タトゥーの女』を監督したデヴィッド・フィンチャーの作品ですからね! 自分が大好きな『セブン』の監督でも あり、「人間の心の闇」を描かせたら天下一品です。

ホラー映画より怖い恋愛物語でした!
彼女は どこへイってしまったのか──。

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『死ねばいいのに』 京極夏彦 – 死者に生を求める

死ねばいいのに』 京極 夏彦・著

普贤菩萨
ただ正面から──見れば良かったのに

純粋に会話の おもしろさを味わえる 1 冊でした!

殺された女性について聞き回る男と、彼との会話で あぶり出される人間の醜さを描いています。彼の性格や言動が現代の若者らしく、読みやすい文体でサクサク進める。そして、ページをめくるごとに謎が深まっていく──。

京極 夏彦氏の作品なのに、文庫本で本文が 450 ページ足らずしかありません! 『絡新婦の理』と比べると、ボンレス・ハムとハムやケヴィン・ベーコンとベーコンくらい厚みが違う(?)。

「すべての行がページをまたがらない」ルールを今回も貫かれていました。もちろん、単行本版と文庫版とではレイアウトを変えてあるし、Kindle 版でも改行をそろえてあるはず。

細かすぎて伝わらない(こともない)本の組版(レイアウト)の話 | 亜細亜ノ蛾

できれば、内容は もちろんジャンルも知らないままに読んで欲しい作品です! 「なるほどな」と感心する部分が多く、最後あたりでゾクッとした怖さも感じられる。一気に読んでも楽しめるし、章ごとに読み進んでも満足できますよ!

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『バイオハザード V リトリビューション』 ふたたび東京とアリス

バイオハザード V リトリビューション』 (Resident Evil: Retribution)

The Good Mother たとえ似ていなくても──ママは愛しい

映画版『バイオハザード』シリーズの最新作・『V リトリビューション』は、前作までの不満を解消しつつ、原点に立ち帰った作品でした! 3D 映像や効果音も迫力満点の劇場で観て欲しい!

オープニングは前作・『IV』のラストから始まり、そこから映像が巻き戻されます。──ん? 『ターミネーター』シリーズのように、「前作までは なかったことに」なるのか!?

なにしろ、前作で「第一感染者」役(いわば「街の女性 A」)だった中島 美嘉さんも出演して、ミラ・ジョヴォヴィッチが演じるアリス・アバーナシーと「東京の近く」で戦っています!

下の記事では中島 美嘉さんの演技に絶賛していたミラ・ジョヴォヴィッチですが、本編では思いっきり顔面にハイ・キックを決めていました。女の戦いは恐ろしい……(そういう話!?)。

中島 美嘉
「一緒に演技ができて うれしいですぅー!(タマ盗ったらぁ!)」
ミラ・ジョヴォヴィッチ
「いえいえ、こちらこそー!(鉛玉ブチ込んでやんよ!)」

中島美嘉『バイオハザード』撮影の裏側!ミラ・ジョヴォヴィッチとのアクション対決メイキング公開! – シネマトゥデイ

これは どういうことなのか──は、本編をご覧くださいね!

映画版を初めて観る人前回までを忘れた人も安心です。「忙しい人のための映画版『バイオハザード』」を冒頭で説明してくれます(あいかわらず「撃つとコインが散らばる銃」の説明は ない)。

これまでシリーズを見続けてきた人も、これからの人も、単純に楽しめるアクション映画です!

バイオハザードV リトリビューション - オフィシャルサイト バイオハザードV リトリビューション – オフィシャルサイト

映画『バイオハザードV リトリビューション』予告編 – YouTube

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デクスター ~警察官は殺人鬼 シーズン 5 – 良心よりも行動を

デクスター ~警察官は殺人鬼』 シーズン 5(Dexter (season 5))

Dexter
すべての行動は──血が作り出す

デクスター』シリーズのブルーレイ・ボックスがシーズン 1 ~ 6 まで一気に発売されます!

さらに、少なくともシーズン 8 までは続くことが明かされました! あと数年はデックス漬け(血まみれ?)の日々が過ごせそうですね!

ニュース:製作総指揮が明言! 『デクスター』はシーズン8で終了する! | 海外ドラマNAVI


そんな時期に、ようやくシーズン 5 を見たので感想を書きます。今シーズンも おもしろかった!

自分なりに考えたシーズン 5 のテーマは「後悔と前進」です。人間 誰しも後悔する。いつもニコニコと笑ってばかりは いられない。しかし、そこから前を向くことが大事です。

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村上春樹 『回転木馬のデッド・ヒート』 日常に潜む狂気と凶器

回転木馬のデッド・ヒート』 村上春樹・著

村上春樹氏が人から聞いた話をまとめた 1 冊です。

いつものように日常からファンタジックな世界へ急に突入する──といった場面は ありません。しかし、なにしろ話の聞き手がハルキだけあって、普通のエピソードでは終わらずに、どの話も幻想的です。

全 8 話の短編小説として読むこともできるし、「不思議だな」と読み流すこともできる。読み終わった後に背筋がゾクッと来る話もありました。

どの語り手も いわゆる「一般人」のため、芸能人のように派手な生活ではないけれど、それでも ありきたりの話では済まない。聞き手が良いことも ありますが、村上春樹氏の言葉を借りると、

話のほうから「話してもらいたがっている

──という印象を受けました。そう、どんな人にでも、胸の奥に仕舞っておけない話が 1 つや 2 つは あるのでは? 一流の話し相手が見つかると幸運ですね!

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『P2』は傑作サスペンス・ホラー! 自分が被害者になり得る恐怖を味わえる!

P2

Fire Lane - (Explored) 明るく燃える街灯よ──ビルの階下へ届け

身近に潜む恐怖を描いたサスペンス・ホラーです!

ヒロインのレイチェル・ニコルズが素晴らしかった! クリスマスの寒々としたビルの中を、ドレス 1 枚で疾走する! 彼女の巨n ──髪が激しく揺れ動いています

さらに「18 禁」ということは……?(ごくり……)

彼女だけでも満点を上げたくなる作品で、かの「★前田有一の超映画批評★」でも良い点が付いていました。(おもに男性の)ツボを押さえた良い批評ですね。

超映画批評『P2』70点(100点満点中)


要点だけを押さえた構成も好印象でした。

最低限の必要な人物しか出てこないし、舞台もビルの中だけです。その分だけ、ヒロインに集中できて良い。「デラックス幕の内弁当デザート付き」な映画とは大違いだ。

サスペンスとしてのドキドキ感と、ホラーの恐怖感も味わえます。レイチェルを苦しめる男のクレイジィさが突き抜けている!

ホラー好きな恋人と楽しむと最高ですね! 逆に、「ホラーは苦手なの~(カマトトッ」というコと観ると、もっと愉快な思いができるでしょう。──もちろん自分は、ニタニタしながら夜中に独りで観ましたケド。

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『永遠のこどもたち』は名作映画! 母親の愛情と執念は無限大

永遠のこどもたち』 (El Orfanato)

The Nice Scarecrow 永遠に──笑顔でいて欲しい

脚本と演出が見事な映画です!

ベレン・ルエダが演じる母親が、子ども(ロジェール・プリンセプ)に向ける愛情を描いた作品で、幻想なのか現実なのか境界が あいまいな世界に観客である自分も引きずり込まれました。

──じつはホラー映画的な一面も あります。日本版の予告編映像を見て、「感動作と思ったのに恐かった!」という人が多かったらしい。本当にショッキングな場面は 1-2 か所なんですけどね。

『永遠のこどもたち』予告編 – YouTube

一方で DVD に収録されている海外版の予告は、ホラーな面ばかりを集めた映像でした。どちらにしても、この映画の良さが出せていないと思う。

よく『シックス・センス』と比較される作品です。なるほど、両方とも観ておくと「良い意味で だまされる」楽しみが味わえますよ!

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『冷たい熱帯魚』はスゴ映画! 村田幸雄よりも恐ろしい邪悪な存在とは?

冷たい熱帯魚』 (COLDFISH)

A prince inside a shelter 透明な世界で──彼は笑う

極上の「居心地悪さ」を味わえる怪作です!

この映画を「ちょっと恐いらしい」程度の知識で観られた自分は、じつに幸運でした。ものすごく驚いたし、感動できたからです。

みなさんも、よけいな印象を持たずに観てください!

たとえるならば、「ヒキガエルとコオロギが ぎっしりと詰まったキングサイズ・ベッド」で寝た時のような、この上ない悪夢が体験できますよ! (←余分な印象)


監督は映画版・『ヒミズ』や『愛のむきだし』で知られる園子温氏です。路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」の主催者でもあり、詩人でもある。ネクタイを締めて定時に出社するタイプ──とは対極にいるような方ですね!

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『ぼくのエリ』は美少年の切ない恋と映像美を味わえる映画!

ぼくのエリ 200 歳の少女』 (Let the Right One In)

Rubik
不揃いのままで──生きられたら

ずばり、主演のカーレ・ヘーデブラントの美しさを楽しむ映画です! パッケージの上段にいる金髪の子がカーレくんで、ずっと この子が「エリ」かと思っていました。

「Google イメージ検索」でカーレくんを調べてみると、なんとなく──将来はマコーレー・カルキンエドワード・ファーロングみたいに なりそうな気配が見え隠れします。しかし、われわれは現在に生きている。いまを味わおうでは ありませんか!

カーレくんの役名は「オスカー」で、しかも自分で 256 回くらい「女の子じゃない」と言う子を好きに なります。──完全に萩尾望都先生の『トーマの心臓』じゃないですか! 「ぼくのユーリ」じゃないことが不思議ですねー。


すっかり「オスカーに食われた」(二重の意味で皮肉)感のあるエリですが、エリ役のリーナ・レアンデションは「濡れた場面」でキラキラ光る女優さんでした。

オスカーとエリとの関係を中心に描き、美しい背景を抽象的に重ねる映像を味わえます。そして、それだけでも満足できる映画でしたね。つまり、物語としては……。


あと、この映画には美少年・オスカーの裸が何度も出てきたり、見た目は年齢 12 歳の少女であるエリが着替え中で裸の場面が映ります。だからと言って、これからアナタが映画を観る理由は尋ねませんので、ご安心くださいね!(にっこり)

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『ゾンビランド』はゾンビ映画としてもコメディとしても楽しめる傑作!

ゾンビランド (Zombieland)

Swirls and twirls 世界の終わりにも──遊んでいたい

最高に面白いゾンビ・コメディ映画です!

ホラー作品のなかでは「ゾンビ映画」が特別な地位を占めていて、そこには無数の「お約束」が存在する。ところが『ゾンビランド』では、ほぼ丸ごと約束事を打ち壊して、「ゾンビランド的」としか言いようのない作風を生み出しました!

ホラーに付きものの「お色気」(ポロリ)が ほぼ皆無で、代わりに「人情話」(ホロリ)で泣かせてくる点も興味深い。これならスパゲッティ・ミートソースでも食べながら お茶の間で見られますねー。

──あ、スプラッタ要素はキッチリ出てきます!

ルール 33、監督は新米でも良し

監督はルーベン・フライシャーで、なんと本作品が長編のデビュー作とのこと。それにしては、非常にマニアックな内容さりげなく忍ばせる見事さを感じました。

ルーベン・フライシャー – Wikipedia

主人公はジェシー・アイゼンバーグが演じていて、彼の主演作である『ソーシャル・ネットワーク』のザッカーバーグ役とは似て非なる演技で楽しませてくれます。

おもしろいことに、『ゾンビ』が 2009 年・『ソーシャル』が 2010 年の作品なのに、ゾンビランド』のなかで『ソーシャル・ネットワーク』を思わせるネタが入っていました。たんなる偶然でしょうが、それだけに笑えます。

ジェシー・アイゼンバーグ – Wikipedia

もうひとりの主役はウディ・ハレルソンが無骨に演じています。一生忘れられない思い出の映画・『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のミッキー役と同様に似合っていました。彼自身も、生まれから育ちまで、なんだか お騒がせの人生を送っているようです。

ウディ・ハレルソン – Wikipedia

予告編の映像でも観ながら、ダラリと感想を語ります!

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