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『世にも美しい日本語入門』

『世にも美しい日本語入門』は、『世にも美しい数学入門 』の続編というか、姉妹書のような一冊です。

藤原正彦(ふじわらまさひこ)さんが、彼の小学校時代の恩師である安野光雅(あんのみつまさ)と対談し、日本語の美しさについて語っています。

数学者と画家が日本語について語る、ということが少し意外な気もします。しかし、二人が惹かれる「美」というものの根底には文学がある、とのこと。

冒頭から、

美しい日本語に触れないと、美しく繊細な情緒が育たない。恋愛さえままならない。文学に一切触れず、「好き」と「大好き」くらいの語彙しかない人間は、ケダモノの恋しかできそうもない。

『世にも美しい日本語入門』 p.11

──と、ドッキリするような事が書いてあります。厳しさを感じるのですが、そこにあるのはただ、美しさへの誘いだけ。逆に読めば、文学に触れて繊細な情緒を育て、豊かな恋愛を楽しみましょう、と。

それにはやはり、古典や古語、文語体に触れるのが良いそうです。この本で紹介されている古典、たとえば森鴎外の『即興詩人』を読みたくなりました。

子供は漢字が苦手?

小中学生の漢字教育は、要するに「画数が少ない、簡単な漢字から覚えさせる」というもの。

ところが、画数が多いから難しい、というのは大人が勝手に思いこんでいるだけのようです。

藤原さんのお子さんは、「林檎」「麒麟」「豆腐」「葡萄」といった漢字を四歳の頃に読めたが、「右」「左」「上」「下」はぜんぜん読めない(p. 36)、とのこと。

どういった違いがあるかというと、

子供は、具体的な漢字はすぐ覚えるが抽象的な漢字は苦手

ということらしいです。画数は関係ないんですね。

そういえば、自分も子供の頃は読みだけは得意で、難しい漢字もすぐに覚えたような。

だから、子供には画数に関係なく漢字を読ませて読書への抵抗を減らそう、という提案が書いてあり、非情に納得しました。

それでも読みが難しい漢字にはルビを振る、というのも納得。

「破たん」「残がい」という醜いまぜ書き(p. 32)についての指摘は、自分も前から思っていました。マスコミの報道にも言えますね。新聞の読者やテレビの視聴者は、子供と思っているのでしょうか。

歌好きの日本人

カラオケが日本の発明、となんだか鼻高々だったのも今は昔。複数人で遊ぶ、というときにカラオケの優先度って、かなり低くなってきませんでした?

ところが、日本人は昔のほうが歌を歌っていた、というのに驚き。

明治から大正、昭和の初めの頃の日本人は、町中で歌ばかり歌っていたそうです(p. 90)。仕事をしながらも歌う日本人。労働の歌といえば『ヨイトマケ』をすぐ思い出しますが、もっと昔から日本人は歌好きだったのですね。

ヨイトマケの唄 - Wikipedia

歌は、「詩を読んだだけでは理屈っぽいのに、曲が付くと理屈抜きで感じ取れるものになる」(p. 95)のがいいですね。

文語への誘い

自分が苦手としている文語文。美しい日本語に触れるには、避けては通れないようですね。

この本でも何度か名前が挙がる、森鴎外の『即興詩人』が推薦図書だそうです(p. 106)。

英語の文章を書くときには初めから英語で考えるように、文語文を書くときには「文語頭」で考える。そのためには特別な勉強をするのもいいけれど、文語文の文学を読むのもいいそうです(p. 105-106)。

いますぐ手軽に文語文に触れるには、青空文庫がいいですね。

そう思って調べると、なんと、文語版・古文版の Wikipedia(ヰキペディア)がありました!

Wp/jpn-bungo - Wikimedia Incubator 文語版

Wp/jpn-classical - Wikimedia Incubator 古語版

機械的に翻訳しているわけではないので、Wikipedia に載っている項目がすべてあるわけではないですが、これは面白い試みですね。文語・古語に覚えがある人は、ぜひとも協力してほしいところ。

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