『デクスター ?警察官は殺人鬼』 シーズン 2(Dexter (season 2))

The Catcher in the Rye-6
(ウソつき畑で──つかまえて)

シーズン 2 のテーマは「ウソ」でしょう。

そもそも、主人公であるデクスター・モーガン(マイケル・C・ホール)からして、ウソで塗り固められた人生を送っている。すべては、「ハリーの掟」の第 1: 「つかまるな」のためです。

ところが、シーズンの初めから彼のウソがバレそうになる。なんと、デックスが葬ってきた殺人者たちの屍体が、他人に発見されたのです!

この探し当てた「宝物」により、大量殺人鬼「ベイハーバー・ブッチャー」(日本語字幕: 「ベイハーバー切り裂き魔」)をマイアミメトロ警察は追うことになる。

──もちろん、デクスターも鑑識として(自分自身の)捜査に協力ているわけです。この皮肉な構図が『デクスター』の面白いところですね。


ウソを見抜くことが得意で優秀なフランク・ランディ FBI 捜査官(キース・キャラダイン)まで捜査に加わり、デクスターも絶体絶命か!?

──というスリルある展開を、「シーズン 6 も制作決定!」している現実を横目にしながら観ました。できればそういう情報を知らずに、リアルタイムで見たかったですね。

視聴率好調の「デクスター」シーズン6の放送決定 | 海外ドラマ情報・ニュースサイト TVグルーヴ・ドット・コム - TVGroove.com


なんといってもシーズン 2 は、新登場の女性・ライラ(ジェイミー・マーレイ)に注目です! このシーズンは、彼女のために作られた──と言っても過言ではないでしょう。

ライラとデクスターが会ったいきさつも、ちょっとしたウソのためだし、彼女自身もウソ・ウソ・ウソばかり。

ところが、ライラとかかわった人たちは、真実の自分に目覚めていく。ここが絶妙です! デクスターは殺人者としての自分をより深く知り、リタは嫉妬深い本性を爆発させ、デボラは「あのバイ■がっ!!」と叫ぶ。

それよりなにより、ライラはバディがナイスです。ウソばかりの話の中で、このことだけは事実だ──と信じたい(豊胸かなぁ……)。

ライラ、魂の座

ライラのお召し物は、まさに「そんな装備で大丈夫か?」という感じ。いわゆる「短パン」や水着──それに春を売る職業の女性が珍しくないマイアミでも、ちょっと心配になる格好をしています。誰が来ても、平気で家のドアを開けるし……。

しかし、真に開放的なのは、ライラの精神です。

自由な心でデクスターに近づいていくライラは、彼の精神も解放させていきました。みずからデクスターの「魂の伴侶(ソウル・メイト)」だと語るまでになるライラは、彼にピッタリの相手です!

ところがライラは、わがままな面を見せていく。自分勝手な女性もかわいらしいものですが、ライラは度を超えています。自分以外のジャマ者は、デクスターでさえも、平気でふみにじる。

そこもまた、彼女の魅力だけれど──、もうすこしだけ控えめだったら、ライラもデックスと上手に付き合えたでしょうね。

彼女とデクスターがパートナになった──という、アナザ・ストーリィも観てみたい。

パワフルな女性たち

このシーズンは、女性の活躍が目立ちます。


デクスターの妹であるデボラ・モーガン(ジェニファー・カーペンター)は、あいかわらず──セクシィ要員として汗を流しながらも、刑事を目指して捜査力をみがき続ける。

面白いことに、デボラもデックスも、お互いに「ハッスル(発する?)中のところを目撃される」場面が出てきました。そんなラブコメ的な展開を、このドラマで見られるとは思わなかった……。

まぁ、デボラは「お、お兄ちゃん…… ////」というキャラではないけどねっ!

前シーズンではデクスターの手も握れなかったリタ・ベネット(デヴィッド・ザヤス)は、しだいに色っぽくなりました。しかし、ライラが登場してからは──、急激にこわい女性になってくる。引きつった笑顔がピキピキしています。──お近づきにはなりたくないですね……。

この急変には、リタを演じているデヴィッド・ザヤスも、腕の見せどころだったでしょう。おそらく、メイク・アップも変えていると思います。それくらい、シーズン 1 とは印象が違う。

デボラとリタは、ウソがつけない女性ですね。


シーズン 1 ではあまり好きになれなかったマリア・ラゲルタ警部補(ローレン・ベレス)は、印象が一変しました。

彼女も、正直な性格のためにデボラとぶつかっていた──と思いきや、じつはまったく違う。意外なところでウソをついていて、だまされました!

シーズン 2 は、「女のウソはこわい」──または、「女はこわい」とまとめられそうです。それは、どこでも同じか……。

ダンディでプリティな FBI 捜査官

フランク・ランディはシブかった! そして、お茶目でかわいいところもあります。失礼ながら、「おじいちゃん」と呼ばれてもおかしくない年齢だけれど、女性に人気がありそうですよね。

名前のとおりフランクで、いつも軽口をたたく人物──と油断させて、するどい観察力を発揮する。時には、デクスターの鑑識結果に対してきびしく言及したりします。

フランクが、あと一歩だけデックスのことを疑って近づいたら、ブッチャーの正体にせまれました。それくらいに、優秀な人物なのです。


面白いことに、シーズンの後半ではフランクの恋愛が観られる! これには、三重の意味で驚かされます。まず、捜査官が捜査の途中で色恋ざたを楽しむのか──という驚きと、彼の年齢と、相手にビックリ!

さて、フランクのお相手は誰なのか──?

キース・キャラダインも、60 歳を手前にして──テレビ画面に自分のお尻を出すことになるとは、思ってもいなかったでしょうね。

不幸な男性たち

ほかの男性陣も紹介していきます。


ウソと言えば、シーズン 1 の時点で、デクスター以外にウソが発覚したのは、エンジェル・バティスタ刑事(デヴィッド・ザヤス)が初めてでした。誰よりも正直者で情に厚い彼が──、ウソをついている。これまた皮肉で面白い。

まわりを心配させないためと、自分自身でも信じられないために、エンジェルはついついウソを言ってしまったのです。悲しくて微笑ましいウソでしたね……。


ヴィンス・マスオカ鑑識官(C・S・リー)は、鑑識のリーダとして大活躍・アンド・出世! ──するかと思いきや、すぐそばにいる真犯人(デクスター)にジャマされ、シモネタのせいでフランクに嫌われ、さんざんでしたね。

まぁ、彼のキャラクタなら仕方がないか……。


ジェームズ・ドークス巡査部長(エリック・キング)は、ドラマの中では良いことがあまりない人生でしたね……。

前のシーズンから仲間たちに煙たがられて、ドークス本人は気がつかないうちに、おとり捜査に使われていました。いま考えるとひどい話だけれど、その原因が「同僚の妹と不倫していたから」なので、因果応報ではあります。

シーズン 2 では、とある同僚の女性といろいろあったことをほのめかす場面があったり、過去に結婚していたことが分かったり、意外と女性好きなドークスでした。

そう言えば、シーズン 1 で一瞬だけ、ドークスはデボラと仲が良かったですよね。自分の家族を紹介したり、一緒に捜査をしたり。一時期は、この 2 人がつき合うのでは──と思ったくらいです。

今シーズンに入ると、すべてなかったことに──。


こうやって見ていくと、デクスターの近くにいる男性たちは、ろくな目にあっていませんね。リタの前夫であるポール・ベネット(マーク・ペルグリノ)も、さんざんな思いをしている。

ポールを含めて、すべての人物が「自業自得」でヒドい目にあっている。ただ、自分のせいではあるけれど、デックスが近くにいなかったら、もっと違った結末になったでしょうね。

おわりに

『デクスター』の魅力の 1 つは、主人公と共感できないところにあります。

たとえば、『SAW』のジグソウ・キラーが「気の良いおじいさん」だったり、『セブン』の犯人が分かりやすい動機を持っていたりしたら、台なしになる。

デクスターも、けっして「正義のために悪人を裁いている」のではありません。あくまでも、自分の中の怪物──殺人の衝動にかられて「血のスライド」を増やしている。

そこがクールで良いのです!


感情がない・あるいは知らないデクスターは、まったく共感ができない殺人もおこないました。

シーズン 1 で言うと、デックスをよく理解しているカウンセラも、ほかの悪党と同じように殺している。これにはショックを受けましたね。

そしてシーズン 2 では、最後の殺人がいたたまれなかった。デクスターことを、だんだんと理解できてきたと思っていたのに……。彼との間には、埋まらないミゾがあることを思い知りました。

今シーズンのラストで、デクスターが殺した相手に対して言った言葉は──、ありがとうです。こんなにも切なくて悲しい感謝の言葉は、聞いたことがない。

でも──切なさも悲しさも、自分は好きです。

余談

今回もタイトルは、ゲーテの名言から借りました。

私が過つと誰でも気づく。私が嘘をつくと誰も気付かない - 名言集.com

ゲーテが生きていた時代は、彼の失敗を激しく追求する人々がいたのでしょうね。現代でも、そんな人ばかりですよ……。

このブログのタイトルには、(自分が勝手に決めた)文字数の制限がある。そのため、このドラマのように長い邦題の場合には、かなり苦労します。今回はそのおかげで、「誰のついたウソか」があいまいになって、良かったかも。

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