ミステリィ読みって
「うーん、やられた!また騙された!」
何故か、口元をにんまりと歪めながら本を閉じる。
──多くのミステリィファンは、その一言が言いたいためにミステリィを読むのでは?
少なくとも、asiamothは、そうです。
そして、小説版『デスノート』は、「やられた!」という一冊でした。デスノートだから、というだけではなく、一冊のミステリィとしても楽しめる作品です。
ネタバレにならないよう、感想を書いてみました。
Lはそんなこと言わない
まずは注意書き。
Lのファン、Lを神格化している人は、途中で本を投げ出したくなるかも知れません。いや、それよりも
「Lはそんなこと言わない!」
などと、作者に抗議の手紙を出してしまうかも。
──気持ちは解る、解るが──最後まで読んでからにすることをお勧めします。最後まで読めば、判るから。
主人公の南空さんは
本作品の主人公である南空ナオミは、原作で不遇な最期を迎えたキャラクタ(生きてる説を推す人は多いが)。
小説版ではどうなったかというと──ワトソン役というか、ドジっ子属性が付いていました。流行り(?)のツンデレ属性まで付きそうな勢いがありましたが、残念ながら、デレを向ける相手が側にいなかったという。
まぁ、原作では「殺人鬼に婚約者を殺された元FBI捜査官」という、極々一部分しか見られなかったわけですが──。
謎解きもしっかり
《ミッシングリンク》《謎の探偵》《密室》《連続殺人》《犯人が残したメッセージ》──と、ミステリィファンにはたまらないキーワードに加え、『デスノート』という食材まで盛り込んだフルコース。作者は、かなり美味くまとめ上げました。
中盤までぞんざいな扱いだった密室に関しても、最期にちゃんと意味が与えられていたのは驚きました。
ただ、個人的に一番の謎は「語り部である《僕》が、いつ、この記録(ノート)を書いたのだろう?」というもの。これだけは、最期の最期まで書かれませんでした。「僕」、ねぇ……。
西尾維新氏は
実は、西尾維新氏の作品をちゃんと読んだのは初めて。
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 妹+ツンデレ+密室殺人「きみとぼくの壊れた世界」で興味を持って『きみとぼくの壊れた世界』を読み始めて、10ページくらいで挫折したという。
「な、何を言ってるかわからねー」
という感じで。これがライトノベルか──。また、挑戦してみよう。