食が細い──わけではないが
自分は「レシピ本をぼーっと眺める」のが好きです。とくに、あまりなじみがない食材を使った料理──要するに食べる機会が少ない、高級料理なんかのレシピを眺めたりするのが面白い。──ショウウィンドウ越しにトランペットを眺める、みたいな感じでしょうか。
食べ物についての話を聞くのも好きです。自分は、あまり外食に行かないので、同じ世代の人と比べても、食べたことがあるものが少ないです。例えば──伊勢がすぐそば(といっても車で二時間)にあるのに、アワビを食べたことがなかったり。名古屋に行く機会はあっても、本場(?)の「味噌カツ」や「海老フリャー(名古屋人はそんなこと言わない)」は見たことすらないですね……。なので、人が食べたものについて語っている話を聞いて、世間にはそんな美味い物があるのか──と想像してみたり。
そんな自分と比べるのがおこがましいくらい、有りと有らゆる物を食べ尽くしてきた二人の対談本を読みました。
美味しんぼの原作者、雁屋哲氏はともかく、岸朝子さんは寡聞にして知らなかったのですが、凄い経歴の方なんですね(本文末に関連情報を載せました)……。「レシピ本」などというものがあるのも、ひょっとしたら彼女たちのおかげかも知れません。
まぁ、そういった肩書きより何より、岸さんの「歯に衣着せぬ」という表現がピッタリな話し方がすがすがしい。さすがの雁屋氏も押され気味──かと思ったら、「何方もどっち」だったという。
食に関する蘊蓄や、戦前・戦後の日本における過酷な食事情、『美味しんぼ』の舞台裏などが語られてます。岸さんも雁屋氏も、質を犠牲にして大量生産された食品について、いろいろと戦ってこられたそうです。『美味しんぼ』でも、何度か出てきていましたね。例えば、カップめんに「栄養表示」がされるようになったきっかけも、岸さんたちが言及したところが大きいそうです。──安全な「食」について真剣に考える人がいるおかげで、日本の食文化が(ギリギリのところで)守られているのでしょうね。
『二千七百年の美味』
最後にとっておきのネタ。対談の最後の方で、「いま一番食べたいもの」という話が出てきて、何故かお二人ともゲテモノをまず挙げます。雁屋氏は「猿の脳味噌」とのこと。なんでも、『世界残酷物語』という映画に出てくるそうです。その話に関連して、ご自身が昔書いた小説について語ったのが、こちら。
主人公は美食を追求した果てに、 (略) 気がついたら、鍼を打たれて身動きできなくなった状態で、テーブルの真ん中に首だけ出して座らされてる。中国人が頭の皮をすっと剥いで、頭蓋骨をポコッと外して、「まず本人が食べなさい」って、自分の脳味噌を口に入れてくれるという小説を書いたんです。
……うぐぐっ(食事中の方すみません)(←遅い)。そしてこの小説がこちら。発行は 1993 年ですね。
──はい。ここでまっっったく関係は無いですが、『ハンニバル』が公開されたのは 2001 年ですね。月日が経つのは早いものですね……(ちなみに、ファンにはいうまでも無く、ラストが映画と小説では全く異なります)。あと、「何故ここでハンニバル?」という人は、持ち前のスルー力(するーりょく)を発揮してください。「スルー力ってなに?」という人は(ry
ついでに、『世界残酷物語』はこちらです。
- ヤコペッティの世界残酷物語<ノーカット完全版>
- グァルティエロ・ヤコペッティ ロッサノ・ブラッツィ
- ジェネオン エンタテインメント 2004-01-23
by G-Tools , 2006/12/09
まぁ──似たようなことを考える人はいるものだ、とか、人間の欲望には果てがない、という話ですね。
ref.:
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料理のレシピで使われる「大さじ、小さじ」などの分量の規定を考案した事で知られる
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- えっと、まぁ、いろいろいわれている人ですよね……