ユージュアル・サスペクツ
『ユージュアル・サスペクツ』は、最後に寒気がするほどの怖さが味わえる、素晴らしいサスペンス映画です。出演者達の、かなりクセのある演技も見物です。
10 年以上前の作品ですが、まったく古さを感じません。いままで見ていなかったのが悔やまれるところですが、しかし、このようなすごい映画がまだあると思うとうれしいですね。
『ゲーム』や『セブン』、『SAW』などの、「最後にドッキリサスペンス」ものが好きな方は、ぜひともご覧ください。身構えていても騙されること請け合いです。

- ユージュアル・サスペクツ
- スティーヴン・ボールドウィン ブライアン・シンガー ケヴィン・スペイシー
- パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2006-09-08
- 楽天ブックス: ユージュアル・サスペクツ
by G-Tools , 2007/07/11
巧みな演出
冒頭で、印象的な殺人の場面が出てきます。謎の男、“カイザー”に撃ち殺される男。そして、どのような意味を持つのか、船を焼く炎に照らされるロープの束──。
非常に謎めいた冒頭から急に場面が変わり、過去の回想シーンへ。以後、現在と過去のシーンが交互に流れます。この演出・カットバックが実に巧みで、見事に謎を深めていくのです。
カイザー・ソゼとは?
この物語の最大の山場は「“カイザー・ソゼ”とは誰か? 実在するのか?」という謎です。
よく、「カイザーの正体は途中ですぐわかったよ」という感想を聞きますが、それだけでこの作品の評価を下げるのはもったいないですね。
自分も事件の真相が明かされる前に気づきましたが、「もし、こうだったらすごい!」と予想しながら見て、最後の方は少し震えながら見ました。自分の予想は当たっていたのですが、恐ろしかったですね、カイザー・ソゼという男が。
「犯人は誰だ」
『SAW』も同じですが、「犯人は誰だ」を当てることは、その映画の重要なポイントのひとつではあっても、主題では無いと思うのです。『SAW』のジグソウ、『ユージュアル~』のカイザー・ソゼを当てただけで満足して他を見ないのは、パズルを解いているだけで、「映画」を見ていない。だったら、初めからパズル本でも買っていた方が、時間が無駄にならないと思います。
ジグソウやカイザー・ソゼは、どのような心境で犯罪行為を繰り返したか、『SAW』や『ユージュアル~』にいたるまでにどのようなことがあったか──。スクリーンに映るところばかり見るのではなく、映らないところを読むのも、映画の楽しみです。特に『ユージュアル~』は、小説の得意な表現を、映像でやって見せたのが素晴らしい。
さらに言うと、じつは、劇中にはっきりと「○○がカイザー・ソゼだ」と言っているシーンはないのです。そこが、この作品の面白いポイントです。カイザーなどいない、という解釈すら成り立つ。そこまで自分の頭で考えて、初めて脚本の深さを知ることができます。
「そして、フッ、消えた….」
最後に、素晴らしい考察サイトを紹介します。
そして、フッ、消えた…. 『ユージュアル・サスペクツ』 – カイザー・ソゼの謎 –
ネタバレありなので、ぜひとも映画を見てからどうぞ。
もう、隅から隅まで『ユージュアル~』をしゃぶり尽くしています! とくに、「討論会」のページは必見。「カイザーは誰だ」なんて、謎のひとつに過ぎないということが、よくわかると思います。見逃していた面白いポイント(あの二人がデキていたなんて!)を再発見できました。verbal 氏に感謝!