RICOH GX200
以前に RICOH R10 について批判(という名のイチャモン)を書いた。
RICOH(リコー)R10 の売れている理由がわからない : 亜細亜ノ蛾
多くの人が上の記事に訪れて、おどろいた。どうも、デジカメWatch の記事へリンクを張ると自動的に「逆リンク」を張るようだ。自分のつたない記事を読んで、リコーのファンがどう思ったのか、興味深い──以上に、恐い。
R10 だけではなく、リコーというメーカ全体への疑問も出てくる。「カメラに詳しくない人をねらって、何かの戦略で買わせているのでは」と。
しかし、一度もリコーのカメラを使ったことがないのに、人様の作例だけを見て文句を言うのは問題だろう。
そこで、毎度おなじみの「レンタルボンバー」で RICOH GX200 というコンパクトデジタルカメラを借りた。
レンタルボンバーでカメラを借りた経緯と注意点/ CreCo で写真加工 : 亜細亜ノ蛾
(ところで、そのときの通し番号は「37」だった。──のべ 37 人しかレンタルしていないのか……。経営がヤバそうなので、みんな、もっと借りるんだ!)
結論から書こう。
- GX200 は素晴らしいカメラである
- それでも、あの R10 の作例には納得ができない
- R10 が悪いのか、それとも撮影者の腕が……
ということで、リコーという会社と GX200 は高く評価できるが、R10 は「ないわー」という結論は変わらなかった。イラストを書くときの参考資料としては、あの油絵調の写真はピッタリだと思う(どこまでもイヤミ)。
さて、R10 はさておき(しつこい)、自分が RICOH 信者になりかけるくらいに素晴らしい、GX200 の特徴を挙げていこう。
デジタルカメラとは
自分は、銀塩写真に触れたことがない。フィルム式のカメラを使った経験自体が少ないのだ。プリクラがハヤり始めたころに、ポラロイドカメラで数十枚の写真を撮ったくらいである。
そんな自分だが、以前からデジタルカメラには違和感を感じていた。
「デジカメって、カメラと言うよりスキャナなのでは?」
イメージスキャナを買うときを想像してみよう。誰もが性能と価格を軸にして各メーカの製品を見比べる。その際に「光学解像度(○○ dpi)」やら「本体のサイズ」・「付属のソフト」などを気にするだろう。
しかし、映像素子の性能でスキャナを選ぶ人は少数派である。本来であれば、一番「イメージスキャナの性能」が問われる部分なのに……。
デジタルカメラも同じだ。「○○万画素の写真が撮れますよ!」などという、本質から外れたところばかりをメーカは宣伝する。けっきょく、パソコンの画面やプリントの際には縮小されるのに……。映像素子の性能のほうが大事だろう。
まったく詳しくないので、これからムチャクチャなことを言うかもしれない。──デジカメの内部に画像の拡大縮小エンジンを積むことくらい、どこのメーカでもやっている。だったら、内部で「5 千万画素──いやいや 1 億画素!」と拡大すれば良いのでは? お父さんも大満足だろう。
馬鹿馬鹿しい画素数戦争のせいで、R10 は立派な油絵製造器になってしまった(しつこいなー)。たぶん、リコーが作りたかった製品は、もっと違う物だったのだろう。「もっと画素数を増やせ! ノイズはボカして ごまかせ!」という顧客や上司の指示で、ああなったのではないか。
GX200 は、じつに素直な写真を見せてくれる。ほかのコンパクトデジタルカメラに比べれば大きめの CCD と、あまり変に写真を加工しない画像エンジンのおかげだろう。
カメラのさわり心地
GX200 は、カメラである。
──当たり前のことだが、上で書いたような「スキャナみたいなデジカメ」とは違う。本当にカメラらしいデジカメだ。
撮影する感覚は、一眼レフのデジカメに近い。コンパクトなボディに多機能を詰め込んでいるが、必要な機能・設定を素早く呼び出せる。操作性は並の一眼デジカメ以上だ。
露出もピントもマニュアルで合わせると、さらにカメラらしくなる。GX200 の弱点のひとつが「すこしでも暗いとオートフォーカスが かなり遅い」。そんな場合でも、「じゃあ、マニュアルフォーカスにするか」と簡単に(自分の頭もフォーカスも)切り替えられる。
スナップショットが得意
昨日の記事でも書いたが、スナップショットには GX200 がもってこいだ。なにしろ、フォーカスに「スナップ」というモードまである。ピントが 2.5m で固定されるのだ。
リコーの公式サイトでも、ストリートスナップの撮り方を伝授している。ノーファインダ撮影まで記事にしているのは、このご時世では珍しい。オプションで購入しないとGX200 にはファインダはないが、ここでは液晶も見ずに撮影する、ということ。
ストリートスナップを撮る / Photo Style | Ricoh Japan
この上の写真を見ての通り、自分もノーファインダで撮影してみた。かなり難しい。
フォーカスはオートでもマニュアルでも、日中ならなんとかなる。しかし、シャッタースピードを稼ぐ(速くする)のが難しい。「シャッター優先モード」が欲しいところだ。それとも、ISO 感度を上げれば良かったのか?
あんまり「この方面」へスクスク成長していって良いのかどうか、悩ましい。上の写真だって、マトモに顔は写っていないが、肖像権で訴えられてもおかしくないだろう。まぁ、ホドホドにしておくけれど。