『バクマン。』 33 ページ 「ありとなし」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 20 号)
個人的には、『編集王』を読んだあたり(15 年も前か……)から、「マンガは好きだが、作られる過程まで知る必要はないか」と思っていた。「マンガを愛していない編集者がいる」と知ったからだ(知ったと言っても『編集王』はフィクションだけど)。
それが、『バクマン。』を読むと、熱い編集者(服部哲)もいい加減な編集者(服部雄二郎)も「面白さ至上主義」の編集長も、みんなマンガを愛している。愛し方には違いがあるけれど。
バクマン。 – Wikipedia によれば、バクマン。」の連載が始まって以降、この漫画の影響と思われる低年齢層の『WJ』編集部への漫画の持ち込みが増えている
のにも納得ができる。作中に出てくる編集部へなら、自分の作品と未来とを託すことができるだろう。
ところが、実際は どうなのか?
マンガ編集者に関する興味深い記事を読んだ。刺激的なタイトルだが、中身はそれ以上にスパイシィである。
編集者がみんな優秀なわけではありません。私の個人的な印象としては、10人編集者がいたら7人が凡庸で2人が無能。尊敬できる優秀な編集者は10人に1人くらいしかいません。私の印象が正しいとすれば、作家の10人中9人はハズレを引いていることになります。
編集者の仕事に興味がある人には、下の記事も参考になるだろう。
『バクマン。』はジャンプ誌上に載るだけあって、やはり美化して描いてあるのだろうか……。
あと、すこし気になるのが、「ジャン○編集部にマンガを持ち込んだけど質問ある?」というスレが「数字で呼ばれる掲示板」に立たないのは、なぜだろう?
(答え: 本気でマンガを描いている人間に、そんなヒマはない)
絶対今日だよね?
サイコーとシュージンは、連載会議の結果が出るのを待ちくたびれている。
こういうときは、たとえ悪い知らせ
でも早く聞かせて欲しくなるものだ。たとえば、告白の返事を待つ時間もヤキモキするだろう。
──と書いて、いま思い出したことがある。
自分は同じ女の子に対して 1 か月の間に 4 回も告白して、いずれも 2 秒で返事が来た。
──前言を撤回しよう。どれだけ時間がかかっても、良い知らせを聞かせて欲しいものだ。
誰だっけ?
一方、待ちくたびれて変なフンイキになっているのは、オトナたちも同じである。
時間を持てあましているときにトランプをするのは、マンガ業界の定番なのだろうか。ゲームにも力を入れているジャンプ的には、ニンテンドーDSi などのゲーム機を持たせたほうが良いのでは、と余計な心配をしてしまう。
雄二郎の格好いいターンが、まだ続いている。部下──ではないけど(おそらく)年下の同僚の前では実力が上昇する、ディーノ状態だ。
バクマン。 #32-4 「電話と前夜」 高校生へのフォローとマンガ論 : 亜細亜ノ蛾
普段のダメダメ編集者である雄二郎との差は、「適当」(ふさわしいこと)とテキトー(いい加減なさま)の違い、みたいな感じである。
亜城木夢叶 連載になったら
このターンに入った雄二郎を前にすると、なんだか服部が頼りなく見えてしまう。そりゃ雄二郎も「俺に聞かれてもな……
」と言いたくなる。
すでに気が付いていたが、やはり、編集者は担当するマンガを選べないようだ。マンガ家も編集者を選べない。すべては上の決める事
、である。普通の会社と同じだ。
ところで、福田の連載が決まれば、雄二郎が担当するマンガは 3 本になる。福田・エイジ以外に担当しているマンガは不明だ。それよりも、気になる事がある。
ひとりの編集者が担当するマンガの本数は決められていないのか?
上が決めるとはいえ、基本的にはデビューの前から面倒を見た作品は、担当者になれるらしい。かといって、本数を持ちすぎると大変だ。担当の本数と給料の関係も気になった。
多くのマンガ家・作家が、「作品は編集者のために作っている」と発言する。『幽☆遊☆白書』の作者コメントで冨樫先生もそう書いていた。森博嗣さんも似た発言をされている。
そう、ある意味ではマンガや小説は「編集者が作った」と言っても過言ではない──らしいのだ。読者からすると不思議な気もするが、編集者がいたからこそ世に出た作品は多いと聞く。なんとなく、まったく逆に「あの編集者のせいで潰された作品」のほうが多いと予想する……(あれ、こんな夜中に誰かが来t)
雄二郎が出てくる場面を見ると、とても仕事をしているようには見えない。ならば、持てるだけ担当を持って「○○はオレが作った」と(キャバクラあたりで)大きな声で言いたい──という編集者を志望する者も多いだろう。
6 時間も会議してんスか
福田は今日も絶好調である。この場合、ゼッコウチョウのゼツは「舌」と書く(昔に見た「ガキの使いやあらへんで!」のネタ)。
「国語教えましょうか !?
」は良かった。たしかに、自分が命を削って描いた作品を「万が一連載に
」などと言われて、黙ってはいられない。
それに対して「よしっ こっちは礼儀 君は国語だ !!
」と返す雄二郎も素晴らしい。やはり、ディーノ的パワーアップで普段よりも冴えている。「国語を教えてもらうのは納得するンかい!」とツッコんだ。
なんだかんだ言って、福田と雄二郎は良いコンビだな、と思う。
今回で連載が決まったら、5 年後ぐらいに「雄二郎さんには感謝してます(涙をこらえながら)」「なんだよ急に……」という会話が居酒屋で聴けそうだ。──まぁ、次の日からは、また福田の吠える声が電話越しに聞こえてくるわけだが。
では 班長は退室
いよいよ、連載会議は終了した。結果が発表されるのは、残念ながら次回(以降)になる。待ち遠しい。
今のところ、新人 2 本 ベテラン 2 本
の連載が始まるところまでは確定のようだ。少なくとも、「福田組」(と蒼樹)の 3 本から 1 本は落ちたことになる。さらに、意外な伏兵として平丸もいるのだ。
正直なところ、まったく結果が読めない。ヘタに予想することは、やめておこう。しかし、結果に関係がないのに新登場の平丸を出すか? と考えると……。