バクマン。 #53-3 「18 と 40」 番外編コミックスと寒い夜空

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『バクマン。』 53 ページ 「18 と 40」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 42 号)

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最近、めっきりと涼しくなってきました。──と思ったら、急に暑くなってきて、「そうか、夏休みも、もう終わりか……」みたいな感じです。1 か月前の太陽を、間違って出してしまった、みたいな(←?)。

『バクマン。』の舞台では 12 月──冬です。しかもあと 2 週間で 来年という、こちらも「終わり」に似合う季節ですね。

始まりがあれば、終わりもある。──そしてまた、亜城木夢叶の次回作が始まるのは、いつになることでしょう。急展開が好きな作者(と読者)だから、案外、すぐに次回作の話が出たりして。

終わりということで

サイコーとシュージンは、盗んだバイク──ではなく、自分の自転車で思いっきり飛ばす。こう言うのを見ると、自分は「青春だな……」と思ってしまう。2 人と同じ年代の子が見ると、どんな感じでしょうかね? 照れくさい?

アシスタントの解雇を知らされて、すぐさま「次の職場」を小河は探ろうとする。──いちおうは雇い主である 2 人の前で、これはちょっと失礼です。しかし、気持ちは分かる。小河ほどの実力なら、どこでも働けると思いますが、だからなおさら、良い条件の職場に行きたいのでしょう。

高浜の余裕っぷりがニクいですね。それぞれの事情を、冷静に見ている感じ。亜城木夢叶の 2 人に、高浜が何か言いたげなのが、すこし気になります。しかし、この状態で言えることなど何もないでしょうね……。表面上は「無口な高浜」という、仕事場に来た当時と変わらないのに、印象は まったく異なっているのが面白い。

どうもっていくか だが

何ごともなかったかのように、港浦は今後の予定を語り出す。打切り作家を前にして、この落ち着いた態度を見ると、港浦が頼もしく見えますよね。見かけだけは……。

港浦は、じつはマニュアル人間なのかもしれないですね。あとに残る印象では「勢いだけ」に見えますが、その勢いを支えているのは、決められた仕事の範囲だけだったりする。そういえば、初対面でテキパキしていたのも、すべてマニュアル通りの対応だったような……。

そして、サイコーもシュージンも、それどころではないのターンになっています。このファミレスに来るだけでも精一杯、という状態なのでしょうね。失恋よりも大ダメージな感じ。

新人のデビュー作で、しかも打切り終了するのに、番外編のコミックスを出す──これは、異例のことではないでしょうか。似たような例が、ちょっと思い浮かびません。

それだけ、亜城木夢叶は編集部から期待されている、ということです。

すげーな 俺達

高校生でコミックスを 5 冊も出した、というのは、たしかにスゴい。本来であれば、もっと喜んでもいい結果です。

ただ、すぐにはムリですよね。デビューして日が浅い 2 人は当然として、連載の終了が決まった直後のマンガ家は、誰でもこんな感じになるのでしょう。中井も、いまごろは放心状態になっているのでは。

ところで、サイコーはアホ顔になると、頭の上にある「アホ毛」が すごく気になる。いや、普段のシリアスな画風の時にも、十分そこだけ違和感があるのですが……。そう思って、シリアス顔が多いコミックス 1 巻を読み直すと、ものすごく気になって仕方がない。

しかし、このサイコーのアホ毛こそ、『DEATH NOTE』から作風を変えていこう、という作者の意志が表われている──のかな……(自信なし)。

行くしか ないよな

2 人でトボトボと帰る道は、いつもより寒かっただろう。心細かったはず。しかし、マンガ家に なろうって 誘ったの俺というシュージンの言葉は、サイコーにとって、ありがたかったでしょうね。持つべきものは友、です。

サイコーがアシスタントをしに行く、という可能性が出てきました。さて、誰のところへ?

いままでの流れからすると、またエイジのところへ行くか、福田を手伝いに行くのも ありそうです。ただ、同じ事を何度もするような作者ではないので、全然ちがう先生を手伝いそう。──あ、平丸か!

あったけ

しみじみと、自分たちの「すごさ」にしがみつく──。それもまた、良し。いまは、じっくりと「次」に向けて力を溜める時期です。

『TRAP』の連載が始まるまでのサイコーは、「18 歳までにアニメ化(そして結婚)」という目標を、あせりすぎていました。シュージンもそれに乗っかってしまった感じ。結果的に、サイコーは体調をくずして、思わぬ回り道をすることになってしまった。

これからは、ゆっくりと次回作を作り上げていく、という展開になりそうですね。