バクマン。 #103-2 「無駄と挑戦」 『148cm の GK』と頑張りすぎ

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『バクマン。』 103 ページ 「無駄と挑戦」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 44 号)

Tipp-Kick 3
(むしろ── 148mm もない)

今回の話を読んで、あらためて気がついたことがあります。『バクマン。』の世界には、『バクマン。』はありません。

──「お前は何を言っているんだ?」の心境でしょうが、あっちの世界には『バターマン』という(ジャンル不明の)マンガしかないのです(『バクマン。 (2)』 p.118 など)。

つまりは、「マンガ家には、原作と作画という道もあるのか」とか「編集者の仕事はこんな感じなのか」と『バクマン。』を読んで理解・想像する読者は、向こうの世界にはいない。だから最初から作画だけしよう なんて子はいないのかも。

実際には、現実世界のマンガ家志望者の中にも、作画のみを希望する人は少数派なのでしょうね。サイコーとシュージンは、かなりレアなコンビだったのか。

2 本目なんて 書かすから

上ではああ書きましたが──、[pixiv] などのイラスト・サイトには、絵の上手な人がたくさんいます。言葉を選ばなければ、「絵だけがうまい人」も多いはず。たぶん、そういった場所からスカウトして、デビューさせる編集者もいるでしょう。

『バクマン。』がもっと多くの人に読まれるようになれば、「マンガ家と言っても、いろいろいるのだな」と一般に知られるようになり、もっとマンガ界が豊かになるかもしれません。マンガ畑の出身ではないマンガ家も、どんどん出てくるはず。

さて、このページで描かれている主題は、作画の不足です。これは、あとあとの展開に対する伏線となることでしょう……。

よしっ ネームアップ!

シュージンとカヤのいる前では、涼しい顔をしてネームを仕上げているサイコーです。高木夫婦が帰ったあとの表情を見るまでもなく、サイコーは腹の中では別のことを考えている。

ひと言で言うと、サイコーは頑張りすぎ、ですね。

ときどき、サイコーがこんなにも歯を食いしばって本心を隠してがんばっているのは、いったい何のためだっけ──と思うことがあります。──せんべいをかじりつつ、亜豆のヘルメット頭を眺めながら。

前から感想に何度も書いているけれど、そろそろ「アニメ化→結婚」以外の動機付けをサイコーに与えて欲しいなぁ……。たとえば、エイジ(と服部)の策略によって、サイコーを挑発するとか。あるいは、亜豆に縁談話が浮上するのもベタで良い。

いっそのこと、エイジが亜豆に「ズキューンです!」となる展開が、もっとも面白そう!

無駄になってないはず

いま絶賛発売中の『バクマン。 (10)』には、ちょうど「文章だけの原作」を採用する話が収録されています。あの時には、「サイコーもシュージンもお互いの利点を生かせる」方法として描かれていました。

それが今回は、「原作者がシュージンではなくても、サイコーは作画ができる」ことになっている……。2 ページ前に描いてある「ストキン」の話とつながるでしょうね。あるいは、サイコーが話を考えるか。

以前のケンカ別れとは違い、サイコーとシュージンがそれぞれ前向きに自分たちの道を行くことになりそうです。それは 2 人にとって良いことなのか、悪いことなのか……。

でも──、もしもサイコーが亜豆との結婚をあせって行動しているとすると、それは間違っている。

「1 ページ」でサイコーが亜豆に約束したのは、「サイコーが絵を描いて、シュージンが原作を書く」ことと、「2 人のマンガがアニメになったら結婚する」ことです。サイコーとほかの人が組んでマンガを描くことは、約束から外れている。

いや まだ 連載なんて

カヤからの忠告を受け入れたのか、シュージンは『恋太 & ピース』にそこまで乗り気ではありませんね。サイコーにも気を遣っているのでしょう。

空気を読めていないのは、折原だけか……。

空気と化している森屋よりは、おいしい位置だけれど。

前回とかわらず……

意外にも『恋太』は『PCP』よりも下の順位です。いままでの展開からすると、3 位くらいかと思っていました。でも、無名の新人が読み切りで 5 位を獲るなんて、すごいことですよね。

折原がひとりで騒いでいますけど、シュージンは連載までは考えていないようです。それでも、読み切りで良い順位を取れた「作家」を、編集部が放っておくはずはない。白鳥の本格的なデビューが見えてきました。

サイコーもシュージンも白鳥も、全員が笑顔でいられる展開になると良いのですが……。