『バクマン。』 142 ページ 「新人とベテラン」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 34 号)
今回の『バクマン。』は、センタ・カラーでした。これからの季節にピッタリの暑い──いや、暑苦しい扉絵です。
作品の中では、夏も終わっているけれど──。
「みんなでスイカの早食い競走」という、よく見る題材のイラストです。しかし、主役級の女性キャラまで参加しているのは、たいへんに珍しい。女性のスイカ早食いなんて、志村けん さん主演のテレビ番組でしか見られないのでは?
このカヤは──なんだかアゴのラインが丸いような気がします。いや、確実に丸い。とんがりアゴ・ボーイズが近くにいるから、ますますダルンダルンに見える。高木家の繁栄のために、いまから準備しているのかもしれませんね。
本当に私のような歳で
東が緊張している。前回では ひょうひょうとした印象の東でしたが、本心は不安で いっぱいだったようです。「何もかもが計画通りに動いている」と考えていそうに見えたのは、電話の声に従っているだけ だからでしょうね。
今回の扉ページも東が描いて来た原稿も、どちらもカラーです。それなのに、この『ぱんちらファイト』は二色刷ページに載っている。「シリアスな笑い」ですね。ちょっと本当に笑ってしまいました。
もしも『バクマン。』が(タイトルのイメージどおりに)お色気マンガなら、絶対に『ぱんちら』の原稿はカラーで載せたはずです。そうじゃなくて、良かったのか残念なのか……。
マンガ家として 誇れる実績
年齢を隠すことには妙なこだわりを見せる東は、なぜかペンネームを変えて 心機一転
という道を選びません。どう考えても、名前が同じであれば年齢も分かる。言っていることに矛盾があります。
どうもこの「ペンネームを変えない」点が あやしい。ウラがあるように感じました。自分の名前を売ることが目的なのか、それとも──これも作戦の一部でしょうか。
前回から引き続き、高齢でも連載が可能かどうか、東は服部に質問をしています。しつこいなー。
たんたんと流している服部でも、「もう ええっちゅーねん!」と(なぜか関西弁で)突っ込みたくなるのでは? そんなことを編集者に聞かれても、「YES」意外に答えようがありません。
ここまで何度も質問するのは、前回で予想したような「服部を試している」ということではなく、単純に心配なのでしょうね。読者からしたら「あの服部が面白がっているから、うまく行きそうだ」と思えるけれど、東にはその自信がない。
同時に、東が「黒幕」を信頼していない証拠です。
その「黒幕」が、話の内容とネームを書いている──と予想していました。しかし、セリフの言い回しが古臭いのは、東のセンスという可能性が高い。ということは、原作と作画に分かれていないのかも。電話の男は、アイデアだけ提供しているのでしょうか。
どうも、かつての「判定人」がウラで手を引いている──という ふんいきです。七峰透が「黒幕」というよりは、「判定人」の策略に思える。
あるいは、彼らの存在を知って「これなら自分でもできる」と思った者──つまりは「模倣犯」が生まれたのではないか。いろんな可能性を考えられて、面白い。
まさかこんな長い時間
東と会うのは まだ 2 度目なのに、もう連載を目指した 6 時間(!)の打合せをするとは、かなり服部も気合いが入っていますね。この熱意が、東ほどの年齢でも連載ができるという服部からの答えです。
相手の思いこみや誤解を解くには、誠意ある態度を見せ続けるしか ありません。どこかの国の電力会社や政府にも、服部の姿勢を見習って欲しい。
新井が戦力外を 言い渡されてきた
ことには驚きです。つい最近(でもないケド)、恋愛マンガの読み切りで戦った時には、新井は 3 位でした。若者に混じっても十分に戦える──と思っていたのに……。
いまから 10 年ほど前、新井は東のところでアシスタントをしていたそうです。つまりは、10 年選手のベテランでも、ようしゃなく切られる。年功序列なんて あり得ない。どこかの電力会社や政府にも(ry
東と新井との意外な つながりにもビックリしましたが、それ以上に、この業界の厳しさをあらためて思い知らされました。イナカに引っ込んだ「一流のアシスタント」を、編集者は誰も呼び戻さないし……。
掃いて捨てるほど
マンガ家なんて 使い捨て
というセリフが、読んでいて心に痛い。ドキッとした作家も多いでしょうね(共感した編集者も)。
東が言う元気になるかも しれない話
とは、「黒幕」と組むことでしょうね(「うほっ」的な話かと思った──人もいるのでは?)。
ここで注目なのは、東が新井を引き入れようとしたのは、あくまでも偶然──という点です。後半の展開を考えると、何だかモヤモヤが残る──。