『バクマン。』 154 ページ 「週刊と月刊」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 48 号)
今回の話を一読した直後は、「え? それはないんじゃないんじゃない?」と思いましたね(多い多い)。今までやってきたことを全否定──みたいに感じる。
ところが、何度も何度も読み返してみると──、「この道を切り開くしかないよな」と思い直しました。ちょっと残った不満よりも、この先への期待のほうが大きい。
今週号の「ジャンプ」では、『めだかボックス』と『鏡の国の針栖川』でも同じような読後感が味わえました。どの作品も、これまでの世界を打ち壊す あやうさと、新しい地表を目指すワクワク感がある。
やっぱり「ジャンプ」は おもしろい! そして『バクマン。』も楽しい。その感動を すこしでも伝えられるように、今週も 4 回に分けて感想を書いていきます。
『ZOMBIE☆GUN』の相手は
新妻エイジはマンガに対して妥協がない。だから、ずっと一緒に戦ってきた『PCP』よりも、明らかに 「REVERSI」 の方が 面白い
──と言い切っています。
『バクマン。』に出てくる登場人物のなかで、エイジは もっとも作者に近い──つまりは「天の使い」と言える存在でしょう。羽が生えてるし(そんな理由!?)。そのエイジが断言したのだから、『REVERSI』の面白さは保証付きです。
作者としても、今後は『PCP』ではなく『REVERSI』を押していく──という宣言のように思いました。
正直ホッとしてます
『PCP』の優先順位が下がることは、誕生の苦労を知っている読者からすると、ちょっと悲しい──。
しかし、作家・亜城木夢叶の将来を考えれば、『PCP』と『REVERSI』の両方を無理なく始められることが最高の結果
で間違いないでしょう。
あまりの嬉しさに、サイコーもシュージンも、なぜか少女マンガみたいな顔で喜んでいる。服部が「あこがれの先輩」みたいに見える──か?
服部も、『REVERSI』のほうが『PCP』よりイケる
──と思っています。本当の希望は、両作品とも担当することでしょうね。自分も、そう強く願う。
毎度おなじみ、森博嗣さんの著書・『MORI LOG ACADEMY 6』に、下のようなことが書かれていました(p.160)。
何度も会って話をして、熱心なので、では、この人のために作品を書いてあげようか、と思った頃には、もうその担当者がいない、ということが過去に何度もあった。(……)
こういう時にはビジネスライクに、「では、こちらも担当者を替えましょう」と、連載作品やシリーズものの登場人物を入れ替える、なんていうのが良いかもしれない。(……)もっと良いのは、これを機会に、作家を替えていただく、というのが素敵だ。
森さんらしい皮肉たっぷりですが──、ほかの業種からしたら、当然の感覚ですよね。出版業界だけが違う。その異常さに気がつくのは、すっかり ほかの分野に取って代わられたあとかな。もう手遅れかも……。
実績ある ベテランだ
中野班長──もとい、中野副編集長の映像が頭に浮かばなかった……。
自分が大好きな『魔人探偵脳噛ネウロ』を立ち上げた担当者と知って、評価がメキメキ急上昇です! 彼に任せれば安心ですねー。
衝撃を受けた直後、すぐに打合せへ頭を切り換えるシュージンは、もう立派な作家です。ただ、その仕事熱心さが、今回は逆に空気を悪くしてしまう──という皮肉さが切ない。
僕は あくまでも 「PCP」の 担当
「気配り上手」に「シュージン」と読み仮名を振りたいくらいなのに、ここでは服部の寂しい表情に気がついていません。「絶対零度」と書いて「サイコー」と読む──な彼のほうが察している。
──ちょっと思ったのは、サイコーは「人のマイナス面」に引かれているのでは? シュージンは、プラスに引かれている。作風からするとシュージンは逆に感じますが、エグイ話を書く人ほど普段はマトモだったりします。
冨樫義博先生は、聖人君子のような生活を送っているに違いない!
ここまで 一緒にやってきたん だし
亜城木の仕事場で、珍しくキッチンが描かれました。ナベが置いてあるから、ここで簡単な食事を作ったり、カヤの手作り料理を温め直したりしているのでしょう。
電気式の湯沸かし器が ものすごく便利なので、亜城木に・みんなに おすすめしたい! ガスの火を使うよりも安全だし、すぐに湯が沸きます。保温式のポットと違って、まったくと言って良いほど白い粉(炭酸カルシウム)も付きません。
カヤのおかげで掃除も行き届いているし、ふんいきの良い職場ですよね。サイコーもシュージンもアシスタントと積極的に話しているし、マンガ家志望者には理想的な場所です。
──居心地が良すぎて、出て行けない者も多いけれど。
一方、新妻エイジのところで働くと、どうなるか──。アシスタントが自分から掃除しないと散らかったままだし、食事も買いに行くしかない。寝る場所も狭かった。
なによりも、エイジは人にモノを教える能力が なさそうですよね。「永遠に不滅です」と言っていた某・天才打者みたいな感じ。
「あ・うん」の呼吸で何も言わなくてもコーヒーを入れる間柄って、良いですよね。お互いに、異性のパートナよりも長く一緒にいるから、家族も同然です。
こういう「何気ない場面」を何気なく描いて、それでいて味わい深く見せるのは、かなりのセンスと技量が必要だと思う。派手な見せ場ばかりではなく、こういうシーンも作家は研究してみると、作品がより良くなります。
──と、日常パートが見ていて痛々しい某・スポーツマンガの作者に伝えたいな(いまの「ジャンプ」でスポーツと言えば──。というか、スポーツマンが冬場に何度も雑魚寝するって、あり得ないにも ほどがある)
