『暗殺教室』 第 94 話 「敗北の時間」
「負けから 得るものだって 沢山ある
」
──これは よく聞くセリフですね。じっさい、敗北したことで自分の弱みを見つめ直し、次には勝利を収めたという話は、現実でも創作でも日常的です。
しかし──。
「多くの者は 口先だけで 大して学ばず 敗北を忘れる
」
と語る浅野 學峯理事長からすれば、死ぬ寸前まで 悔しがって ない
状態や並大抵の努力で手に入る勝利なんて、しょせんは凡人の宝物なのでしょう。
初の完全勝利
A 組の完敗
は意外でした。
とくに浅野 学秀が負けたことは連載始まって以来です。A 組に E 組が勝っても学秀にだけは かなわない──という展開ばかりでしたからね。
今回の棒倒しでも、秘密兵器
の堀部イトナが跳躍! ──した直後に E 組の棒を倒す生徒が出ると予想していました。
──でも それだと磯貝 悠馬が退学になっちゃうか。
今回の話の主人公は、じつは学秀だと見ました。
急成長を続ける E 組の生徒には、もちろん最後に倒すべき相手──殺せんせーが いる。ただ、その標的は、あまりにも近く・限りなく遠い。
そこで、乗り越えるべき「中ボス」として学秀が いたのですが、リーダー 失格
の烙印(らくいん)を押されてしまった。しかし、父ほどではないにせよ敗北の味をかみしめて、きっと学秀は進化するはずです!
次の決戦は ただでは済まないはず──。
遺伝と実力
「ジャンプ」の主人公が強い理由は、親の遺伝が多い。
そう下の記事で書いてから 8 年近く(!)が過ぎました。いまだに その考えは変わらないし、最近のマンガのほうが七光り傾向が加速している。短期決戦型の連載では、「最初から強い主人公」が求められるからです。
しかし、浅野理事長は違う。
いまのところ學峯の両親については語られていないし、おそらく今後も登場しないはずです(「桂木 弥子とネウロの子どもだ」と言われても納得しそうだけど、年代が近すぎる)。
理事長は、自分の力──怒りと恐怖
・集中力
・屈辱の炎
──だけで黒帯の空手家を倒しました。異常なまでの執念深さも理事長の力です。
──ああ、そう言えば「ジャンプ」のラスボスは、七光りよりも成り上がりキャラばかりですね。主人公キャラよりも、『ジョジョの奇妙な冒険』のディオ・ブランドーと対比させたほうが分かりやすかったかな。
恐怖と進化
また、あの理事長が恐怖を感じていた点は興味深い。
『HUNTER×HUNTER』のゴンさん(あるいはスーパーサイヤ人)みたいに、ほぼ怒りだけから自分の能力を伸ばす描写はアリガチです。アリガチだけに、多くの読者(子どもたち)は理解しやすい。
ところが理事長は、「再び負ける」恐怖
まで味わっている。あの化け物
が、ですよ! 表面上は常に冷静な學峯の、きわめて人間的な部分をやっと見られました。
それと、「浅野君
」と呼び距離を保っている学秀にまで、自分の屈辱をさらけ出す理事長には、ある種の親の愛情も感じます。これが支配者としての教育でしょうね。
おわりに
「賞味期限が近い物
」に笑いました!
イリーナ・イェラビッチとイトナは、まるで実の姉弟(きょうだい)みたいです。片方は むしろ「賞味期限(とっくに)切れ」で、もう片方は洗脳切れたての新鮮さだけれど。
ついでに「きょうだい」ネタを紹介。これ不思議だな。
たとえば、48 人の姉と弟 1 人でも… — Ciao! I am a harsh thug.
柱の「人物紹介
」も注目です(連載時)。
「マッハ 20、すなわち 第一宇宙速度の 0.85 倍速い
」──と(たぶん)初めて殺せんせーより高速なモノと比較していますよ! これも一つの「敗北」と言えますね。
題名は「一敗地に塗れる
」から借りました。
どちらかと言えば「いっぱい(たくさん)血に濡れる」理事長室での惨劇です。あの部屋に置いてある物を破壊したら もっとヒドい目に会うはずだけど、理事長が自分で壊さなかったのかな?
