『バクマン。』 13 ページ 「チョコと赤マル」 (週刊少年ジャンプ 2008 年 50 号)
個人的には、服部の熱く叫ぶシーンが今週号の見どころだった。──という人は少ないと思うが……。自称「服部ウォッチャ」としては見逃せない。服部こそ、この作品の裏主人公と見ている。
順当に選べば、盛り上がった場面はクリスマスやバレンタインデーになると思う。しかし、純粋な恋愛マンガではないこの作品では、アッサリと過ぎ去るのであった。そして、作中の時間も現実世界を追い越していく。サイコーとシュージンが見る未来のジャンプは、今よりも面白くなっているのだろうか──。
赤マルジャンプ
正直、赤マルは読んだ覚えがほとんどない。1-2 冊だけ特典に釣られて買った気がする。発行は年に 3 回とのことだが、もっと多く出ていると思っていた。というのも、「お、盆休みでもジャンプ出てるじゃん!」とだまされたことがあり、それを根に持っているのかもしれない。──アナタも、そうでは ありませんか?
想像を絶するくらい
シュージンも見吉も、3 年くらい付き合っているカップルみたいだ。冷めているようにも見える。とくにシュージンはクリスマスのデートだというのに、何とも浮かない表情をしている。
ちょっと驚いたのが、サイコーと亜豆を語るシュージンのセリフを聞いた、見吉の反応だ。
あの 2 人 俺達の想像を絶するぐらい愛し合ってる
──これ、フツーの女の子が聞いたら、うらやましがるのでは。それなのに見吉は、ドン引き。
注目なのは、「俺の」ではなく俺達の想像
とシュージンが言っているところだ。ようするに、見吉は そこまで恋愛にのめり込まないタイプ、と知った上で発言している。ニクい! さらに言えば──おそらく見吉がのめり込む性格なら、対象は「恋愛」ではなく「シュージン」、と思っているに違いない。ニクすぎる!
恋することは、切ない──。それを、ひとごとのように語るシュージンと、冷静な目で見守る見吉は、イマドキのカップルの姿なのだろうか。
「一億分の」
服部が考え、シュージンが絶賛したアイデアを見て、「これ、自分も考えたぞ !!」と叫んだ。──そのあと、冷静に過去の記事を検索すると、少し違っていた。惜しい!
『ふたつの地球』と『1 億分の』を合わせて 1 つの作品を描けばいいのでは、と思った。
──ということは、今までの 3 作品を合わせて一つにすれば良いのでは。
そこから考えると、シュージンの作る話は、どれも同じように見える。昔の SF 作品のニオイがする──と言うと、自分は SF 者ではないので識者の方々からツッコミが来そうだが。このあたり、大場つぐみ先生が「説得力を持たせるためにある程度は面白い、しかし自分が使いたい話は避ける」という基準でシュージンのネームを考えているのでは、と見た。それこそ、赤マル作家へ次から次へとネームを渡せるくらい、作品のアイデアを持っていそう。
いま思ったけど、川口たろう先生のように、山ほどボツネームを書いた作家さんは何人もいるのだろう。ここで必要なのは、そのボツを切り貼りして「使えるネーム」に仕上げる人なのでは。イチから作品を作る才能はなくても、すでに在る物を活かせる人は多いと思う。自分も、そちらのほうが向いている、と自覚がある。
──まぁ、こうしてシロートが思いつくくらいだから、とっくに実現しているか、それとも致命的な問題があるのだろう。もし、斬新な考えとして「ボツネーム・リサイクル法」がこの記事から広まったら──アイデア料は勉強しときまっせ。
手作りチョコ
並のマンガだったら最低でも 2 週に分ける「クリスマス・バレンタインデーのイベント」を、たった 1 週にまとめる(しかも数コマ)──それが『バクマン。』クオリティ。
見吉がシュージンに渡したチョコレートが手作りだったことから、見吉は家庭的な一面があるのかも。──と言いながらなんだが、自分は男なのにチーズケーキが焼けるヒトなので、「溶かして固める」チョコは「手作り」に入れたくないけれど。
亜豆のほうは──たぶん、料理も含めて家事全般が苦手なんだろうな。手紙には家族に作っているの見られたら恥ずかしいから
と書いてあったが、可愛らしいウソ、と読み取れた。結婚しても、家政婦さんかサイコーにすべて任せそう……。
今まで生きてきた中で
喜びを全身で表現しているシュージンのセリフは、岩崎恭子さんのパロディだろう。
──って、1992 年の話 !? じつに、16 年前! 中学生のシュージンは、リアルタイムで見ていないのか。ちょっと、めまいがした。
さて、喜んだのもつかの間、服部が真相を語る。サイコーとシュージンが悔しがるよりも前に、声を荒らげる服部が熱い!(「声を荒げる」は誤用らしい)服部ウォッチャを続けてきて良かった。
以前にも書いたが、ますますバトルマンガに似た展開となってきた。
『バクマン。』って最近のジャンプの「バトルマンガ」と構造がよく似ている。強大なライバルとの出会い、いきなりトーナメント戦に参戦、学校生活とバトル、挫折と修行──ほら、そっくり。
クールなイマドキ中学生の主人公と、異様な天才型ライバル──勝つのは どっちだ !?