『暗殺教室』 第 17 話 「しおりの時間」
今週号は表紙を飾りました! 中学生がヌルヌルと触手で拘束されている──というレジへ持って行きやすい表紙ですね! (どう見てもエ■ゲ)
カラーを最大限に生かした殺せんせーが楽しめました。表紙だと顔は怒りの赤・触手は黄色で、カラーのページでは「七色の表情」、見開きでは全身が黄緑──、
そして極めつけはコミックス第 1 巻の表紙です! ロゴまで変えているなんて、かなり珍しいのでは?
見開きの絵は意味深でした。なぜか生徒の半分くらいはシルエットに なっている──。
当然、潮田 渚や茅野 カエデ・赤羽 業は目立つようにカラーです。現在、本編で中心になって動いている杉野 友人にも色が付いている。
それにも かかわらず、今回の話で主役の神崎 有希子が見当たりません(潮田の右にいる影?)。これは、まだ神崎が素顔を出す前だから──なのか? (ただたんに、昔に書いたイメージ・イラストだったりして)
それはそれとして この見開きは、サブ・タイトルの「しおり」と渚の「おしり」をかけているんですね! わかりまs
どちらが異常?
限られた時間しか残されていないはずなのに、渚たちは しおりの内容にツッコミを入れています。茅野や神崎だって、縛られながら普通に会話をしている──。
3 年 E 組の「普通じゃない」感じが よく出ていて、頼もしいけれど──不気味でした。大人でも、ここまで落ち着いていられるだろうか?
よく考えてみれば、潮田たちも 2 年生までは「良い子ちゃん
のエリート共
」と同類です。それが 3 年生からは、急に暗殺者になりました。ようするに、「ごく普通の中学生」とは縁遠い毎日を送っている。
──もちろん、「『ふつーのちゅーがくせいって』、なぁに?」は議論の余地があるけれど(少なくとも、渚みたいな『勝手に改造』した制服は着ていないと思う)。
トラベル・トラブル・トラウマ
リュウキたち不良に襲われた女性を(回想シーンとは言え)描くとは思いませんでした。痴漢の冤罪(えんざい)を含めて、あり得る状況なのが恐ろしい……。
前回の「台無しの先生」みたいに笑えるイメージ映像を使うのかと油断していたから、よけいに被害者の無残さが出ていました。こんなことを少年誌に描いても良いかというと──、
この演出で正解です!
たとえば、「ステキなブランド物をおフランスへ買いに行くざます」なんて無責任で無知な誘いをする人がいたら、『96 時間』を観せておくことが親切だと思う(2013 年 1 月に公開予定の続編・『96 時間 / リベンジ』も楽しみ!)。
96 時間 – 空気と光と家族の愛──これだけあれば親父は走れる | 亜細亜ノ蛾
子どもだって、いつかは世の中の狂気を知る必要がある。その「いつか」は、「週刊少年ジャンプ」を読める年齢くらいで十分でしょう。そして大人は、子どもたちが創作の世界から悪い影響を受けすぎないか、注意深く見守る必要があります。
地球一目立つ黒子
「ぐるぐるメガネで丸刈りの不良」や「黒子みたいな顔隠し
」はギャグなはずが、殺せんせー登場の場面は異様に格好良かった! 『黒子の手入れ』という新連載を描けそう?
ザコたちは「手入れ」しておいた一方で、リュウキたちは潮田の班員に任せる──という殺せんせーの態度も良かった。先生なら一瞬で片付けられるけれど、それじゃ腹の虫が治まらない。やりすぎだと思ったら止められますしね。
そう言えば、釣りの用語で「外道」という言葉を使います。「雑魚」も合わせてリュウキたちにピッタリですね。
魚の住みかは
明らかに神崎へ向けた下の言葉に感動しました。この場面のイメージに使われた魚が、いかにもな人魚めいた感じではなく、おそらく京都で好まれている「ハモ」という点も おもしろい。ニュルットシテオル。
学校や 肩書など 関係ない
清流に棲もうが ドブ川に棲もうが
前に泳げば 魚は美しく 育つのです
もう 1 つ、スレた大人からすると、下の言葉のほうが身に しみました。この言葉は、ありとあらゆる状況で繰り返し思い出すべきですね!
おみやげを買ったのではありません。
思い出と経験を買ったのです。
余談ながら、今回の記事のサブタイトルは、もちろん「水清ければ魚棲まず」から取りました。いつも思うけれど、「水澄めば魚棲まず(みずすめば うおすまず)」のほうが洒落ていると思う。
悪に立ち向かう者たち
しおりを片手に「演説」する渚は、なんだか魔術師みたいでした。なんだか『ヌルー・ポッター』な感じ(?)。ほかの「ジャンプ」マンガだったら、何らかの超能力や魔法を使いそうですね。
カルマは、もっと徹底的に不良どもをやっつけたかったと思う。殺せんせーの怒りを見て、すこしは気が晴れたのかな。──でも、一番 手加減したのは奥田 愛美だったりして。
- 奥田
- 「(王水くらい かけるべきだったかな……)」
エンドが始まり
神崎がヤンチャだった時期は一瞬で、しかも かわいらしい理由でしたね。よく見ると分かるように、茶髪かと思ったらウィッグ(かつら)なんですよ! 父親への反抗心を持ちつつも、完全にグレたりは しない。
やっぱり神崎さんは清らかな乙女です……!
──ダンス・ゲーム(しかも高難易度の曲)を楽しむ姿も、ちょっぴり『魔法少女まどか☆マギカ』の佐倉 杏子っぽいし、ますます聖女ですね!
これからの旅
まだまだ旅は始まったばかりです。しかし──、限りなく 頼りになる 先生
を今後も暗殺対象
として見られるのだろうか? もちろん、全力で先生を暗殺しに行くことが恩返しになる──けれど、もしも、
本当に殺せんせーを倒してしまったら?
「ジャンプ」的には あり得ない展開ですが、ついつい悲しい結末を想像してしまいました。──もっと あり得なさそうな「次々に地球外生物が現われて→トーナメント・バトル→強さのインフレ化」よりはマシだけれど。
おわりに
冒頭で縛られている神崎と茅野の表情が素晴らしかった! これから起こる展開に胸がワクワk ──もとい不安で仕方がありません(棒)。
こんなに緊縛感──もとい緊迫感が ある場面なのに、アオリ文は「ラチがあかんざき… !!
」って! 担当の編集者は、前回から「台無しの時間」が続いている。