アニメ・マンガ一覧

バクマン。 #31-4 「火曜と金曜」 『カラフジカル』の可能性と涙

『バクマン。』 31 ページ 「火曜と金曜」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 18 号)

ph4すっぽん (by htsh_kkch) (by htsh_kkch)

「中井の目にも涙」と書くと、なにやら ことわざのように思える。意味は、ない。

今週号に出てきた、キラキラと光りながら涙がこぼれる中井の目のアップは、「中井が描く絵のイメージ」だろう。中井自身は、自分のことを こうやって見ているのかもしれない。

10 年以上前の『エヴァンゲリオン』ブーム(笑)の時に、面白い指摘があった。抽象すると、このようなことだ。

「オタクは少女をオカしたい、自分のモノにしたい、そして、自分自身が少女になりたい

その通りだと思う。「オタクは」と限定することなく、「(一部の)男性は」でも間違いではない。

なりたい対象は少女でも少年でも良いのだが、とにかく無垢なる存在にあこがれる。キレイだからこそ壊したいが、同時に壊されたい(ATOK は「恋わされたい」と変換してビックリした)。

でも、他人に触れられるのは恐いから、「理想の自分」が自分を乱して欲しいのだ。そういう感情は、確実に存在する。

わざと主語をボカしたが、上の 2 段落は、かつての自分の姿でもあるのだ。いまはもう、忘れてしまった。ハシカのようなモノだったのかもしれない。「あー、一度、アスカになりたかったなー」、と。綾波は、シンジの父ちゃんと■■■しないとダメだしね。

ということで、マンガ家などの絵画や映像を扱う芸術家は、自分の理想像を作風に投影している、と思う。

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バクマン。 #31-3 「火曜と金曜」 『hide out door』と中井の妄想

『バクマン。』 31 ページ 「火曜と金曜」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 18 号)

Vintage Postcard ~ Cupid (by chicks57) (by chicks57)

今回の感想の範囲には、『hide out door』の掲載分が含まれる。

蒼樹と中井の作品は、「金未来杯に出る福田組の中では一番下の評価」という前フリが、今までに散々と描かれてきた。それなのに、たとえば見吉のウケは良い。サイコーとシュージンも、中井の絵の完成度におどろいている。

いつものように、「落として上げる作戦」だったのかもしれない。

それだけに、今回で上がった『hide out door』の評価が落ちないか、すこし心配である。

亜城木夢叶と同じく、蒼樹と中井は原作と絵に分かれて描く。だからというわけではないが、『hide out door』は『疑探偵 TRAP』の一番のライバルだと思う。

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バクマン。 #31-2 「火曜と金曜」 くずした絵と『疑探偵 TRAP』

『バクマン。』 31 ページ 「火曜と金曜」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 18 号)

Confetti for the masses (by looking4poetry) (by looking4poetry)

絵でも文章でも、作品を作りながら、「自分は天才ではないか」と 8 割以上は確信する人が多い(ソースは脳内)。

しかし、いざ作品が完成すると、自分のかいた物をこの上なくヘタに感じたり、とても手が届かない高みを見たりしてしまう。今週号のサイコーのように。

自信過剰になったり落ち込んだり、その繰り返しを続けられる者だけが、本物だ。

本物だろうがニセモノだろうが、プロとして飯を食っている人もいる。高みを目指して職に困るか、妥協して食にありつくか、難しい問題だが……。

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バクマン。 #31-1 「火曜と金曜」 『KIYOSHI 騎士』掲載とダンス

『バクマン。』 31 ページ 「火曜と金曜」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 18 号)

Champion (by drp) (by drp)

今週号の『バクマン。』にはおどろいた。金未来杯にエントリーされた 4 作品が、すべて載っているのだ。各作品は 1 ページだけだが、これはスゴい。

4 作品とも、キッチリと絵柄が変わっているのだ。どれだけ絵を習得したらこんな芸当ができるのか、想像も付かない。

──ひょっとしたら、描いたのはアシスタントかもしれないが……。

マンガ作品という世界の中に、さらにマンガを描くということは、世界をいくつも創造することだ。『バクマン。』を描いただけでも神に等しいのに、その上で一部とはいえ別の作品も作るとは、作者の底が知れない。

しかも、載っている 1 ページから前後の話の広がりまで感じさせる。

面白いことを考えた。たった「6 語」で書かれた SF の超短編があるそうだ。同じようにマンガも「6 コマ」とか「1 ページ」制限で作品を募集してはどうだろう。

族長の初夏 : わずか6語の超短編SFいろいろ

もちろん、4 コママンガのように完成されたジャンルを描いても面白くない。そうではなく、今週号の『バクマン。』のように、広がりを感じる作品が良い。

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バクマン。 #30-4 「団結と決裂」 人の意見と作品への自信

『バクマン。』 30 ページ 「団結と決裂」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 17 号)

And I'll Say a Little Prayer for You... (by TW Collins) (by TW Collins)

福田の提案した「意見の出し合い」は、良いアイデアだ。しかし、自分の作品が 1 番面白い、と言い切る態度のほうが、もっと素晴らしい。

マンガ家は、みんな自分の作品に自信を持っている。

さよなら絶望先生』で自虐ネタを描くことが多い久米田康治先生も、絶っっっ対に「オレのマンガが一番だ!」と思っているに違いない。

自分のかいた作品を他人に評価される──なんと恐ろしいことか。このブログも、ありがたいことに多くの人(ボット含む)に読まれているようだ。ときどき、ちょっと、恥ずかしい。

サイコーたちがいる場所は、もっと過酷だ。仲間同士でお世辞も無しで 意見しあうのも厳しいが、ジャンプにマンガが載れば、読者たちの無慈悲なアンケートにさらされる。

マンガは読者のため──ではなく、自分のために描く、というのがマンガ家の本音だろう。自分が面白いと思った作品しか、描きたくない。誰だってそうだ。しかし、ジャンプに作品を載せる以上は、アンケートの結果がついてくる。そんな評価に左右されたくないのに……。

アンケートのことを知らず、高い順位を取っていたエイジは、原作者たちの理想の姿なのかもしれない。

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バクマン。 #30-3 「団結と決裂」 福田組退散とネームの見せ合い

『バクマン。』 30 ページ 「団結と決裂」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 17 号)

"Is that ALL you wear when you Flickr???" (by Jim Frazier) (by Jim Frazier)

もう、とっくに気が付いている読者がほとんどだと思うが、『バクマン。』の絵柄は連載当初から変わっている。それも、極端に変えてきているのだ。

とくに、今週号の後半に出てくる新妻エイジの仕事部屋のシーンは、今までの「小畑絵」からは想像できない。たんなるデフォルメではなく、別の表現を生み出そうとしているのだ。

ひょっとしたら、自分が『DEATH NOTE』ばかりを見ているから、そう感じたのかもしれない。『ヒカルの碁』や『BLUE DRAGONラルΩグラド』でも、こういった「くずした絵」を描いていたっけ?

小畑さんの絵は、「良く言えばリアル・悪く言えばデッサン風」という、初期のサイコーの絵と似た傾向である。この絵柄のせいで、キャラクタの表現できる範囲が決まっていた。同じことは、ほかのリアル志向のマンガ家・イラストレータにも言える。

それが、ギャグも描けるしアメコミ風も描けるようになってきた。よく見ると、ものすごく太いオモ線もあり、おそらく筆ペンで描いている。とにかく、いったいいくつの技術で描いているか分からないくらいだ。

たぶん、小畑健という人は、美麗な絵の路線で一生やって行けたと思う。それを、何でも描けるような絵描きにしていったのは、大場つぐみが書く原作の力だと思うのだ。

このまま行くと、亜城木夢叶・新妻エイジ・福田・中井、それぞれの絵柄で中身まで描き上げるのではないか──。さすがに、それはないかな(やり遂げそうで恐い)。

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バクマン。 #30-2 「団結と決裂」 「殴り込み」と暴力反対

『バクマン。』 30 ページ 「団結と決裂」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 17 号)

Twenty this year (by CharlesFred) (by CharlesFred)

今週号の中盤には、ジャンプ編集部への「殴り込み」が描かれる。またひとつ、マンガ業界への波紋が広がった。ほかのマンガ家は、どのような気持ちで『バクマン。』を読んだだろうか。

まったくどうでもいいことが気になった。「福田組」の四人も編集部員も、ほとんどが「白いシャツ」だ。瓶子副編集長だけが、ひとり、黒い。何かの隠喩だろうか……?

ただたんに、小畑さんは白シャツが好き、ということだとは思う。『DEATH NOTE』の L も、ずっと白シャツで通したし。たぶん、L のシャツは一着が 2 万円くらいする高級品だろうけど。

白い T シャツ(カットソー)は、気軽に着られる。しかし、年を取ってくると、着こなすのは難しい。よっぽど体形が良くないと、安物の T シャツは見苦しい。清潔にしていても「清潔感」が出ないのだ。

シンプルな服ほど、高級な素材が望ましい。

とくに、20 代の後半をすぎると、もう「ユーズドのカットソー」が「ボロ」に見える。──それでサマになる人はいいけど、そんな人は、なかなかいないのだ。ガタイかツラが良くないと、ね。

そんなわけで、中井や相田の着る白い T シャツは、限りなくダサい。ダサいのだが──編集者とマンガ家(志望)「らしく見える」。

そう、洋服がマンガを描くワケではないのだ。マンガ家の服装など、誰も気にしない。──べつに、あるマンガ家への批評ではないが(余計なことを書くな)。

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バクマン。 #30-1 「団結と決裂」 KOOGY の新聞記事と福田の怒り

『バクマン。』 30 ページ 「団結と決裂」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 17 号)

一葉再知秋 (by enixii) (by enixii)

マンガ家目指してんなら 新聞くらい目を通せよ!」という福田の言葉が心にひびいた。マンガ家の志望者は、とくにドッキリしただろう。

しかし、字面どおりに新聞を読み始めることは感心できない。なぜか?

最近では「空気を読む」という言葉を、「人の顔色をうかがって、おかしな言動を取らないように気をつける」といった意味あいで使うことが多い。それこそ、空気が読めていない。

自分の好きな言葉に「一葉落ちて天下の秋を知る」がある。1 枚の葉が落ちただけで秋のおとずれを感じる──というのは気が早すぎるが、それぐらい先を察知する・気を配る態度こそが、空気を読むということだ。

葉が落ちるのを見て「葉っぱが落ちたなー」とだけ思ったり、「新聞を読め」と言われて急に新聞を読み出すのは、素直でほほえましい。しかし、マンガ家を目指すものとしては鈍感すぎる。

福田が言いたいのは、「マンガ家を目指すなら世の中の動きに敏感になっておけ」ということだ。新聞だけではなく、インターネットや映画・小説──もちろん、マンガも読んで何でも吸収しろ、と言いたかったのだと思う。

──などと書いている自分は、「WBC で日本が韓国に勝って優勝した!」と聞いて、「──ふーん、アジア大会で優勝したのか。世界大会は、まだなの?」と思った情報弱者である……(球技は苦手なので興味なし)。

ワールド・ベースボール・クラシック – 日本野球機構オフィシャルサイト

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バクマン。 #29-4 「文学と音楽」 間界野昂次とアンケートへの批判

『バクマン。』 29 ページ 「文学と音楽」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 16 号)

Aquarius (by denn) (by denn)

今週号の最後に、また新しいキャラクタが登場する。

このブログで何度も書いているが、『バクマン。』はバトルマンガと同じような構造だ。ライバルあり挫折あり、新展開に新キャラの登場──どれも、バトルマンガと似たような演出に(おそらく意図して)なっている。

ちょうど今は、「金未来杯編」に入ったところだ。そりゃ、新しい登場人物も出るだろう。

ところがこの人物は、サイコー・シュージンのように「マンガ命!」ではない。売名のためにマンガを描くのだ。

そして、その態度以上に、このキャラクタには問題がある。自分には、集英社と読者に対して、作者が挑発しているように見えるのだ。

どういうことか──は、ずっと下のほうで書く(いつものとおり)。

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バクマン。 #29-3 「文学と音楽」 進研ゼミ風な服部と支持率

『バクマン。』 29 ページ 「文学と音楽」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 16 号)

At Least (by Thomas Hawk) (by Thomas Hawk)

昨日の感想で、うっかりとスルーしてしまった。シュージンが、ものすごい暴言を吐いている。

あんな若くて カワイイ編集 なんて ありえないだろ

これは……。

狭い範囲で見れば、集英社のジャンプ編集部には、そのような編集者はいない、と受け取れる。しかし、広い視線で見ると、すべての編集者が対象と言っていることになるのだ。

マンガの編集者と言っても、少女マンガもあるのだし、ちょっと乱暴すぎる発言である。

ただし! これは、作中の登場人物であるシュージンのセリフだ。くれぐれも、「原作者はそう思っている」と単純に受け取ってはいけない。

ところで、マンガ家と編集者が結婚して幸せに続いていることって、あまりないようだ。プライベートと仕事が近いと、ウマく行かないのだろうか。

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