小野不由美一覧

『屍鬼』 小野不由美×藤崎竜 11 巻 – ヒトと火と死と

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

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(炎が焼くのは──罪か罰か)

コミックスの第 11 巻は、「祭りが終わる話」と書いて「祭終話(さいしゅうわ)」が収録されました。──そう、これで外場村の物語も終わりです……。

前巻までの時点で、「誰もが幸せな結末」は あり得ません。それは、第 1 巻の時点で絶望的だった。最後の望みは、お気に入りの登場人物が生き残ること──くらいです。

はたして、最後に残ったのは──?

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『屍鬼』 小野不由美×藤崎竜 10 巻 – 屍鬼と仕事は仲間を作る

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

蝉(Cicada)
(鳴き止まないなら──いっそのこと)

派手な色使いのカバーが目を引く『屍鬼』の 10 巻が発売されました! 落ち着いた色合い(または明治のアポロ?)の前巻・『屍鬼 (9)』とは対照的です。鮮烈な赤が血を思わせる。

今回の折り込みカラー・イラストは、お人形のような桐敷沙子(きりしま すなこ)です! かわいすぎる!! ここでもピンクと黒の「アポロ・カラー」が使われていて、食べちゃいたいくらい(問題発言)。

扉絵でも沙子は登場しました。中でも、ウザかわいい清水恵(しみず めぐみ)と沙子との組み合わせは見ものです。恵の半分くらいの身長かと思っていましたが、意外と沙子は背が高いですね。頭ひとつ分だけ低い。

──「頭」という単語と清水恵が金髪であること・髪型から──なぜか「マミ」という人物名が思い浮かびましたが、気のせいでしょうか。恵、マミるなよ……。

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『屍鬼』 9 巻 小野不由美×藤崎竜 – 多くの人間に取り囲まれた母親

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

Vintage Postcard ~ Mother & Daughter
(母と子の絆は──誰にも壊せない)

『屍鬼』 9 巻が(とっくの昔に)発売されました!

毒々しくも美しい桐敷千鶴(きりしき ちづる)と、彼女を支える桐敷正志郎(きりしき せいしろう)がイラストの表紙です。『屍鬼 8』でかわいらしい一面を見られたおかげで、千鶴が一段とキレイに見えました。

小・中学生男子は、レジに持って行きにくいけど。

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『屍鬼』 8 巻 小野不由美×藤崎竜 – 恋も思い出す小芋の思い出

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

Nikkorogashi of Satoimo
(煮崩れていない新鮮なモノが良い──小芋も恋も)

ようやく、『屍鬼』第 8 巻の感想まで来ました! いま(2010/08/19)のところ、このコミックスが最新刊になります。

これからも、最新刊が出た直後に感想を書く──ことができたらいいな、と思いながら頑張りたい今日この頃。

今までのコミックスの中では、第 6 巻が大きな転換期だと思っていました。まずは、結城夏野(ゆうき なつの)の一件ですね。それを含めて、尾崎恭子(おざき きょうこ)への愛情たっぷりな感想を、前回に書きました。

『屍鬼』 6~7 巻 小野不由美×藤崎竜 – 生きる苦しみ・不死の痛み : 亜細亜ノ蛾

しかし、8 巻はそれ以上に大きな動きがあります!

また、今回は『屍鬼』の設定について感じた疑問を書きました。なんだか揚げ足を取る(カラアゲ好きのことではない)みたいになりましたが、作品に対する愛ゆえ──と思って見逃していただきたく。

自分がコミックスを購入した(近所にある普通の)書店では、下のカードが付いてきました。桐敷 沙子(きりしき すなこ)のイラストがキュートです!

2010-08-20_011114_Canon EOS 7D_28-75mm

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『屍鬼』 6~7 巻 小野不由美×藤崎竜 – 生きる苦しみ・不死の痛み

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

Objetivo / Lens
(ビデオのレンズよりも──冷酷な目)

尾崎敏夫(おざき としお)・室井静信(むろい せいしん)・結城夏野(ゆうき なつの)の本性が、だんだんと見えてきました。村の惨事に心を痛め、精神を病んだだけ──とは思えないほどに……。

これから 6・7 巻の感想を紹介するわけですが、なんと、半分は尾崎恭子(おざき きょうこ)のことです。そんなに好きだったのか──と自分でもビックリしました。

いつだって、手に入らないモノほど欲しくなる。

そして──、なくなったモノほど愛おしい。

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『屍鬼』 3~5 巻 小野不由美×藤崎竜 – 招かれざる招待客

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

Cain interficit Abelem
(きみはアベル? それともカイン?)

【前回までのあらすじ】われらが村迫正雄(むらさこ まさお)サンの活躍により、村人が大量死する原因が、ようやく読者にも示されたのだった──。

ホント、正雄サンはパネェっす! なにしろ、村迫智寿子(むらさこ ちずこ)の能力である「八方美人」は誰も暴けなかったのに、正雄サンは何年も前に見破っていた。さすがだぜェ、正雄サンッ!

──って、もういいか。正雄はカレーでも食っとけ

ということで──、第 3 巻からは、尾崎敏夫(おざき としお)と結城夏野(ゆうき なつの)が真相に気がつき始めます。そこに室井静信(むろい せいしん)も加わり、対策を練る。

はたして、村にはびこる死を止められるのか──。

第 1・2 巻では、誰もが手をこまねいて、ただただ死を見つめていました。看護婦(20 世紀の話なので「看護師」ではない)たちは、自分の番が来ないことを祈り、他人に訪れる死をあきらめ顔で「あれ」と呼んでいる。

それから比べると、真相に近づいた人間の数は少ないとはいえ、自分たちから死に立ち向かうようになった第 3 巻目は、大きなターニングポイントです。

自分が考える次の大きな節目は、第 6 巻に出てきます。今回は、その直前まで──第 3 巻から第 5 巻までの感想を書きました。

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『屍鬼』 1~2 巻 小野不由美×藤崎竜 – 死に包囲された村

『屍鬼』 – 原作: 小野不由美, 漫画: 藤崎竜

20050818_01 夏の終わり
(そもそも、日本の夏には死が似合う──)

『屍鬼』と一口に言っても、小野不由美(おの ふゆみ)さんのホラー小説から始まり、集英社ヴォイスコミック(VOMIC)版『屍鬼』テレビアニメ版『屍鬼』が存在します。残念ながら、これらは読んで・聞いて・観ていません。

この記事では、アニメ版の元となった、藤崎竜氏が描くマンガ版の『屍鬼』について紹介します。いまも「ジャンプスクエア」で連載中ですが、自分はコミックスでまとめて読みました。

さて、『屍鬼』がどんな作品なのかを紹介することは、少しだけむずかしい。

たとえば、『ファイトクラブ』の感想を人に伝える時と、状況は似ています。あの映画も、ジャンルは「○○物」と分かるまでが楽しかった。

『屍鬼』の舞台は、人口が 1,300 人しかおらず、まわりを山に囲まれた、のどかな村です。この外場村(そとばむら)の住人たちが、次々に亡くなっていく。明らかな自然死もいれば、やや不審な死に方もある。村で唯一の医師にも、死の原因が分からない。

村民たちの死因は何なのか?

──この点が、コミックスの第 1 巻と第 2 巻では、大きなキィポイントとなっています。第 3 巻から先は、いよいよ対策を進める。あまりにも過酷な道だけれども……。

ということで今回は、死の謎を追う 2 巻までの感想を紹介します。(天文学的な確立だけど)『屍鬼』を未読の人が、この感想をウッカリと読んだとしても、マンガの魅力を失わないように書きました。

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