小畑健一覧

バクマン。 3 巻 「デビューと焦り」 福田の野心と中井の約束

『バクマン。』 コミックス 3 巻 「デビューと焦り」

Broken Heart (by Gabriela Camerotti) (by Gabriela Camerotti)

とうとう『バクマン。』の単行本も 3 冊目である。

驚くべきことに、まだ連載が開始されてから 1 年も経過していない。もう 3 年くらいは この作品の感想を書き続けている気がするのだが……。

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バクマン。 #39-4 「文集と写真集」 出られない電話と涙

『バクマン。』 39 ページ 「文集と写真集」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 27 号)

phonebox (by topherous) (by topherous)

ようやく、亜豆の異変にサイコーは気が付く。いくつも亜豆からの「サイン」は来ていたが、仕事の忙しさに まぎれてしまっていたのだ。

このあたりは、高校生の話とは とても思えない。「ビジネスジャンプ」あたりに載っていそうな展開である(「ヤングジャンプ」だったら、とっくに亜豆は脱いでいるだろう)。

それより何より、ミホのメールは分かりにくい!

女の子から来るメールに潜む地雷原を見つけ出すことは、非常に困難を極める。当たり障り無く「そうだよね! 僕もそう思うよ(^_^)」みたいな返信で爆発することもあるのだ(この場合は、顔文字が「アタシがこんなに真剣に悩んでいるのに、何をふざけてるの!」である)。

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バクマン。 #39-3 「文集と写真集」 ふざけたメールと楽観主義者

『バクマン。』 39 ページ 「文集と写真集」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 27 号)

useless mail slot (by Darwin Bell) (by Darwin Bell)

いまから書く感想の範囲には、気になるメールでの会話がある。

(ちなみに、ここは『バクマン。』の 1 話に対して 4 回分くらいの感想を書くという、fool ……もとい cool なブログです)

真城が「元気ですか?」とメールを送ると、亜豆は「うん 元気だよ(笑)」と返す。──まったく中身のない会話である。

自分も本当のことが言い出せずに、過去に何度も意味のないメールを送った。そのたびに、さらに意味のない返事が返ってくる。

こういう時に、女の子は何を思って返事を書いているのだろうか……?

「状況と人による」が答えだとは思うが、いままで出会った女性は、みな同じ反応だった気がする。

──すなわち、「気がない男への返事は、そっけない」のだ。

もちろん、『バクマン。』の作中で真城と亜豆は、恋人同士(仮)である。距離は離れていても、お互いの心は通じ合っている──はずだ。それなのに、このような意味のない会話になるのか。

とはいえ、恋する者同の会話の 8 割以上は、中身がないものだ。

ヘタに中身がある会話──「ちょっと、ここに座ってくれる?(作り笑顔で)」とか「最近、病院に行ってきたんだけどね……」とか「○○くんって、『子どもが好き』って言ってたよね?」などと切り出されるよりは、当たり障りのない話のほうが気楽だ。

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バクマン。 #39-2 「文集と写真集」 新連載の速報と「さよなら」

『バクマン。』 39 ページ 「文集と写真集」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 27 号)

MiNe-KissX_102-1318NH (by MiNe (sfmine79)) (by MiNe (sfmine79))

今週号で 1 番笑えたのが、亜豆の見ている卒業文集である。──最後まで読み終わると、単純には笑えないが……。

ここですかさず、今週号の『いぬまるだしっ』を見てみよう。あきらかに、この文集のパロディが描いてあるのだ!(これまでのあらすじの最後)

『バクマン。』の作者と大石先生とは、交流があるのだろう。うらやましい……。

うらやましいと言えば、亜豆たちが小学校を卒業したのは平成 18 年度である。あらためて気付くが、若い! その若さこそが、もっとも手に入らないものだ。

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バクマン。 #39-1 「文集と写真集」 高浜の急変とディズニー

『バクマン。』 39 ページ 「文集と写真集」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 27 号)

Disney - Happy Birthday Walt! (Explored) (by Joe Penniston) (by Joe Penniston)

今週号の『バクマン。』には、ビックリした点が 2 つある。

それは、高浜という人物と描写と亜豆の言動だ。この 2 人への印象が、大きく変わった。

──いや、やっぱり「亜豆は よく分からない」という部分には変化がなかったけれど……。

人の印象なんて、そのときどきで変わる。

ヤ■ザだって猫をなでる時はウットリとした笑顔になるし、しょこ■んだって たまには「キモオタ、ギザウザスッッッ」と思うこともあるだろう(ないかも)。お笑い芸人の多くが、普段は無口で無愛想──というのは有名な話である。

「あの人は○○だ」なんて決めつける人は、よっぽど人を見る目がないのだろう。あるいは人嫌いか。

マンガのキャラクタは記号的であるほうが良い、という向きもある。なるほど、「ピカチュウ」「バケラッタ」「なん……だと……」としか言わないようなキャラクタは、分かりやすい。

しかし、本作品のミリョクは、人物の描写が真に迫っていることだ。『DEATH NOTE』もそうだったが、『バクマン。』のほうが、よりリアルに感じる。

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バクマン。 #38-4 「窓と雪」 一途な愛情と異常な反応

『バクマン。』 38 ページ 「窓と雪」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 26 号)

Discarded Umbrella (by sleepytako) (by sleepytako)

今週号の見どころは、やはり、ラストシーンである。

ハッキリ言って、ベッタベタだ。「ご都合主義」とか「お約束」「お涙ちょうだい」といった言葉が頭に浮かぶ。

──でも、オレはそんな話が大好きだ!!!!

作中の季節は寒いのに、温かい気持ちになれて良かった。

ひととおり感動させたあと、最後の最後で笑いも取っている。カンペキだ。

それより何より、ものすごく珍しい表情の蒼樹紅が見られた。それだけで、幸せである。

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バクマン。 #38-3 「窓と雪」 意地を張る男と迷う女

『バクマン。』 38 ページ 「窓と雪」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 26 号)

American Football At Åsane Seahawks And Bergen Storms Training Field (by Magnera) (by Magnera)

いちど言ってしまったことで、引っ込みがつかなくなる。──よくあることだ。

レギュラメンバは全員が足の速い選手──というムチャな設定にしてしまったせいで、「どう見てもチート」な女性選手を登場させたり……。

『アイシールド 21』小泉 花梨のトンデモ描写に失望 : 亜細亜ノ蛾

一方、『黒子のバスケ』では「全員、20 点がノルマ──ただし黒子は特別に除外」とアッサリ描いた。

──そりゃそうだ。選手にはそれぞれ役割分担がある。ピッチャにホームランを要求するカントクはいないのだ。

(ところで、この作品を「ホクロのバスケ」という不思議なタイトルと思っている人は、いないだろうな……)

役割を無視したおかげで、もうだれも小泉なんて覚えていないよ……。いいキャラクタなのに、「なかったこと」になってしまった。

勢いで言いだしたことでも、柔軟に対応するべし、という教訓と思っておこう。

(などと言いながら──。そもそも「小早川瀬那は、足は速いけど腕力は平均以下」という設定もウヤムヤだ。セナが阿含の頭を片腕で押さえつけて倒したときには、すでに「もうダメだ」と思っていた。今週号では、セナが進の技まで使うし……)

今週号の中井も、自分が言い出したことのために、大変な思いをした。

それでも──男に生まれたら、決めたことを貫き通す必要がある。それが、男の生きる道だ。

「え、この男女同権の時代に、なに言ってんの?」という人は、もう一度『バクマン。』を一話目から読み返そう。どう見ても、戦後・昭和の「男性中心社会」の香りがする作品なのだ。男のロマンがテーマである。

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バクマン。 #38-2 「窓と雪」 福田の心配とエイジの一言

『バクマン。』 38 ページ 「窓と雪」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 26 号)

La Moustache (by nfotxn) (by nfotxn)

アシスタントの加藤は、この作品では貴重な「普通の女性」である。

亜豆のいない間に、あれよあれよと『バクマン。』界のヒロインへと上り詰める──と思われた加藤だが、そんな気配は ないようである。ほとんど「連載にはアシスタントが必要」という説明のためだけに登場したのようだ。

加藤は意外と、奥が深そうな女性に見えるのだが……。

ふと思った。「加藤のコスプレ」をするコスプレイヤは存在するだろうか。──本人が意図しないまま、イベントの行き・帰りで そうなっている人は多そうだが(禁句?)。

そうやって加藤を見ていると、なんとなく『げんしけん』の大野さんを思い出す。二人は あまり似ていないのだが、根っこの部分から同じニオイがする。

加藤も「何とかが嫌いな女子なんていません!」と思っているのかもしれない……(何とかとは?)。

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バクマン。 #38-1 「窓と雪」 冷たすぎる蒼樹と努力する中井

『バクマン。』 38 ページ 「窓と雪」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 26 号)

Flower of Life (by WTL photos) (by WTL photos)

少年マンガでは次回への「引き」がお約束となっている。先週号の『バクマン。』では、非常に気になる終わり方をしていた。どうなったのだろうか?

テレビ番組がコマーシャルへ移る際の引きは うっとうしいだけだが、連載マンガの引きは燃える。続きが気になって仕方がない。中学生の時に週刊少年ジャンプを読み始めてから、ずっとこうだ。

「少年の心をいつまでも忘れない」と書くと美しいが、実際には(省略)な今年 35、である。

いま、ジャンプのマンガで引きが一番ウマいのは、『トリコ』だと思う。上手というか、独特だ。

次回への引きは、当然ながら「先が読めない」ような描き方をする。当然だ。しかし、だいたいは予想のできる材料が残されている。たとえば、「主人公が大ピンチに落ち入った・これからどうなる?」──という引きには、リスクのある必殺技や生き残っている仲間の存在を臭わせる、という具合だ。

それに対して『トリコ』では、それまでに出てこなかった単語をポンッといきなり出して、次回へ つなげたりする。先週号の「オートファジー」がそうだ。たしか「GT ロボ」という単語も話の終わりで急に出てきた覚えがある。

この引きには、分かりにくくなる危険性が高い。

自分は、先週号の終わり方を見て「これまでに自食作用なんて出てきたっけ?」と必死に思い出そうとした。それより何より、トリコが口に入れるべき「最高に 美味いもん」とは、リンの■■と思った人も多いのでは?

『バクマン。』では、そこまで分かりにくい引きは少ない。それよりも、各話の最初から最後まで、目まぐるしく状況が変化することが特徴である。1 ページ目を読んで、ラストの場面を予想することが不可能に近い。

今週号の話を読み終わると、蒼樹紅への印象も大きく変わるだろう。

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バクマン。 #37-4 「取締役とトリ」 鳥嶋の決めゼリフと茨木の発表

『バクマン。』 37 ページ 「取締役とトリ」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 25 号)

half empty half full (by Meax) (by Meax)

鳥嶋が語る可能性の話を聞いて、「コップの水が半分」問題を思い出した。ちょうど鳥嶋がグラスを手にしているところから、すこしは意識しているのかもしれない。

コップに入った半分の水も鳥嶋の言葉も、「ポジティブシンキング」の一言で片付けるのは もったいない。

「言葉や概念を知っていること」と「その言葉の本当の意味を考えること」とを同じように考える人が多すぎる。──自分もその一人だ。気をつけよう。

夢もチボーもないハケン社員の今年 35 歳オス、である自分にも可能性は無限にある と考える──ことができたらなぁ………………。

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