亜細亜ノ蛾 - Weblog

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April 15, 2007

『パプリカ』 筒井康隆・著 女の美しさと男の幼稚さ

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『パプリカ』

今となってはアニメ映画の方が有名になった感がある、『パプリカ』の小説版を読みました。

べつやくメソッドクリエーター (BMCreator)でグラフにして表すと、こんな感じ。

『パプリカ』 小説版 べつやくメソッド , パプリカが強すぎる! , 男どもがコドモすぎる! , 夢の描写がスゴイ! , DCミニが恐ろしい…… , 最後はいつものようにドタバタ

ストーリィや SF 要素については、Amazon.co.jp の書評などに譲るとして(ついでに購入してもらうとして)、今回は主人公の女性について書いてみました。

そういえば DVD が出ますねー(白々しく)。

映画版の公式サイトはこちら。

パプリカ - Paprika -

千葉敦子の悪魔的な美しさ

本作の主人公である千葉敦子の容姿について、ある登場人物が語っているシーンが心に残りました。

「ねえ。どうしてこっちを向いてくれないの」

「この薄闇の中でも、君の異常な美しさがわかるからだよ。君の美しさというのは、こういう暗いところだと悪魔的になるから、ぼくはおっかなくてさ」

『パプリカ』 p.76

あえて、誰が語ったのかは書きません。彼の性格を考えると、このセリフが全く似合わないことにすぐ気がつきます。つまり、そんな彼でさえ、このような詩的なセリフをしゃべらせてしまう──千葉敦子の美貌を端的に表した、見事な場面です。

男どもがコドモすぎる

──天才的な発明をする男が出てきます。

──また、自分の手下をさんざん利用し尽くしたあげく、悪魔のような仕打ちをする男が出てきます。

──さらには、本当に悪魔になってしまう男まで出てきます。

登場人物のほとんどが男性で、それぞれ社会的に地位の高い人物が多いのですが──ことごとく、彼らはコドモっぽいのです。いや、正確に言うと千葉敦子の前だと子供に見える、というか。

誰でもうらやむ容姿端麗な男が、とある(驚愕!の)理由で千葉敦子を襲うことになるのですが──改めて、彼は彼女の美しさと強さを味わうことになるのです。この場面は、男が読むのは何とも切ないです。とくに、似たような経験を持つ者には──(多くは語るまい)(あ、「襲った」ところじゃなくて、その後のところね)(──なにが?)。

パプリカの登場

「夢探偵」パプリカが初めて登場する場面が印象的です。心に病気を抱える能勢が、バーでパプリカを待っているところに、彼女がやってきます。

重い樫材のドアが開いて、あきらかにこの店には場違いの少女がひとり入ってきた。赤いシャツにジーパンという姿だった。

能勢龍夫の前に案内されてきた少女は立ったままで、首を横に曲げるような頭のさげかたをした。「パプリカです」

眼の周辺にソバカスがあり、キュートな顔立ちをしていて魅力的だった。暗い照明の下で、パプリカは小麦色の肌をしているらしく能勢には見えた。

『パプリカ』 p.32

社会的地位の高い中年男性である能勢が、バーで少女と密会する──。読者のあらぬ想像(え、しない?)をよそに、二人の間で交わされる言葉は──これから始まる治療についての、セラピストと患者の会話だったり。

バーテンダもマスタも、なぜか二人を「よからぬ仲」とは見てない様子。それは何故だろう──?

この「ラジオ・クラブ」というバーの場面は非常に短いですが、『パプリカ』全体に漂う「夢うつつ感」が出始めている、いいシーンです。

パプリカが強すぎる!

とにかく、全編を通してパプリカが強い!

少女の残酷さ、女のしたたかさ、そして、母性まで持ち合わせています。

映画は見ていませんが、声を林原めぐみさんが担当しているということで、どうしても綾波レイを思わせますね。──『エヴァンゲリオン』と『パプリカ』の制作時期的に見て、それは逆、という感じですが。

パプリカの正体

パプリカというのは、彼女が夢探偵を行うときのコードネームです。名前の由来ははっきりと書かれていません。登場人物がなんとなく想像するだけにとどめています。

謎めいたパプリカという少女。はたして彼女の正体は──。

──という風に話が進んでいくかと思いきや、あっさりと「パプリカの正体」を明かす場面が出てきます。ちょっと拍子抜けしますが、パプリカが誰なのかというのは、この作品のテーマでは無いわけですね。しかし、もうちょっとだけ引っ張って欲しかったような。

パプリカの素晴らしさについて

さて最後に、パプリカという女性の素晴らしさについて、簡潔に表したセリフを紹介して終わります。──思わずこう言いたくなる、そんな女性に出会いたいものですね。

「今夜、仕事はあるか」

「ないことはないが、パプリカのことなら何よりも優先する」

『パプリカ』 p.280

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