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『10 億分の 1 の男』

10億分の1の男 - Wikipedia

Yahoo!映画 - 10億分の1の男

世界一と言っても過言ではないほど強運な、カジノ経営者が登場します。彼は、ある生死を賭けた「ゲーム」で、30 年間無敗という。

さて、このゲームは(トーナメント制なのかリーグ制なのかはっきりしないが)何週間もかけて何度も行われ、内容も毎回ちがうのですが、「一番、運が強い者が勝つ」ということに(映画上では)なっています。

さらに、下記のようなルールでゲームが進んでいきます。

  1. ゲームの参加者たちはそれぞれ、他人から運を奪う術を知っている
  2. ゲームの参加者たちは、自分に親しい者の写真と、自分自身の写真を賭けて戦う
  3. 写真を奪われると、生死に関わるほど、運をなくす
  4. 最後までゲームに勝ち残った者は、命と名誉を賭けて、カジノ王と戦う権利を得る

ここまで読んで、実にハリウッド的な演出が似合いそうな設定、と思いませんか? 派手なキャスティングで映画を作ったらそこそこ当たりそうだし、いまだと

『10億分の1の男 ~シーズン 4 ~』

みたいな感じで、TV ドラマにしても良さそう。

しかし、本作は、ものすごく渋い演出の映画です。言葉を選ばなければ、「地味」と言ってもいいかも。とくに派手な演出もなく、ラブシーンなども皆無です。

さらに、あんまり映画らしい、わかりやすい説明も少ないので、想像力が要求されます。上記のルールも、ボンヤリ見ているとわからないかも。

『10 億分の 1 の男』は、そういう意味で、多くの映画を見てきたひとに勧めたいですね。「わかりやすい演出」ばかりを見慣れた、歯ごたえのある映画を見たいファンに。あまり映画を見ない人には、本作は肩すかしを食らうかもしれません。

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10億分の1の男 デラックス版
レオナルド・スバラグリア ユウセビオ・ポンセラ モニカ・ロペス
ジェネオン エンタテインメント 2004-05-21
楽天ブックス: 10億分の1の男 デラックス版

by G-Tools , 2007/10/22

あらすじ

主人公のフェデリコは、カジノ王(別に王様じゃないけど、この呼び名が似合う)の右腕として働いています。しかし、ゲームでカジノ王を負かすと宣言し、彼の元から離れるのですが、その際に「他人から運を奪う能力」を逆に奪われてしまいます。

──のはずなんだけど、それ以降も、他人に触ると相手を不運にするらしい。奪うことはできなくても、他人を不幸にすることはできるようです。何という厭な能力を持った主人公……。

彼自身は、ゲームで勝ち続けるほど強運ではありません。そこで、飛行機の墜落事故でただ一人生還したという強運な男、トマスをスカウトします。

師弟関係、じゃない

フェデリコは年季が入った渋い中年、トマスはハンサムな若者です。

さて、普通の映画であれば、この二人の間は師弟関係のようになって、たとえば、

「運だけで勝とうとするトマスに、テクニックを教え込むフェデリコ。やがて二人の間に奇妙な友情が芽生え──」

となりそうです。しかし、あくまでも二人の間にあるのは、ビジネス的関係。ゲーム中以外は、あまり会話もありません。

そもそも、トマスは銀行強盗を起こして逃亡する途中で飛行機事故に遭い、入院中にフェデリコに助けられた、といういきさつがあります。フェデリコはトマスがいないとゲームに勝てないし、トマスは助けられた負い目がある。そして──ただそれだけの関係、なのです。

この、あまりにもドライな関係が映画には珍しく、自分は好印象でした。安易な友情論を見せられるよりは、よっぽどいいですね。

強運は幸運じゃない

トマスやカジノ王だけではなく、人並み外れた強運の持ち主が何人か出てきます。

しかし──映画内の短い時間中だけを見ても、だれも幸せそうに見えません。トマスはゲームに勝っても逃亡犯だし、カジノ王は気の置けない友人などはいないようです。

ゲームの参加者は、みんな「他人から運を奪う能力」を持っているので、つまりは周りの人に不幸が多く起こっているのです。

その結果の「強運」って──はたしてそれって、「運がいい」のかな……。強運と幸運はイコールではないのか、とちょっと考えましたね。

ラストが謎

最後も謎めいていて、いい終わり方です。

途中までは、観客の思い描いた展開(まさかトマスが負けるとは思わないでしょう)になるのですが、最後の方で二転三転します。

そして、最後の最後に、フェデリコもトマスも謎の行動に出ます。

説明を極力省いた演出が多い本作でも、とくに疑問が残るシーンです。しかし、自分なりに二人の心情をトレースすると、何となくは納得できるのです。自分が二人だったら、そうしたかもしれない。

観客の心に残る映画というのは、派手な演出やキザなセリフが無くてもできるのだな、と改めて気付いた作品でした。忘れた頃に、もう一度見たいです。

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